ユリア先生の実践授業⑤
「うっ……」
「あっ、目が覚めましたね」
リーシャが意識を取り戻すと声がかけられる。声をかけてきたのはユリアだ。他の2人はすでに意識を取り戻していてじっとこちらを見ていた。
「先生、私達は……」
「うん、君達は私の作った人形に負けたんだ。皆、気絶させられて終了」
「そうですか……」
俯いて唇を噛みしめるリーシャ、シルヴィも悔しそうにしている。アダムは表情には出していないが心中穏やかでないのは見てとれた。
(この子達は同世代の中の王国最高峰の魔法士として今まで挫折というものをあまり経験していないのだろう。だからこそ今回の負けを糧に伸びて欲しいところだけれど)
「皆、この戦いを終えての感想を聞きたいんだけれどいいかな」
「すっごい悔しい!」
真っ先に答えたのはシルヴィだった。彼女は感情を隠さず、正直に訴えてくる。
「……もう、戦うのをやめようとか思いましたか?」
「とんでもない!」
シルヴィはユリアの言葉を即座に否定する。
「逆にやる気が出たわ。ありがとう、先生。正直最初に先生を見た時はリーシャが最初に言ったようにあたし達とあまり年が変わらない人が教えるってことが不安だったけれど……授業を受けてよく分かったわ、先生が凄いってことが。こんな人形を作りだすことも含めてね、だからもっとあたしを鍛えて欲しい」
まっすぐユリアを見て訴えてくるシルヴィ、それを見てユリアは顔を綻ばせる。
「今回の演習がシルヴィさんにとっていい経験になったならよかったです。私も助言できることがあったら積極的にしていくつもりだから遠慮なく聞いてきて欲しい」
「ええ、お願いするわ」
シルヴィは大丈夫と判断したユリアは次にアダムに話を振る。
「アダムくんはどう? 今回の戦いでなにか得るものはあった?」
「ああ、俺はまだまだということが分かった。あの人形相手に手も足も出なかったからな、当面の目標としてあの人形を超えることを目的に訓練をしていきたいと思った」
「それはよかった」
淡々としているがはっきりとした意思表示をアダムは行った。
「さて最後はリーシャさんですが……」
ユリアはリーシャのほうを見る。彼女は悔しそうに下を見て俯いていた。
「リーシャさんはこの演習をまだ続ける気はありますか?」
ユリアの言葉にリーシャは顔をあげる。その瞳には闘争の意思が見てとれた。
「もちろんです。2人がまだ演習を続ける意思を見せたのに私だけやめるなんて言うわけがないです。今回の演習で私の力不足は感じましたから」
「うん、その答えを聞けて私は満足です。とりあえず君達3人には当面この人形を倒すことを目的としてもらいます。さて……」
ユリアは満足そうな表情を浮かべて手を叩き、3人に告げる。
「とりあえず今日はこれで演習もおしまいです。この後はゆっくり休息をとってください。今日の授業はこれで終了とします」
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