ランキング戦>>>中間試験《7》
俺はいつものように教室に入ると天宝寺に声をかけた。
「おはよう天宝寺」
「…おはよう黒城くん」
明らかに疲れ切っていた。
無理もない…
学校に着くや否や、周りからの視線が痛かった。
それもそのはずだ。
俺と天宝寺は注目を集めているのだから…
あの試験で満点を取れる生徒は余程の能力者か天才かのどちらかしかいないからだ。
注目されないわけがない。
だが実際は違う。
それを俺達は協力という形で乗り切ったのだ。
そのことは俺と天宝寺だけの秘密だ。
もうすぐ全学年の81点以上の成績優秀者が発表される。
俺達のように噂になっている人もいるだろう。
ランキング戦前に色々と調べておいた方が良さそうだ。
こういう時に天龍先輩から貰ったファイルが役に立………つわけがなかった。
あれには1位~20位までしか書いていなかった。
その人たちは81点以上をとってもランキング戦には参加しないだろう。
となると…もっと細かい情報が必要だ。
生徒会とはあまり取り引きはしたくないのだが…天龍先輩に聞くしかないだろう。
その時だった。
LIMEのメッセージが届いた。
『生徒会室で待ってるわ』
…
俺が話したいのは天龍先輩なんですが?
『いやです』
『とにかく来なさい。来て損はさせないわ』
ふむ…何かしら俺に得な情報でもくれるのだろうか…?
生徒会室に向かうことにした。
生徒会室に入るといつものように生徒会長が深々と椅子に腰掛けていた。
「よく来たわね」
「要件はなんですか?」
「貴方、噂になってるわよ。全科目満点を取ったとてつもない能力者だ!ってね。生徒会としても鼻が高いわ。」
「そんな大層な“能力”じゃないですけどね…」
「そこで取引があるのだけど、どうかしら?」
「内容次第ですね」
「貴方に81点以上の能力者の情報を提供するわ…一人を除いてね。その代わり、絶対に勝って欲しい人がいるのよ。」
…あれ?
俺側の不利な条件がない気がするが…?
「…それって俺が負けても俺自身損しませんよね…?取り引きになってませんよ?」
「いいえ。貴方は絶対に勝たなければいけない。負けるなんてありえないわ。」
「…どうしてそこまでして勝たないといけないんですか?」
嫌な予感がした。
ランキング戦なんて個人の都合であり義務なんて欠片もないからだ。
「………今回のランキング戦参加者に魔王の生まれ変わりがいるからよ」
「…魔王?」
「ええ。魔王よ」
「魔王ってゲームとかに出てくる凄く強い悪魔の親玉ですよね?」
「そうよ」
「…」
冗談はやめてくれ。
勝てるわけがない。
そもそも俺は戦いには向いてないのだから。
いや、、今回に関しては勝たなければいけない。
なぜならきっと…
「貴方は負けたら殺されるわ」
ですよねー…
「魔王の“能力”はなんですか?」
「謎よ」
「…」
詰んでいる。
「そうね。でもこの時に限っては貴方は幸運だったかもしれないわね。聖剣の力を使いなさい。そうすればきっと勝てるわ。」
聖剣……マリアか。。。
「貴方が勝ったら、なんで私が聖剣を欲しているか教えてあげるわ。その時は勇者として申し分ないってことだもの。」
「…魔王についての情報を少しでもください」
「魔王は今年からの新1年生よ。下界になぜ転生したかもわからない……。分かっているのは、前世の記憶が無い分まだ能力者としては未熟ってことだけね。私は魔力をこの学校で感じた時、すぐに魔王だってわかったわ。でも前世と比べて比較的穏やかな性格だったのよ…だから放置していた。だけどね、あいつの凶暴性を一瞬だけ垣間見てしまった…っ!この前の試験、魔王は監督の先生に“能力”を使わずに全治一ヶ月の重傷を負わせたわ…私が知っているのはこれで全てよ」
「…詰んでませんかね?」
「魔王の力を知りたかったら、入院している先生にでも話を聞く事ね」
「……はい。じゃあ、俺戻って授業受けてきますね。」
「ちょ…!貴方は今から私の話し相手に…っ!」
俺は生徒会長の言葉を無視して大遅刻した授業へと戻っていった。




