生まれたことが失敗でした。
今日も今日とて僕は布団にくるまっていた。暖房をつけるのは電気代が勿体ない。働いてもいない人間がお金を使うなど分不相応だ。寝間着を来て布団と毛布にくるまっていれば寒さは凌げる。
無論部屋のカーテンは閉めきっている。太陽の光で醜い姿、今の僕は痩せ細った豚のような姿をさらされるのは苦痛だ。
寝ているから体力も使わない。食事も多く取らなくて済む。一日、バナナ一本とプライベートブランドのゼリー飲料、そして野菜ジュースだけ飲めば生きるのに必要な栄養素は取れる。
少量の便と尿を排泄するためと髪の毛と体を洗浄する以外に起きる必要はない。日がな一日本を読みあさり、枕元のパソコンで世の中の流れを知る。そして寝る。その繰り返しだ。
僕の気持ちは萎えたペニス、いや、勃起不全のペニスのようなものだ。やる気がある人間は勃起している
ペニスのように気力に満ちている。射精という快楽を得るため自慰行為をするように、達成感という快楽を得るために必死に生きている。
しかし僕は違う。性的不能者のペニスに手淫や口淫で刺激を与えても射精しない。それ以前に勃起しないように、どんな刺激を与えても反応することがない。
僕の気持ちも同じだ。どんなに刺激を受けても何の反応もしない。正直、この先生きていてどうなるんだろうか? うつの人間にまともな未来は見えない。多分、傷病手当金を打ち切られ、障害者年金で生きる。
つまり血税をから施しを貰って生きるのだ。乞食と同じ生きる価値の無い存在にまで落ちぶれるのだろう。だけど死にたいとも思わない。やり残したことなど何もない。自分に何の価値もないし、価値が出るとも思わない。
けど積極的に命を絶とうという気持ちにはなれない。かと言って前向きに生きたいとも思えにない。死にたくもないし生きたくもない。心臓が動いているし、脳も働いているから生きてるのだろう。
多分、便を排泄するのと同じようにこの世に生を受けてしまったのだ。便は水に流され廃棄物として処理される。多分、僕も廃棄物として処理される運命だろう。
この世に生を受けたことを後悔してみたけど、後の祭りだ。何もしたくない。このまま朽ち果てていくように死んでいければいい。それが僕の望みだ。