クレセントナイツ入団試験
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『クレセントナイツ』の入団試験は、一対一のトーナメント戦で行われる。
当日のくじ引きで対戦相手が決まるため、参加者はみな対戦時間ギリギリまで緊張感を保つ必要がある。
参加者は自らの職を賭けて戦うのだから、少し酷なルール設定だが、今回含め毎年百数十人がこのトーナメント戦に参加する。
それはひとえに『クレセントナイツ』の実績が大きいからだ。
幻獣種の最高峰『ドラゴン』を捕らえた逸話の実態は、城の外に首輪なしで羽を休める白銀の巨体が全てを語ってくれる。
ほとんど放し飼いと言って差し支えない飼い方だが、余程飼い慣らされてるのか周囲に危害を加えることは無い。
それに、他の数々の難関ミッションを次々と、淡々とこなし、それでいて国民へと慈愛を忘れない。
『クレセントナイツ』は国民からの敬意もさる事ながら、参加者たちからの羨望の眼差しを一手に受ける圧倒的な『強さ』を持っていた。
しかし、『クレセントナイツ』入団試験の合格者はまだ出ていない。
それはもちろん、トーナメント戦の優勝者のみが入団を許されるという超高難度の条件があることも関係している。しかし、それならば毎年一人は確実に入団できるはずだ。
『クレセントナイツ』の入団試験優勝者には優勝賞金として暫くは豪遊できる程の金額が用意されている。
賞金目的で参加する者も多いが、その賞金目的のみの参加者が毎年優勝しているのだ。
要するに、『お金は欲しいけど騎士様はいろいろ面倒臭いからいやです』という人が毎年優勝しているのである。
レシリアはその話を聞いて、自らの入団は確実だと確信した。
その程度の心意気の者が優勝する試験など造作もない、という自分への自信があったから。
しかし、レシリアの『クレセントナイツ』入団試験は、初戦から波乱の展開となった。
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