25:特訓と勉強②
「……大体は理解した。」
修矢の脳は悲鳴を上げていた。当たり前だ、知らないことを急に頭に放り込まれたら誰だってそうなる。
しかし、理解できているのはひとえに修矢のスペックの高さによるものだ。
これは後天的なものである。
自我を持ち、ありとあらゆるものに興味を持つのが人間だ。そして、その興味を持ったものから選択し、少しずつ学んでいき、その積み重ねが人の特徴を作りあげいてく。
そして、天遊修矢は貪欲だった。
興味を持ったものを自分自身の満足のいくまでやり続け、それを興味の限り積み重ねていく。
小学三年生の頃、彼はピアノに興味を持った。
そして、独学でピアノを学び続けた。地道に、確かに、一歩一歩、塵も積もれば山となるの精神で。
その結果、当時の流行りの曲を弾けるくらいになると、彼は満足し、ピアノを止めて別のことに興味を持って取り組んでいった。
これを繰り返した。これをひたすらに繰り返した。効率的に学ぶために理解力を上げた。短期間で学びきるために集中力を高めた。
これらの経験を経て、修矢は圧倒的な理解力と集中力を得たのだ。
「……驚いた。本当に完全に理解している。改めて君を選んで良かったと思うよ。」
スコーピウスは感嘆した。彼女は安心したような顔をして、次の話に入った。
「それじゃあ次は特訓、のためにもここ、神夢場での戦いの話をしよう。前にこの場所では夢が力、という話はしたよね?」
「うん、覚えてる。」
「この場所では一人一人の夢……想像力が力になるんだ。」
スコーピウスは右腕を振る。するとその右手には赤い宝玉のついた杖が握られていた。
「これは私が特注で作ってもらった……これを基にしたもの。性能や質量、触感までも、全てが再現されている。」
彼女は左の裏拳で空間にヒビを入れると、そのヒビの先から同じものを取り出した。
「ここでは自分自身の想像力をそちらの世界のゲームのMPのように、異世界ものの作品における魔力のように個人によって違う限りをもつエネルギーなんだ。この場所では無条件で空から物を作れるんだ。これから君には、その想像力の使い方を知っていってほしい。」
ここで一つ、修矢の中に疑問ができた。
「それじゃあ、逆はどうだい。無条件で存在するものを無にすることは可能なのかい?もしできるのであれば、対戦相手を、または対戦相手が生み出したものを破壊することもできると思うのだけれど……」
「いい着眼点だね、修矢くん。しかし、それは恐らく不可能だ。まずは対戦相手を破壊する行為だけれど、君たち、星夢ノ戦の参加者にはそんな「つまらないこと」をさせないためにそのようなことが不可能にするために失わせる権限が与えられていない。また、その相手が生み出したものもまた作り出した者と直接繋がっているからね。不可能と考えられる。」
「……恐らく、というのは?」
「ああ、それは簡単な話よ。この世界には絶対なんてものはほぼないからね。私が唯一知っている絶対は、全ての権限を行使することが可能な全神様に逆らえる者はいないってことくらい。」
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先週は投稿できなくてすみませんでした。
カクヨムにて、新作「同じクラスの同級生の幼馴染が僕のことを好意的に見ていて、その同級生の目線が痛いのだが……それはそれとして俺の嫁が今日も可愛い。」を投稿しています!ぜひ見てみてください!
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次回は8月21日 18:00を予定しています。




