部活>>>生徒会《8》
「あっ、黒城くーん。部活どこに入るか決めたかな~?」
朝のホームルームのあと、茜先生は教室前の廊下でゆるーく俺に聞いてきた。
結構日数が経っていたのだが、待っていてくれたらしい。
最近、考え事が続いたからすっかり忘れてたなんて口が裂けても言えない…
全く決めていない…
「て、天宝寺と同じ部活に入ろうかな…なんて。あはは…」
突然出てきた言葉に自分でも驚いていた。
「最近二人共仲良しだもんね~。仲がいい事は、先生も嬉しいよ~。」
先生が本当に嬉しそうにしている。
今更嘘だなんて言えない…
ごめん天宝寺…
俺は心の中で土下座をした。
「…あれれ?天宝寺さん、帰宅部になってるね~」
それは予想外だった…
放課後は大抵どこかに消えるから部活だと思い込んでいた。
「え、えっと、二人で部活探そうかなって思ってまして…」
また嘘を重ねてしまった。
もう後戻りはできない。
「2人の意見がまとまったら、後日プリントを提出します…」
「はーい。待ってるね~」
言ってしまった…
これは天宝寺を説得する以外に道はない。
俺は財布の中身を確認した。
よし、これならいける。
俺は教室に入るとすぐに、急いで天宝寺の席へと向かった。
これは…夢か?
夢なら覚めてほしい。
現実でも夢でも決して有り得ない光景が目の前に広がっていた。
「黒城くんも食べる?おいしーよ…!」
目の前に死屍累々と積まれた食器達。
それでもまだ、天宝寺は胃袋に食べ物を運んでいた。
その細い体のどこに入るんだ…
「い、いや、、俺は…いいよ…」
食欲よりも俺の財布の中身が不安すぎる。
唯一の救いなのが、食券だからお金がなくなったら注文されることはないことだ。
しかし、もはや残金を確認する勇気は俺にはなかった。
「急に奢ってくれるなんて珍しいね。どうしたの…?」
「じ、実は…」
俺は今朝の先生との会話について話した。
天宝寺は納得してくれたらしく、快く引き受けてくれた。
「部活入りたかったんだけどね。ちょっと悩み事があって…それが解決したら私も部活入るから!一緒のとこ入ろ!」
「悩み事って、時々放課後すぐ消えちゃうのと関係あるの?…言いたくないなら、大丈夫だけど」
「話せないっていうわけじゃないんだけどね。見てもらった方が早いというか…。今日の放課後、付いてきてもらってもいいかな?」
「わかった。じゃあ放課後にね」
俺は天宝寺と2人で食器を片付けながら食堂を出た。
廊下に出ると俺はどうしても聞きたかったことを尋ねた。
「もしかして、本当の“能力”って異次元の胃袋とかなの?」
「……怒るよ?」
俺は即座に土下座した。




