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魔剣を売ったら来世で引きこもりにジョブチェンジできた件  作者: kinako
1章『引きこもりがやる気を見せるまで』
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部活>>>生徒会《1》

俺が編入して一週間が過ぎようとしていた。


天宝寺とはあの日以来凄く距離が近くなった気がする。


それに対して他の生徒からはよそよそしさが感じる。


俺は天宝寺と昼ご飯を食べようと、学食に向かっていた。


「天宝寺今日は何にするの?」


「私はねー、パフェでいいよ」


「…えっ…パフェだけで足りるの?」


「足りるもん…っ!」


食いしん坊だと思われたのが嫌なのか、拗ねてしまった。


「天宝寺みたいに小柄な女の子でも栄養はちゃんととらないとだよ。」


心配そうな表情をして頭を撫でた。


食堂のお世辞抜きで美味しい。


量は少ないのだが、パフェだけで満足のできる低価格と品質だった。


天宝寺の気持ちもわかる気がする。


…と思っていた時期が俺にもありました。


目の前に積まれたパフェの容器。


その体のどこに入るのか。


前みたいに頬張るようなことはしないで一口ずつ食べている。


前回のことを気にしているのか…?



さっき食堂に入るや否や、天宝寺はパフェの食券を20枚ほど買って列に並んでいた。


俺は後を追うように、自分の分の日替わり定食の食券を買って列に並んだ。


「えへへ。黒城くんに一つあげる。」


天宝寺は食券を1枚、俺に渡してきた。


「いいの…?」


「この前迷惑かけたから、そのお詫びにね…」


迷惑…?なんのことだ?


お詫びと言われても覚えてないのだから…詫びられる理由はないのだが、本当に申し訳なさそうな表情を見ると、ここは受け取っておくのが最善だろう。


俺は有難く受け取っておくことにした。


「わーい。受け取ってくれてありがとう…!」


すごく嬉しそうだ。


その笑顔を見てるとこっちまで癒される。


天宝寺のパフェを運ぶのを手伝いながら俺たちは空いてる席に座った。


周りからの視線を感じながらも俺はある疑問を天宝寺に聞いてみた。


「なんで皆あんなによそよそしいの?ランキング制度があるとはいえ距離を置きすぎじゃない?」


「それはね…生徒会の方針だからだと思うよ」


「…生徒会?」


「私もランキング制度には興味無いから詳しくはないんだけど、生徒会が掲げる“個人能力至上主義”の方針のせいで、ランキングに興味ある生徒が“能力”そのものが相手にバレるのを恐れて距離を置き始めたの。」


「“個人能力至上主義”…?」


「うん。ランキング制度で上位に入った者には、月ごとに支援金と この学校の運営に関わっている一部の企業の施設が無料で利用できるらしいよ。」


「…ほほう」


「そのせいでランキングに興味ない人でも、気に入らない人が上位陣入りした時とかに寝首をかくために“能力”を隠してる…ってわけなの」


「ふーん。あまり競争心を煽るのは良くないと思うけど、その特典はなかなかに美味しい…」


ふと気づいたが、話してるうちにパフェはなくなっていた。


「天宝寺ってもしかして異空間の“能力”だったりする…?」


「…ふんだっ!黒城くんなんか知らない…っ」


拗ねた。


「パフェもう一つあげるから機嫌直してよ」


そして俺はパフェを劣化コピーした。


目の前の光景に天宝寺はキョトンとしていたが、天宝寺は俺に“能力”の一部を教えてくれたのだ。


俺も自分の“能力”の一部を見せることにした。


「すごい…!パフェ食べ放題だね!」


「これ使っちゃうと色々と倫理的に問題があるからね…。普段はあまり使わないようにしてるよ」


「じゃあ、頂きます。もぐもぐ。…あれ?そんなに甘くない…?それに、口に入れたらすぐに無くなる。」


「俺の“能力”は劣化コピーだからね。多分甘くないのは砂糖の量が減ってたりカロリーも減ってるからだと思うよ。あと、すぐに無くなるのは質量自体が減っているからだと思う。」


実を言うと、未だに俺は自分の“能力”の全容を把握していない。


視界に入ったものを劣化コピーすることまでは分かっている。


俺がA評価をもらえたのは見た目が本物と寸分違わないレプリカを作れるからだ。


能力を扱えていると評価を貰えたのだろう。


だが、この“能力”、もしかしたら『万物』に適応されるかもしれない。


パフェを劣化コピー出来た時点でタンパク質や油も作れることが判明しているのだから“あれ”も可能だろう。


神しか創造することが許されていない、禁忌の領域。


そう…生命さえも…。


俺はこの思考にそっと蓋をした。



俺は満足そうにしている天宝寺と共に食堂を出た。


「ランキングってどうやったら上がるの?」


「んーとね、学期末ごとに行われるランキング戦で勝ち進むことかな。三学期の時点でのランキングが次の年のランキングだよ。自主参加だからね、強い人だらけなの」


「ふーん、興味湧いてきたかも。」


「黒城くんってほんとお金に目がないよね…じーっ」


「その視線が痛い…うっ」


俺はしばらくの間、天宝寺の視線を感じて廊下を歩いていた。


すると、後ろから急に声をかけられた。


「へぇー、おふたりさん随分仲が良いじゃねぇか。」


「「…誰?」」


俺と天宝寺は一番はじめに浮かんだ疑問を問いかけた。


「おいおい、、、そりゃあないぜ。同じクラスじゃん。俺の顔忘れたのか?」


「…いたような…いなかったような…」


顔を1人だけ把握していないとしたら、いつもうつ伏せで寝ているせいで顔が把握できていない前の席の奴だけだ。


「なんで急に話しかけてきたんだ?」


怪しすぎる男に率直な疑問を問いかけた。


「いやぁ、生徒同士の距離感しかないこの校風で仲良さそうにしてるもんだからよぉ…。仲間に入れて欲しくなってな。」


どこからどう見ても仲間に入れて欲しそうにするタイプではない。


確実に裏がある。


だがここは敢えて乗ることにした。


「ふーん…仲間になってもいい。ただし、それは俺たちにとって、君が信用できる人間だってわかってからにして欲しい。」


「いいぜ。ただしこっちにも条件がある。俺はそんなに出来がいい人間じゃねぇからよ。信用のされ方は俺なりのやり方でやるぜ」


「わかった…。よろしく!」


俺は右手を差し出して握手を求めた。


「おう!よろしくな!!」


彼は勢いよく両手でそれに応じた。


「あ、あの…私完全に蚊帳の外なんですけど…」


バツが悪そうに天宝寺は男の方を見た。


「…俺は女は苦手だ」


「がーん」


ここで俺は、すごく重要なことについて聞き忘れていたのを思い出した。


「……………そういえば名前なんだっけ?」


目の前の男は唖然としながら俺の顔を見つめていた。


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