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星夢ノ戦  作者: SCⅫ
日常
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05:夕焼けの公園と唐揚げ

「日常」ではなくなってきます

「はぁ……さっさと家に帰って寝たいわ…」

「「同意」」


睡眠導入もとい社会の番上先生の授業を六時間目に受けた日は大抵の生徒がこうなる。


修矢達は眠りたい頭を無理やり覚醒させようとして、半分寝ぼけた状態で下校している。


「なぁ、一回公園で休まないか?」「いいかも」「そうしよう」


優の提案を受けて下校中の道の途中にある空桜公園で休むことにした。



そこで昨日、何があったのか忘れたまま。



彼らは幼少期ぶりにその公園で遊んでいた。その時は百合もいたので少し寂しさを感じてしまっていた。


修矢達はブランコに乗り、夕焼けを眺めていると、ぽやぽやしていた頭が躍動感により徐々にちゃんと覚醒していく。そしてある程度の思考能力を取り戻すと、この時期に花びらの絨毯ができている森の向こうにある空を覆う桜、天桜を見に行こうという話になったところで。


「あっ、そういえば確かこの公園で……」


浅木がそのことを思い出した。しかしもう遅かったようだ。


ガサガサッ、ガサガサッ


そう。その森から出てきたのは今朝のニュースで見た、体長50㎝の黒真珠のような外骨格を持つサソリだった。


「キャァァァアアアァアァ!!」「ヒュッ……」


浅木は大きな悲鳴を上げた。優は恐怖からか息をのむ。


しかし、修矢は驚いていたが冷静だった。


少し話がずれるが、修矢は生き物にあまり恐怖を抱かない人間だ。


小学三年生のとき、修矢は優と浅木、そして百合と一緒にこの公園からつながる森を探検ごっこと言って練り歩いていた時のことだ。


突然、全長140㎝のヘビ(アオダイショウ。後に修矢が調べた。)が現れた時も、他の三人は怖がっていたが修矢だけはそのヘビがケガをしていることに気付いて治療をしたら仲良くなって、そのヘビにチュウスイと名を付けて、一緒に遊んでいた。今でもたまに遊ぶ時がある。ちなみに今ではチュウスイは3匹の幼いヘビの母である。


閑話休題(それはともかく)


修矢と対面したサソリは、驚いたことに修矢のバッグをハサミで指す。


「どうかしたのかな……」


修矢は自分のバッグを取り出し、中身を漁って外にモノを出すと、サソリは弁当箱を指した。その中には食べきれずに残した唐揚げが入っている。


まさかと思いながらも修矢は聞いてみる。


「……おなか減ってるの?」


サソリは針のついた尾を振る。


「ははは、分かったよ。はい、あげる。」


その唐揚げを地面に落とすとサソリはカサカサと這い、唐揚げをムシャムシャと食べていた。


その光景を見て修矢は微笑ましく思った。担し、浅木と優は引いている。当たり前である。


そしてサソリは唐揚げを食べ終えると、森の方へまたカサカサと這っていった。


「……ったく、お前は本当に何をしてるんだ…」


優は呆れた声を出した。


「本当に怖かったんだからね!」


浅木の目はうるうると潤んでいて今にも泣きそうだった。


「ごめんごめん、心配かけちゃったね。」「本当よ。」「まったくだ。」


そんな風に修矢が叱られていると、


「こっちです。こっちで女の子の悲鳴が……」「あっ……」


浅木の悲鳴を聞いた近隣の人がお巡りさんを連れてやってきた。


「ごめん、僕がサソリに餌をあげたっていうのは内緒で。」「しょうがないわね……」「分かったよ。」


その後、三人は森の方からサソリがやってきたこと、自分たちは腰を抜かしたこと、しばらくしたら森の方へ帰っていったこと……


修矢がサソリに餌を与えたこと以外は包み隠さず話した。


そして、とりあえず問題はないだろうということで電話番号と住所、名前を教えると解放され、家に帰っていった。

誤字脱字報告、批評(批判じゃないよ)コメント、よろしくお願いします。

最近、大分ショッキングな出来事があったので大分気持ちがきついです。

次回は4月10日18:00を予定しています。

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