第5話 直属任務
今日もいい天気だ。
体はもう大丈夫だとは思う。
なんだか、もうお外に呼ばれてる気がする。
ウズウズして翼で飛びたくなってるんだ。
そのとき、悪魔の道具が震えた。
「あ、指令かな?」
> ――お前に人を送る。
> ――スキル報告! 活動報告! 待ってるぞ!
続けて、もう一つ。
> ――報告はこうやって内容をまとめて返せ。
> ――街の外で合流だ。
なるほど。
やっぱりテレッツ様、僕のカッコいい報告をもっと聞きたいんだな。
よし、頑張らなきゃ!
「人を送る」ってことは……部下だよね?
どんな子なんだろう。
僕に部下を送るなんて、評価されまくりじゃないか。
朝から、なんていい日だ。
*
街の外で合流って言われても、場所までは分からない。
だから、とりあえず街を出て、空を飛んで探すことにした。
最初に通った入り口へ向かうと――いた。
コールさんと、知らないやつ。
一瞬、コールさんと目が合った。
でも、すぐに眉間に皺を寄せられて、近づくなって合図された。
……あれ?
前はもっと優しかったのに。今日は怖い。
その隣にいる知らないやつは、なぜか少し安心した顔をしている。
舐められてるのかな?
僕って、そんなに頼りなさそうに見えるのかな?
*
少しして、コールさんが改めて紹介してくれた。
いつもの丁寧な声だ。
……さっきのは勘違いだったのかな。ほっとした。
隣のやつをよく見る。
体格はいい。かなり強そうだ。
名前は、カゲアリ=インゲン。十五歳。
小さい頃からいろいろ苦労したらしい。
難しくて、正直よく分からなかったけど。
回復は闇属性で、人間社会ではあまり喜ばれない。
それだけは分かった。
でも――なんか暗い。
体は大きいのに、弱そうに見えてくる。
「僕の部下なら、明るくなって! 強くなれ!」
そう思ったから、言った。
「今日から君は、みんなの元気の源だ。
だから名前は――カゲイン。元気出そうだろ?」
「……カゲイン……。分かりましたデス」
よし、気に入ったみたいだ。
一緒にいるなら、楽しい方がいい。
名前は偉い人が決めるものだ。
僕も魔王様に名前と愛称をもらった。
だから、これは正しい。エッヘン。
カゲインは、偉そうな人を見る目で僕を見てくれている。
いいやつだな。
*
話が終わったと思ったら、コールさんが離れると言い出した。
早くない?
急に調べたいことができたらしい。
少し距離を取られたのが気になったけど、理由があるなら仕方ない。
部下を任されるなんて、本当に嬉しい。
羽を出して、空を飛びたいくらいだ。
*
カゲインが言う。
テレッツ様から、冒険者登録をしてクエストに行けと言われている、と。
この間、もう登録はしたけど……
今日はついていって、教えてあげることにした。
え、やり方知ってるの?
偉い人“っぽく”するのって、意外と難しいんだな。
じゃあ、宿に戻って報告だ!
> コールさん、カゲインと合流!
> 上司として愛称つけました!
> お金、稼ぎます!
今日は、テレッツ様の僕への評価も確認できた。
うん、満足だ!
*
――その頃のテレッツ。
執務室の窓辺で、夜空に向かって叫んでいた。
「お・れ・が……知りたいのは!
なぜ死にそうだったのかとか!
なぜ助けて欲しかったのかとか!
そこを報告して欲しいのだーーー!」
流星雨のような光が、誰にも見られず、ひっそりと流れていった。




