下界>>>天界《4》
「うーん…」
俺は家に帰ってからもずっと絵の事を考えていた。
「どうしたの?」
マリアが心配そうに顔を覗いてきた。
「コンクールがあるんだけどさ、そのために美術部で絵を描かなくちゃいけなくて…」
「ふーん、何描くかは決めてるの?」
「特には決めてないよ」
「じゃあ、私が決めてあげる!」
マリアはえっへんと胸を張った。
「うん。俺もマリアが決めてくれた方が嬉しいよ」
「なっ……別にミカくんのために決めるわけじゃないもん…」
「うんうん。ありがとうマリア。なでなで」
「…ばかっ……」
マリアは耳を真っ赤にして照れていた。
その姿が愛おしくて俺はしばらくマリアの頭を撫で続けていた。
「それで、マリアのおすすめは?」
「猫…とか?」
マリアは2匹の猫を抱えながら俺に見せてきた。
「難易度高くない?」
「そう…だよね…」
そんなに俺に猫を描いて欲しかったのか、しょんぼりとしていた。
そんな姿に俺は耐え切れなかった
「よし!じゃあ、俺頑張って描くよ!」
「ほんとに!?わーいわーい。」
マリアは飛び跳ねて喜んでいた。
俺は2匹の猫の写真を撮って明日から描き始めることにした。
「…それで、黒城くんは猫を描くことにしたの?」
天宝寺に昨夜のことを話した。
次の日、俺は早速自分のキャンパスに向き合っていた。
今日こそ俺は絵を描く!
「ねえー、なに描いてるのー?」
…終わった。
未来先輩が声をかけてきた。
しぶしぶ俺は返答をした。
「…猫描いてます」
めんどくさくなる…
そう思っていた。
「そっかー!頑張ってねー!」
…え?
おかしい…
なんで絡んでこないんだ…
「ようやく反省したみたいっすね」
少し頬を膨らませながら西条が立っていた
「何かしたの…?」
「さっき私を驚かせたから正座してもらってたっす」
「ほんとに反省したのかな…」
「まあ、その時はその時っすよ。」
俺は今のうちに写真を見ながら2匹の猫を描き進めた。
家に帰るとマリアが抱きついてきた。
「おかえりミカくん。ぎゅーっ」
「ただいまマリア」
抱きついてきたマリアの頭を俺は撫でた。
台所から美味しそうな香りがする。
「今日の晩御飯は?」
「コロッケだよ!調べて頑張って作ったの!ミカくん揚げ物好きだから食べてほしいなーって思って」
そう言ってもらえると凄く嬉しい。
ん…?
でもマリアも確か…
「マリアも揚げ物好きだからお揃いだね。」
「わ、私が食べたかったわけじゃないもん」
別にマリアが食べたいから作ったの?って意味ではないのだが…
自分から白状したみたいだ。
「食べたかったなら食べたかったって素直に言えばいいのに」
「違うもん。私も食べたかったけどミカくんに喜んで欲しかったのはほんとだよ…」
はっ…マリアがしょんぼりしている…
俺は頭を撫で続けてやった。
マリアはしばらく黙っていたが、口を開いた。
「……ミカくん頭撫でるの上手だね」
「やめた方がいい?」
「ううん。もっとして…」
俺はマリアが満足するまでそのままでいた。
しばらくして、料理を作ると言い始めたのでその手を止めた。
作っている間は無言だったが、コロッケを食べているうちに口数も戻り始めた。
「おいしいよ!マリアのコロッケ」
俺は口いっぱいに頬張った。
「……もう。そんなに喜ばれると拗ねてる私がバカらしくなるね。それで、猫はどこまで描けたの?」
「うーん。ぼちぼち、かな?今日は先輩にも邪魔されなかったし。」
「先輩…?」
「天龍未来先輩。絡まれると全然作業が進まなくなる。」
「ふーーーーーん。女の人?」
「う、うん」
「じーーっ」
俺はマリアの視線を痛いほど受けながらコロッケを頬張っていた。




