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魔剣を売ったら来世で引きこもりにジョブチェンジできた件  作者: kinako
1章『引きこもりがやる気を見せるまで』
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ランキング戦>>>中間試験《5》

~答案用紙返却日~


「ねえねえ黒城くん。試験終わってからミスしたかもって言ってたけど、何をミスしたの?」


「…無意識の俺に先生が露骨な殺気を向けてきたから、現実に無理矢理意識を戻されたんだよ。」


「…え?殺気だけで…?」


「いや、むしろ先生が“能力”を使っても意味無いことに気付いたから古典的な方法をとったんだと…思うよ」


あの殺気については気にかかることがあった。


「天宝寺は生身で先生の“能力”に試験中ずっと耐えていたわけだけど、どんな“能力”だったの?」


「よくわからなかったけどね、急にまともに座るのもキツくなって、めまいとか吐き気がすごかったよ…。」


「…それは多分、超音波だね。」


「超音波?超音波とめまいがなんの関係があるの?」


「三半規管だよ。シャチは獲物を仕留める時に、超音波を飛ばして獲物の三半規管にダメージを与えて麻痺させたりするんだけど、それに近い気がしたかな。多分、音を操る“能力”だと思うよ」


「音って、そこまで怖くなさそうな“能力”だね。」


「いや、第二次世界大戦の時に音響兵器が注目を集めていたくらいだからね。音の使い方次第で恐ろしい“能力”になることは間違いないよ…」


天宝寺は軽く震えていたが話題を逸らそうとした。


「と、とにかく…。意識を戻されたのが試験終了ギリギリでよかったね!先生もそれっきり干渉してこなかったみたいだし。」


「なんで突然殺気なんか向けてきたんだろう…?」


「黒城くんが大胆に私の答案用紙も書いてたから…?」


「違うと思う…。。むしろあの殺気は俺に直接向いてたというより少しズレていたような、、。とにかく、今考えても仕方ないよ」


「そうだね。結果どうなってるかなー?」


「楽しみだね」


すると、ちょうど先生が教室に入ってきた。


「テスト返すから席に座ってね~」


相変わらず緩い感じだった。


あの時と同一人物とは到底思えない。


出席番号順でテストが返却された。


「黒城くん~すごいね~。全科目満点だよ~。」


俺の番になると先生は褒めてくれた。


クラス全員からの視線が集まった。


さて、今度は天宝寺の番だ…


俺は、席に戻ると天宝寺の番が来るのを待っていた。


「天宝寺さんは現代社会が一問ミスだね~それ以外満点だよ~」


天宝寺は俺と同じようにクラス全員の視線を集めていたが、恥ずかしさゆえか全速力で席に戻ってきた。


「黒城くん…ありがとう…。私なんかの“能力”が役に立てたんだって思うと凄く嬉しい…!」


「いや、俺は何もしてないよ。それにこれは協力出来たからこその結果だよ。こちらこそありがとう。」


俺は天宝寺に微笑みながら本心を伝えた。


「ウリくんは“能力”使わなかったから~全科目0点だよ~」


まだ答案返却を続けている先生の声が聞こえてきた。


他の生徒はお疲れ様やらねぎらいの言葉をかけられているのに対して、俺と天宝寺とウリだけは別の言葉をかけられていた。


つまり、ぶっちぎりの高得点とぶっちぎりの最低点。


でもなんで“能力”を使わなかったんだ…?


俺はそこに疑問が残った。


だんまりだったウリが口を開いた。


「先生つええよなぁ?俺が殺気を向けた時、それ以上の殺気で答えてくれたもんなぁ。先生とはガチンコの“能力”無しの闘いがしたくなっちまった。」


あぁ…こいつただのあほだ…


俺は悟った。


というか、あの殺気は前の席のウリに向けてたものだったのか…


とばっちりにも程がある。


「じゃあ、今すぐ本気で戦ってあげますね~。」


そう言うと、先生はウリを一瞬だけ睨みつけた。


そして、何事も無かったかのように先生は答案返却の続きを始めた。


ウリの方を見ると…ウリが意識を失っていた。


“能力”か…?


いや、違う。


これは極限まで研ぎ澄まされた殺気を向けられたのだ。


先生はウリに死という恐怖を与えた。


多分ウリにとっては自分が死ぬ未来が見えるほどの…


その光景だけで先生の強さが垣間見えた瞬間だった。


生徒会長に呼び出されて以来、生徒会メンバーとの関わりは全くないが、これでも一応同じ生徒会だ。


後で一言掛けておこう…


こうして、俺達の中間試験は終わった。


「お疲れ様天宝寺。マリアと3人でご飯でも行かない?」


「いく!マリアちゃんと少しだけ仲良くなったし、楽しみだなー」


そういえば2日間マリアのお世話頼んでたんだっけ…


夢から戻ってきた時そんなこと気にしてる余裕はなかったが、お礼を言う必要がある。


「ありがとう天宝寺」


「…?どういたしまして!」


俺達は軽い足取りでマリアの待つ家へと向かっていた。


20位の席を奪い合うランキング戦など忘れているかのように…

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