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星夢ノ戦  作者: SCⅫ
変化
9/35

09:悪夢の変化

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

目が覚めたような感覚がした。


でもそれは単なる勘違いで。


僕は相も変わらず夢の中で海面に浮かんでいた。


空を見上げれば月が東に、太陽は西に浮かんでいて、夜のような暗闇と夕焼けの赤が混ざる空はこれから見るであろう悪夢に比べれないほどに美しかった。


この夢を見始めてから約一週間。この夢は何も変わらず、自分の心の中にある不安を掻き立てていた。


ザブンッ


少しずつ溺れていく。


そして頭の中に流れるあの日の焦燥。


『お母さん?お父さん?百合?いないの?』

『……帰ってこない』

『なんで?なんで?なんで?』

『電話してみよう』

『繋がらない』

『メールは?』

『返信がない』

『LACEは?』

『既読にならない』

『なんで?どうして?いないの?帰ってこないの?怖い辛い寂しい悲しい怖い辛い寂しい悲しい怖い辛い寂しい悲しい怖い辛い寂しい悲しい怖い辛い寂しい悲しい怖い辛い寂しい悲しい怖い辛い寂しい悲しい』


『そうだ、警察』


思考が落ち着いて冷静になって、やっと警察に駆け込んだ。


そして、親と妹が失踪してから約一週間後。


僕は親戚の家に引き取られることを勧められたが、祖父母は他界していて、また母にも父にも兄弟はいなかったため、拒否した。


すると今度は養護施設に勧められたが、これは嫌だった。家族がいないことを認めてしまうことは何よりも苦痛だった。


だからせめて、交流のある知り合いの家に行きたかった。


そして、このことを聞きつけ昔からの付き合いがあった神坂夫妻は、僕を居候させてくれた。


神坂夫妻の親はどちらも資産家で、僕とも交流があった。


孫のことが好きで、優と浅木を可愛がっていて、僕のことも気にかけてくれた。


僕自身、大分気に入られていると思っている。


そのおかげ……という言い方はバツが悪い気がするけれど、僕たちが住んでいた天遊家は神坂家名義で今もある。たまに僕はあの家で掃除をして、いつでも帰ってこれるようにしている。


そんなことを考えていると息が苦しくなっていく。周りは暗くなっていて、そろそろ、あの自分の溺死体をまた見ることになると思ったとき。


()()は見えた。


まるで釣り針のようだった。けれど、それはあまりにも大きすぎて。


その針は僕に引っかかると、僕はどんどん海面に上昇していく。


すると、思い出していたあの負の感情が薄れていく。


ザァッパァン!


そしてその負の感情がなくなり、僕が水面から出ると。


その針の主が語り掛けてきた。


「ヤッ……ト……ミ……ツケ……タ」


そこにいたのは公園で出会ったサソリだった。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「え?」


間の抜けた疑問の声を上げながら目覚めた修矢は、久しぶりに気持ちの悪くない朝を迎えた。

誤字脱字報告、批評(批判じゃないよ)コメント、ぜひよろしくお願いします。

LINE→線→紐→LACEっていう発想。つまりはLACEはLINEみたいなものです。

次回は4月24日18:00を予定しています。

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