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14 やっと見つけた


 三人は、ネオンに照らされた「スターロック」の看板を見上げた。


 錆びついたその看板は、長年この場所に根を張ってきた歴史を物語っている。


 グラスが一歩前に出る。


 「……ここだな」


 彼の声にうなずくように、タコ松とジャスティスも静かに後に続いた。


 扉を開けると、薄暗い店内には湿った空気とウイスキーの匂いが立ち込めていた。


 カウンターの奥には、白髪まじりの老人が一人、磨かれたグラスを手に佇んでいた。


 グラスが声をかける。


 「よぉ、いきなりなんだが……ブラックって名前、聞いたことがあるか?」


 老人は手を止め、ゆっくりと顔を上げる。


 「……依頼か?」


 その低く、くぐもった声に一瞬の沈黙が落ちる。


 グラスは目を細めた。


 「いや、奴の居場所を聞きに来た。協力してくれれば、穏便に済む」


 老人の手が、静かにカウンターの下へと伸びる。


 その瞬間だった。


 「動くな!」


 怒声と共に、ジャスティスの拳が放たれる。


 重い音を立てて拳が老人の頬を捉え、老人の身体は背後の棚に激突した。


 「ぐっ……!」


 棚のグラスがガシャガシャと音を立てて崩れ落ちる。


 グラスはすぐに拳銃を抜き、倒れた老人に銃口を向けた。


 「次は痛いじゃすまねぇぞ」


 床に倒れたまま、老人は口の端から血をにじませながら不敵に笑った。


 「……ずいぶん手荒い客だな」


 老人はかすれた声を漏らす。


 「ブラックは……〇〇町にいる」


 グラスの視線が鋭く光る。


 「案内してもらおうか」


 グラスは老人を縄で縛り、車に押し込んだ。


 やがて車は〇〇町に到着した。


 グラスは窓から外を見ながら問いかける。


 「どこだ?」


 老人がうわずった声で答えた。


 「まっすぐ行って、左に曲がれば……窓のない黒い建物がある」


 グラスはアクセルを踏み込み、指定された場所へ車を走らせた。


 やがて目の前に、黒くて重々しい建物が現れる。


 「ここか」

 

 グラスが呟いた。


 「どうやって入るんだ?」


 タコ松は老人の問う。


「ポケットの中に鍵が入っている」


 タコ松がそれを取り出し、グラスに手渡す。


 グラスは静かに言った。


 「ジャスティス、お前はこの爺さんを見張ってろ。タコ松は俺と一緒に来い」


 二人は気を引き締めて黒い建物へと歩み寄った。


 鍵を開け中に入ると、本棚しかなかった。


 タコ松が呟く。


 「これがモノマリストか?」


 「ミニマリストな」


 そう言うとグラスは本棚を横にずらした。


 すると隠し扉が現れた。


 タコ松が驚いて声を上げる。


 「隠し扉かよ!」


 グラスは扉をスライドさせ、地下への階段が現れた。


 二人は階段を降りていく。

 

 地下にはガスマスクをつけたブラックがいて、液体を混ぜていた。


 グラスが声をかける。


 「よぉ、あんたがブラックか?」


 ブラックが振り返ると、グラスはすでに銃口を向けていた。


 ブラックが冷静に問いかける。


 「お前らは何者だ?」


 グラスは銃を構えながら答えた。


 「殺し屋狩りだ」


 ブラックはニヤリと笑う。


 「噂のやつらか」


 グラスは鋭く尋ねる。


 「なぁ、小倉政江と小倉貴志の名に聞き覚えはあるか?」


 「小倉……俺が殺した人間か」


 グラスの目に怒りが宿る。


 「そうだ!俺はずっとお前を探していた!」


 ブラックは冷たく吐き捨てる。


 「復讐か」


 グラスはさらに追及した。


 「誰に依頼されて両親を殺した!」


 ブラックは薄く笑いながら答えた。


 「もう依頼主はこの世にいない」


 グラスは驚きの声をあげた。


 「なんだと?」


 ブラックは意味深に言った。


 「俺は報酬を受け取ったら依頼人は殺す主義だからな」


 グラスは呆れたように呟く。


 「イカれてやがる」


 ブラックは拳銃に指をさす。


 「撃たないのか?」


 その瞬間、グラスが引き金を引こうとしたが、突如全身に強い痺れが走った。


 タコ松も同様に体が痺れ、二人はそのまま床に倒れ込む。


 ブラックは冷静に言い放った。


 「この部屋には薄い毒ガスが充満している。死ぬほどではないが」


 グラスは必死に呼吸を整えながら目を見開いた。


 「くそっ……」


 タコ松も苦しそうに呻いた。


 ブラックは二人に近づく。


 「さてと、どうしてやろうか」


 






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