27:特訓と勉強④
「そ、そんな…まさか…」
スコーピウスは恐怖と驚嘆、そして一抹の期待を乗せた目になっていた。
「……?蝎奈?」
「あ、ごめん修矢君。大分辛かったよね。本当にごめんなさい…」
修矢からの言葉を聞いて、自分が彼に何をしたのかを思い出したスコーピウス。誠心誠意、それは神の威厳も何もない、対等な存在としての謝罪。
「……うん、辛かった。けれど、これも約束の内だと思うから。僕はそんなに怒ってはないからもう謝らなくても大丈夫だよ。まぁただ、もうこんな思いをしたくはないかな?」
「それはそうだよね。どうしようか……」
バリッ
「え?」
スコーピウスは聞き覚えのある音がしたその空間の天井を見た。
そこには、確かにヒビがあった。
「なんで????」
「どうかしたの?蝎奈。」
「いや、想定ではもっと時間があるはずなのに……そう設定したはずなのに……」
そのヒビは伝播していき、空間全てにヒビが走った。
「ごめん、修矢君!この原因は調べておくから!また学校で!」
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「……くぁぁぁぁぁぁぁ~~」
修矢は自室のベッドの上で大きな欠伸をしながら伸びた。
「……朝ごはん……」
そう言ってパジャマを着替えるとリビングに向かった。
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「「「それじゃ、行ってきます!」」」
今日も仲良く三人で学校へ向かった。
その道中で話すのは最近の個人的な趣味に関することが主だった。ちなみに、修矢の趣味は天体観測や星に関することを調べることだがほかの二人はというと、優は工作などで、浅木は読書。
実は修矢が神坂家に来た頃、リビングの椅子は人数分無かった。それを即興で作ったのは優だったりする。
浅木の読書は一見すると普通の趣味のようだが、彼女は本当に「ジャンルを問わない」。合計6巻の普通のラブコメだと思ったら突然ヒロイン死んで鬱展開になる、みたいな常人が読んだらもうしばらくは本を読みたくなくなるような本を読んだ後に、平気な顔して不条理ギャグジャンルの小説を読み、それが終わったらビジネス書、参考書、自己啓発本、新聞のまとめ、ラブコメ、なろう系、古典、海外小説。
多分今までで読んだ活字本の総量で言えば、同年代最多なんじゃないかと言われるほどに読んでいる。
「やっほー!おはよう、みんな!」
「おはよう、蝎奈」
そのまま蝎奈と合流、そして学校へ。
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朝のHR
「1か月後、試験がある。しっかりと勉強するように。」
宮川先生からの言葉を受けて、修矢はふと蝎奈の方を見る。
……マジか、と今にもいいそうな顔をしていた。
誤字脱字報告、批評(批判じゃないよ)コメント、よろしくお願いします。
次回、「蝎奈のための勉強会」
次回は9月11日 18:00を予定しています。




