シシュバラ
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『シシュバラ』は貧困の国として有名だった。
『ワールドエンド』と呼ばれる巨大な火山群を四方で区切った国。
東の『イグラス』
西の『ウェデーヴァ』
南の『シシュバラ』
北の『ノルディン』
シシュバラはこれらの中で経済、軍事、産業他、どれを取っても他の三国の足元にも及ばない、国力の無い国だった。
そして、今から三年前のことだった。
シシュバラの国王が死んだ。
突然とこの世に突きつけられた事実は、『シシュバラ』の終わりを告げるに等しいものだった。
他の三国の国民は「シシュバラは終わった」と嘲り、国王たちも残された領土や、開発が進まず手付かずな自然を目当てに行動を始める準備を急速に進めた。
南を支配していた一国が潰れ、これからは三国の世の中になると誰もが確信していた中。
そのニュースはあまりにも鮮烈に、人々の心に刻まれた。
シシュバラの『国軍』が、ドラゴンを捕らえた。
幻獣種の中でも特に捕獲が難しいとされていたドラゴン。その戦闘力は、一騎従えるだけで幾万の兵のそれにに値する───。
それを、もともと軍事力も無い、さらに国王という大黒柱を失った国が捕らえた。
すぐに事実無根説が立ち上がったが、それぞれの国の派遣隊がその逞しく幻想的な姿を確認したことであっけなく崩れ去った。
かくして、数ヶ月の間に世間から大きな注目を浴びたシシュバラ、特に、お抱えの国軍『クレセントナイツ』は様々な意味で三国から目をつけられることとなった。
こうなると、三国の首脳たちは黙ってなかった。
すぐに調査隊を編成、派遣し、それぞれにシシュバラの謎を暴くように命令した。
しかし、以後三年間、各派遣隊の謎の失踪や通信断絶により、シシュバラの大きな飛躍の謎が解かれることは無かった。
そんな中、痺れを切らした『ウェデーヴァ』国の首脳陣は、シシュバラの謎を暴くある手を実行した。
それは、スパイの投入。
苦し紛れの一投であった。
しかしそれが、今後の世界の始まり《ワールドエンド》を囲む国々の運命を大きく左右することとなるとは、その時の誰もが想像しなかった。
主に歴史をお送りしました。
次から入団試験突入です。