空と海の初心な挙動
今回は海の言動の一つ一つに注目してほしいです。
事前注意はありませんが、BLが本当に苦手な方にはあまにオススメできません。
この作品は「空と海の冬の花」の続きとなっています。
なので、先にこちらを見ることをオススメします。
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「あのさ・・・。いつまで、こうしてんの?」
恥ずかしさに耐え切れず、俺は口を開く。
「こう。って?」
空がいやらしく聞いてくる。
「だから、その。ぎゅっとしてるの」
「いつまでしてたい?」
「・・・・・・」
軽く質問攻めにあいそうな予感。
空が調子に乗るとかなりやっかいなので、少し申し訳ないと思いながら空を優しく突き放す。
空は俺の気持ちをよく分かってくれる。だから突き放したことも怒ってないと分かってくれると思う、多分。
「それじゃあ、遅いし。俺もう帰るわ」
「え?あの・・・えっと・・・」
まだ帰ってほしくない。もうあたりは真っ暗で遅い時間なのに、失礼なのは分かってるけど。でも、もうちょっとだけ一緒にいたい。
反射的に手が出ていた。
俺が繋ぎとめるかのように空の手首を握っている。こんな恥ずかしいことをしているのに続く言葉が出ず、余計恥ずかしくなり俯いてしまう。
すると空はそんな俺の気持ちを察してくれたのか、優しく言葉をかけてくれる。
「まだ、いてほしい?」
「・・・うん」
呟くように答える。
「もう遅いから、ちょっとだけだよ」
空は笑顔で言ってくれる。甘えていけないと分かっているつもりだが、空が優しくしてくれるから、ついつい甘えてしまう
「っていうか空。なんでこんな遅くなったの?」
俺は俯けていた顔を上げて聞く。
「あぁ、花買ってて。そのラッピングしてくれるとこ、ちょっと遠いから」
確かにラッピングは凝っていて、とても安物とはいえない風貌だ。
「ふーん。で、なんで赤いチューリップ?」
「花言葉。『愛の告白』」
耳まで火照り、赤くなっていくのが分かる。
「あのさ・・・。何で、お前はそう。率直に言うっていうか」
ってかなんで今になって、あんなこと。蒸し返すっていうか・・・。
空は何も言わず楽しそうに俺の頭をわしゃわしゃと撫でる。
そんなことをしていると、家の中からかーちゃんの声が聞こえた。
「海ー!夜ご飯できたよー!」
空に頭を撫でられながらかーちゃんの声が聞こえる。なんだか不思議っていうか、よけいに恥ずかしいっていうか。
「それじゃ・・・」
俺はそう告げて、家の中に戻ろうとして、そこで気づいた。さっき、引き止めるために握った空の手首から手を離していないことに。
戸惑い赤面しながら、手を離す。しかし、羞恥心で挙動がおかしくなってしまう。
それを見ていた空が、やけに落ち着いた声で言う。
「何?照れてんの?」
「・・・・・・仕方ないじゃん」
照れ隠しに言ったつもりなのに、余計恥ずかしい。でもこの言葉以外出てこなかったから仕方ない。
そうして俺が答えると、空が急にキスしてきた。
驚きのあまり目を見張るが、空と目が合うのが恥ずかしくって目を瞑る。
数秒間のキスがとても長く感じられた。キスしてくれるのは嬉しい。けど・・・
「・・・あのさ。俺前に、キスするときは言ってっていったじゃん」
「そうだね。でもさっきだけ忘れてた」
「なんだよ、それ」
さっきのキスでまだ熱い頬を心地よく感じながら、ちょっとした冗談に二人で笑う。
「それじゃあ、帰るね」
「もう?」
俺が聞くと、空はまた俺の頭を撫で、そして俺に問う。
「キス。していい?」
ずるい。そう思いながらも、少し背伸びした俺は幸せに満ちていた。
まだ不器用な海が一生懸命に恋愛に向き合う姿。
伝わったでしょうか?
まだまだ恋愛になれない海ですが、これからも応援よろしくお願いします!
そして、文中の「蒸し返す」という言葉。
これが意味を持つのは今後書いていく作品を読んでからです。
なので期待して待っていてください!
ここまで読んでいただき、恐縮ながらありがとうございました!