ランキング戦>>>中間試験《11》
壊れた演習場。
生徒会長が何か叫んでいたが、戦いで疲れ果てた俺の耳には届くことは無かった。
俺は現実を受け入れることが出来なかった。
……目の前に現れた魔王によってマリアは殺されたのだから。
時は3日前に遡る。
この日から俺は生徒会長と特訓を始めた。
「はぁ…はぁ…。こんな事…っ!ありえない…!」
俺は今自分が置かれている状況に戸惑っていた。
それもそのはずだ、一方的にサンドバックにされているのだから。
魔力をまとっていても生徒会長の神聖力による突きや蹴りは重かった。
いや、正確には今俺は生徒会長がどんな攻撃をしてきているのか全くわかっていない。
なぜなら、、、
何も見えない。
何も感じない。
何も聞こえない。
何も匂わない。
口の中の血の味すら感じない。
「これが、、会長の“能力”」
「そうよ。私の“能力”は一定距離内にいる人の五感を奪う『女王の世界』。と言っても、貴方には聞こえていないでしょうけど。」
…何も感じない。。
これが“無”。
だけど……殺気は感じる。
俺は殺気の方へ蹴りを叩き込んだ。
「ここだ…っ!」
当たったのか…?
それすらわからない…
「へぇ…やるわね。殺気を辿ったってところかしら?今日はここまでにしといてあげる。」
「痛っ…感覚が戻ったのか…。目も…見える…」
「今日から、貴方は五感を奪われながら1分間私の攻撃を避け続けることが出来るようになりなさい」
いや、、無理だろ、、、
でもやるしかない。
「はい!また明日お願いします…!」
俺はボロボロになった体を引きづりながら家に帰った。
家に帰ると、怪我をしている俺にマリアは驚いていた。
「傷だらけで帰ってきたけど…大丈夫なの?じーっ」
マリアがジト目でこっちを見ている。
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
頭を撫でてやるとマリアの顔が幸せそうににやけていた。
「はっ…べ、別に心配なんかしてないもん。」
「ほんとに?マリアが俺のことを考えてくれてたら嬉しいのになー…」
「……してる」
「よく聞こえないよ…?」
「心配してるって言ってるのよ…っ!このばかっ!」
マリアは顔を真っ赤にしていた。
「じゃあ、明日からは怪我しないようにしないとね」
翌朝、俺は教室に入ると天宝寺に声をかけた。
「おはよう天宝寺」
「おはよう黒城くん」
いつもの天宝寺だったが俺は違和感を感じていた。
「元気ないね?」
「うん…ランキング戦が不安なの。」
「心配しなくても大丈夫だよ。俺が巻き込んじゃったことだし、気楽に考えていいと思うよ。」
「そう、、だね!うん!よし。気楽に考えよっと!」
「昨日から生徒会長と特訓始めたんだけど、天宝寺もどうかな?」
「…だからそんなに傷だらけなの?……どんな特訓したらそうなるの…?」
「えっと、、、サンドバックにされる特訓…」
「………わ。私はやめとくね…!でも、黒城くんのことは応援してるから!頑張ってね!」
完全に引いていた。
「そういえば黒城くん。明日、ランキング戦の説明会のために演習場に集合だけど、忘れてないよね…?」
「もちろんだよ。で、でも念の為に時間とか知りたいな…」
嘘だ。
完全に忘れていた。
「ふぅん……覚えてたんだね。よかったよかった。じゃあ、そろそろ授業始まるから準備しよっと…!」
もしかして隠れS…?
「嘘です忘れてました…っ!集合時間教えてください!天宝寺様お願いします何でもしますから!!!」
頭を下げてすがるようにお願いをした。
翌日、あんな事が起きるなんて俺は夢にも思っていなかった。




