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魔剣を売ったら来世で引きこもりにジョブチェンジできた件  作者: kinako
2章『ほんの少しのやる気』
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下界>>>天界《5》

「ふぅ…やっと線画終わった」


俺は一息つくと絵の具の準備を始めた。


素人ながら丁寧に塗っていく。


コンクールとか関係ない。


マリアが見たい絵なのだ。


全力を尽くすしかない。


俺は地道に塗り続けた。


あれだけふざけていた未来先輩も今は静かに作業を進めている。


静かだ。


心が落ち着く。


こんな日々なら続いてほしい。


「ふむふむ。ミカくんはやっぱり上手だね」


…ん?


声が聞こえた気がしたが気にしない。


「だーれだ?」


……聞き覚えしかない声だった。


「もしかして……マリア?」


「正解だよ。ぎゅーっ」


後ろから抱きついてきた。


「……なんでここにいるの?」


「だって、昨日話してた未来さんっていう人が気になったから…。朝からずーっとこっそり付いてきちゃった」


ヤキモチ…?


いや、それは自意識過剰か…。


「呼んだかね君達」


「「!?」」


いつの間にかマリアの隣に立っていた。


なんなんだこの人…


「な、なんだと…!?我が気配に気付くとは貴様何奴!」


「自分から言いましたよね」


「もしや貴様…私のことが…好…」


「一人称と二人称バラバラなの突っ込むべきですか…?」


「くはは…そこまで言うなら仕方ない。今日のところは一先ず退散してやろう!さらばだ…っ!!」


先輩はさっさと逃げていった。


それもそのはずだ、、、


マリアがこんなにもジト目で睨んでいるのだから…


「あれが…未来さん…」


「変な人でしょ?」


すると、マリアは安心したように息を吐いた。


「心配して損したかも(ボソッ」


「ん?なんか言った?」


「ううん。ミカくん一緒に帰ろ?終わるの待ってるから」


「わかった!もう少しだけ待ってね」


「うん!」


俺が絵の具で塗っている間、マリアは俺の隣に座ってこっちを見つめ続けていた。




突然、もうすぐ下校時間となる頃に茜先生が息を切らしながら慌てて美術室に入ってきた。


「…はぁ…はぁ…黒城くん…ちょっと、、いいかな~…?」


俺は妙な胸騒ぎがした。


マリアも嫌な予感がしたのか俺の袖を軽く握ってきた。


「…はい。すぐ行きます。」


マリアは先生と目が合うと軽く会釈をした。


「マリア、少しだけ待っててもらえないかな?」


「んー、少しだけだよ?」


「もちろん。すぐ戻るよ」


「ほんと…?」


「…うん」


「…約束だからね」


「約束する」


「じゃあ、行ってらっしゃい!」


「行ってきます…!」


マリアが笑顔で送り出してくれた。



俺は茜先生に生徒会室に連れて行かれた。


部屋に入ると、生徒会長が椅子に深く腰掛けていた。


俺はマリアの元に早く帰りたくて単刀直入に聞いた。


「用件はなんですか?」


「あら?連れないわね。ゆっくりお茶でもどうかしら?」


「待たせてる人がいるんです。早くしてください。」


「王馬が死んだわ」


「…え?」


「あとを追わせていたウリは行方不明。ウリからの最後の連絡はこれよ。」


生徒会長はスマホの録音機能から音声を流した。


『生徒会長さんよぉ…これはまずいかもしれねぇぞ。下界も天界も危ねぇ。奴ら魔神を蘇らせる準備を進めてやがった…!俺もこれが最後の連絡になるかもしれねぇが…後は、任せっからよ。じゃあな。』


「…魔神?」


「えぇ。魔神よ。」


「…魔王より強いですか?」


「全盛期の魔王なら同等の力があったかもしれないわ。でも、王馬が死んだ理由が“魔神に魔力を吸い尽くされた”からよ」


「…それってつまり?」


「魔王より遥かに強いわ」


「…また詰んでません?」


「そうね…。。。更に言うと、魔王が転生した理由もこれではっきりとしたわ。転生前も魔神に魔力を与えて死んだのよ」


「…なんで王馬が魔神に魔力を吸われたってわかるんですか?」


「ウリの少し前の定期連絡での報告に含まれていたからよ」


「場所は?」


「魔界ね」


さよなら…俺の日常…

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