2 殺し屋VS殺し屋狩り
タクシーが古びた公園の前で停まった。
赤い帽子をかぶった男、サトシはそっと降りると、公園に入っていく。
その公園は昼間なら子どもたちの声が響く場所だが、今はひっそりと静まり返っている。
錆びた遊具や割れたベンチがいくつか点在し、草は伸び放題だった。
グラスは運転席から静かに降りると、すぐにタコ松も車から降りた。
二人は影に溶け込むように公園の茂みへと身を潜める。
二人は、葉のざわめきに気をつけて姿勢を低くする。
やがてサトシは、公園の一番奥にあるベンチに腰を下ろした。
そして、いきなり声を出した。
「バレバレだぞ」
その言葉に、グラスの心臓がわずかに跳ねた。
(気配に気づかれているのか)
その瞬間、グラスとタコ松は茂みの中から静かに姿を現した。
タコ松は少しへらっと笑いながら言った。
「見つかっちまったな」
グラスは冷静に目を細め、ゆっくりと近づく。
「あんた毒使いのサトシだな?」
「そうだが、お前たちは何者だ」
グラスは前に出る。
「殺し屋狩りのグラスだ」
タコ松も前に進み出る。
「タコ松だ」
サトシは微かに笑みを浮かべ、ベンチから立ち上がる。
「噂の殺し屋狩りか」
サトシはカバンからナイフを取り出した。
そのナイフには紫色の液体がついている。
「今日が貴様らの命日だ」
するとグラスは石を拾いそれをサトシに投げつけた。
「ぐっ!」
石はサトシの頭に直撃し前から地面に倒れる。
タコ松は倒れたサトシを上から押さえつけた。
グラスはサトシに近づく。
「あんた、ブラックって殺し屋について何か知っているか?」
サトシはグラスを睨みつけた。
「答える義理はない」
グラスはスーツの内ポケットから袋を取り出した。
「状況が分かってないようだな」
グラスは袋から歯ブラシを出した。
タコ松はその歯ブラシに反応した。
「俺の歯ブラシ!」
グラスはそれをサトシの鼻に近づける。
サトシは苦しみだす。
「うっ、、おえっ、、、」
グラスは更に近づける。
「このままじゃ鼻についちまうぞ」
サトシは大きな声を出した。
「言う!だからそれを近づけるな!」
グラスは低い声で問う。
「ならブラックについて話してもらおうか」
「ブラックは有名な殺し屋だ」
「それは知っている。居場所は知っているか?」
「知っているわけないだろ」
「そうか」
グラスはそう言うとタコ松に視線を送る。
タコ松はその意味を理解しサトシを押さえつける力を強くした。
「うっ!」
サトシは気絶した。
「用済みだ」
グラスはスマホを取り出し誰かに電話する。
「処理をお願いします」
暫くすると公園にいかつい男が二人やって来た。
グラスはその二人に会釈した。
男たちは気絶したサトシを抱き上げ車に詰め込んだ。
そのまま男たちは車で去っていった。
「例の殺し屋についてはなんも分かんなかったけど大丈夫だぜ次がある」
タコ松はグラスの肩に手を置く。
「あぁ次だ」
二人は車に乗り公園から去る。