下界>>>天界《1》
「貴方達は何が知りたいのかしら?」
「ウリと王馬がどこに行ったのかという事と、この学校についてです。」
「…?2人についてはまだ聞きたくなるのはわかるわ。でも、この学校について…とはどういう意味かしら?」
生徒会長は怪訝な表情を浮かべた。
「だっておかしくないですか?家に両親が帰ってこないなんて…。幾ら何でも異常ですよ」
「貴方、何も知らないでずっと生活していたの…?」
呆れているようだった。
知ってて当然なのか…?
「天宝寺は両親が家にいないことについて何か知ってるの?」
「うーんとね、私の両親は仕事忙しいだけだよー。」
あれ…?
「…話さない方がいいかもしれないわね」
「そう言われると余計気になりますよ…。俺、聞くまで絶対に帰りませんから…!」
「…仕方ないわね。……心して聞くのよ…」
「はい…」
「貴方、能力が突然目覚めた時に両親を傷付けたのよ…覚えてないかしら…?」
「…え?」
「私含む生徒会のメンバーとたまたま手が空いてた茜先生は、通報を受けて急いで駆けつけたわ。着いた時は正に地獄絵図だったわよ。」
「…」
「家は吹き飛び、貴方のお父さんとお母さんは酸素中毒になっていたわ。貴方…何をしたの?」
「…覚えていません」
「…貴方は忘れようとしたのかしらね。やっぱり言わない方が良かったかしら…」
「いや、教えていただいてありがとうございます…。少し違和感がスッキリしました。」
「少し…?他にもあるのかしら?」
「えぇ。ここ“どこ”ですか…?能力者達が都合良く家が近いなんてことありえませんよ」
「それについても貴方は忘れちゃったのかしら……?」
明らかに苛立っている…
当たり前の質問をしてくるなと表情が物語っていた。
「ここは、下界での天使達の自治区よ。能力者たちはここに集められて管理されるわ。表向きは日本政府が管理しているってことになっているけど。」
「え…?でも、あの家って俺が昔住んでた家と同じですよ…?」
「そうよ。物質を転移できる能力者がいて、その人にやってもらっているわ。貴方の場合、家を壊したから他の能力者に修復してもらったけど。」
「じゃあ、俺の家に両親がいないのは…」
「入院しているだけよ。意識は戻ってないみたいだけど、生きているわ。黙っていてごめんなさいね…」
「…よかった」
「…目覚めるのを待つしかないわね」
「よかったね。黒城くん…うぅっ…」
「…なんで天宝寺が泣いてるの?」
「だって…安心したから…」
「安心?」
「黒城くん、マリアちゃんといる時以外は寂しそうな目をすることが結構多いから…」
俺ってそんな目してたのか…
「また親には会いに行くよ。心配してくれてありがとう、天宝寺。」
「うん…!」
やっぱり、天宝寺の笑顔も凄くいい。
その笑顔を見て、俺はマリアの笑顔を思い出していた。
「そろそろ本題にいいかしら…?」
すっかりウリと王馬のことを忘れていた。
「彼らがどこに行ったのかという事に対してだけれども、王馬に関しては謎よ。ウリには王馬を追わせたわ。」
「謎…?謎なら追えないんじゃないですか?」
「彼なら追うことができるわ。地獄の番犬と契約している唯一の悪魔だからよ」
「え!?悪魔なんですか…?」
「話すと長くなるからまた今度にしましょう…悪い人ではないわ。」
「人じゃないですけどね…」
「とにかく、貴方達は心配せずに普段通り過ごしなさい。」
「「はい!」」
「ところで貴方達、この後私の話し相手にでも…」
「いいですよ」
授業サボれるし
「わ、わたしは授業が…」
「話し相手が2人も…!!」
どれだけぼっちなんだこの人…
しかも天宝寺の言葉に全く耳を傾けていない。
「生徒会室でお茶でも出すわ…!」
天宝寺が引っ張られていった。
その後ろを、俺は軽い足取りでついて行った。




