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出会い/少年
「あ、、、」
雨が、降りだした。
彼のライブはいつも雨で遮られる。
彼は考える。
まぁ、曲の途中じゃなくてよかったかな。
集まっていた人々は散り散りになって行く。
片付けようとすると、1人の少女がどこへいくでもなく立っているのを見つけた。
彼はつい、声をかけてしまっていた。
「君は、行かないの?」
彼は雨が嫌いだった。というより、雨でみんなが帰ってしまうのが悲しかった。
だから。彼のそばに佇み続ける少女を見て、正直嬉しかった。
彼女は答える。
「行く所、ないから。」
彼は聞く。
家には帰らないのかと。
彼女は少し、戸惑ってからこう言った。
「自殺しようと思って。どこかいい廃ビル知らない?」
彼は驚き、そして聞く。
どうして死のうなんて思ったのかと。
彼女は間髪おかずにきっぱりと言う。
「人生に疲れたから。」
と。
彼は、悲しかった。
自分と同年代の少女が、人生に疲れて自殺しようとしている、、、
その事実が、彼には信じられなかった。
そして考える。彼は、人の心を傷つけるものをよく知っていた。また、その逆も。
彼は思う。必死に言葉で止めるより、この方が伝わる、と。
しかし、彼は今の彼女に必要な曲が分からなかった。彼の知っているものには、適切なものはなかった。
彼は考える。
今の自分にはいい歌はない。けれど、作ることは出来る、と。
そして、歌い出した。




