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これから

「ユリア、それは本当なの……」


 ウィルの一件が片づいた後、ユリアはアリアにレイのことを説明した。アリアはユリアの話を聞いて驚き声を震わせた。


「うん、間違いないよ。相手からぺらぺら喋ってくれたから」

「ギルザーク……あいつの名前がこんなところで出てくるなんて。しかもそのレイというのがあなたと同じ天眼持ちと来たか……」

「これは思った以上に厄介なことになるかもしれない。ごめん、僕が奴を捕まえられればよかったんだけど」

「気にしないで。それよりもあなたが言っていることが本当なら……」

「うん。君が考えていた魔王の配下の生き残りと戦えるくらいの魔法士を育成するのが急務になってくるね」


 ユリアの言葉にアリアは頭を抱える。


「ユリア。申し訳ないけれどあなたの生徒達の育成を急ぐ必要があるわ。これからあなたの負担は大きくなるかも」

「気にしないで。皆をきちんと育ててみせるから。それに皆に教えるのは僕自身も自分を見直すいいきっかけになってるから」


(あのレイと戦うなら僕自身もうかうかしてられないね)


 新たな脅威の出現にレイとユリアは決意を新たにするのだった。



「たっだいまー」


 どこかにある建物の一室、楽しそうな声が部屋に響き渡る。声の主はレイだ。彼はそのまま部屋の奥にいる端正な顔立ちをした銀髪の青年――正確には魔物だが――の側に歩み寄った。


「戻ったのか」

「うん、いろいろと収穫があったよ、ギルザーク。あなたに教えてもらった魔法もとても役に立った」

「機嫌がよさそうだな、滅多に本当の感情を出すことのないお前が。なにか面白いものでも見つけたか?」


 ギルザークの質問にレイは頷く。


「うん、とても強い人間と出会えたんだ。また戦いたいなあ」

「ほう、それはよかった。その人間が本当に強いのならお前の新たな魔王になるという目的を果たすためにその者とはいずれまた戦うことになるだろう」

「そうだね、その時が楽しみだ」


(ふふ、ユリア・レイクロード。僕と似ている人間……再び戦うのが楽しみだよ)


 ユリア・レイクロード。彼女の力を見た時、レイは生まれて初めて心が躍った。あれは自分が倒すべき人間だ。他の誰にも譲るつもりはない。

 人間は好きな相手が出来ると恋に落ちたとよく言うがこの感情はそういう感情に近いのだろうか? 彼女を見た時から片時もユリアのことが頭から離れない。


(あるいは執着というのかもしれないね)


 いずれにしても決して気分は悪くない、生きてきてもっとも心が躍っていると言っていいくらいだ。退屈だった日々に大きな楽しみが生まれたことは今回の大きな収穫だ。


「彼女を倒すためにも僕ももっと強くならなきゃね。再戦が楽しみだよ」


 不敵な笑みとともにレイの心の底から楽しそうな高笑いが部屋に響き渡った。



コンテスト用の作品なので一旦ここで完結となります。 ここまで読んでいただきありがとうございました。


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