30:勉強会②
「「こんにちは~」」
雪と蝎奈は神坂家の扉を跨ぎ、家の中に入る。
「はじめまして、浅木と優の母の夜宵と言います。話は聞いてますよ、浅木曰く絶対に目を離してはいけない二人だと。ふふっ。」
「……なるほど、浅木がそんなことを。」
「……ああ、そっか。」
「?」
夜宵は雪と蝎奈をじまじま見ながらそんなことを言うと、その後に修矢の方を見る。
しかし、修矢は何も分からない。
……もしかして彼を刺すのは僕になるのでしょうか?
夜宵は少し困ったような顔をすると、もう一度二人に顔を合わせ、同情するような目を向ける。
雪はその同情をありがたく頂き、多少首を縦に振る。そして蝎奈はすご~く複雑な表情をしながら首を俯けた。
「?」
そんな蝎奈を見て不思議そうな顔をする夜宵。蝎奈と話してみようとする。しかしまあ、彼女は家にいるわけで。
「いらっしゃい、蝎奈、雪先輩。」
浅木が勉強部屋を片付け終わり、玄関にやってきた。
「やあ、おはよう!神坂妹!」
「おはよう、浅木!」
「喧しい。」
ガチャッ「あれ、先輩たちもう来たんだ。」
離してる最中に後ろから優がやってきた。
「あれ、いろいろ買ってきたね。」
「よくよく考えたら先輩と蝎奈の菓子の好み知らんから適当な安牌買ってきた。お小遣いとかお年玉、全部合わせて10万くらい残ってたし、まぁいいかぁって。」
「ああ~本当だ、オレンジとリンゴジュース、野菜ジュースのパック。コーラにサイダー、ジンジャーエール、ポテチ、ミニシュー、ポッキー……これ大丈夫?こんなに買って食べ飲みきれる?」
「まぁ無理だったら俺の部屋の冷蔵庫に入れとくよ。」
「そういえばあったね、去年の誕生日に買ってもらったっていう冷蔵庫。」
「中身を整理すればこれくらいは入るだろ。」
「それじゃあ消費期限やばそうなやつから食う?」
「まぁそんなものないと思うが……ってか重いんだが。修矢、手伝ってくんね?……あ。」
「どうかした?」
「ははは……アイス買ってたのすっかり忘れてた!」
「ばか。純粋にばか。さっさと冷凍庫に持ってくぞ。」
「悪い悪い。」
二人はいつの間にか消えていた女性陣に気付いてから靴を脱ぎ、速攻で優の部屋へ。そしてアイスをすぐに入れる。
ギリギリ溶けてなかった。
「ふ~……ギリギリ大丈夫だったか。」
「でもあのバーアイス、少し形歪んでなかった?」
「いいんだよ、さっさと俺たちもこれ持って勉強部屋行くぞ。」
二人は優の部屋を出て、勉強部屋へ向かう。
さて、すでに部屋の中が少々姦しいが、扉を開けた二人の目の先にあったのは。
「そういうところがデリカシーないっていうんですよ、雪先輩!!!」
「ははは、失礼したな!それはそれとしてやはり少し太ったんだろう!」
「それを言うな~~~!!!!!!!!!!」
キャットファイトをする浅木と優、そしてあわあわしている蝎奈だった。
誤字脱字報告、批評(批判じゃないよ)コメント、よろしくお願いします。
テストで純粋に憂鬱
次回は10月2日 18:00を予定しています。