22:誓いの儀
「ありがとう……本当にありがとう……」
ふと修矢が蝎を見ると、彼女は泣いていた。
まるで九死に一生を得たかのように泣いていた。
「えっと……」
見かねた修矢は蝎奈に声を掛けた。
「あ、ご、ごめん。それじゃあ、よろしくね。」
蝎奈は指を使って涙を拭いながらそう言った。
「それじゃあ、誓いをしようね。」
「誓い?」
「うん、誓い。」
そう言うと蝎奈はフィンガースナップをした。
直後、蝎奈の姿は白煙に包まれた!
そして煙が晴れると……
「これが本当の私の姿なんだ。」
そこには神々しいとしか表せない、確かに”神”を理解させる圧を持つ少女……天蝎宮神スコーピウスがいた。
肩ほどまでだった蝎奈の赤髪はポニーテールのようにまとまっているが、その頭の頂点で結った先が野球ボールほどの球状に六つがそれぞれ金のリングで繋げられていた。
そして一番先の髪球の先はまるで針のように尖っている。
「サソリっぽいでしょう?この髪をもとにサソリの形は決まったからね。………やっぱりあいつ、半殺しにしようかな……何が「個性的な髪型だね!」なんだか。爆笑してたじゃない。しかもそれをネタにずっと擦り続けてきたうえにわざわざ生物の、しかも尾の形に使うなんて(小声)」
なにかぶつぶつ言っている。しかも周りにはどす黒いオーラを纏っている。
それを見ている修矢はどこか既視感を覚えながらも少し震えていた。
「あ、ごめん。それじゃあ、誓いの儀を始めようか。」
そう言うと彼女は自分の掌を爪で切り、修矢の手を取ると、その掌にも爪で真一文字に切った。
不思議と修矢に痛みは無かった。
「我、星神帝スターリスト・ムーサン・レヴラカイ様の眷属である
我、太陽神帝様との交信を任されし黄道十二神が一柱である
我、星神帝様の下に仕えし八十八神が一柱である
我、此度の星神帝様の催す”星夢ノ戦”に彼の者と共に挑む
彼の者、地球世界に住まう一人の少年である
彼の者、我が下に属する者となる
我が名、天蝎宮神〈繧ケ繧ウ繝シ繝斐え繧ケ〉
彼の者の名、天遊修矢
ここに我ら、〈繧ケ繧ウ繝シ繝斐え繧ケ〉と天遊修矢の盟約を結ぶ!
我が払う対価、それは彼の者の血縁者の情報!
彼の者はこの対価を以て我と共に”星夢ノ戦”に挑む!
これを以て、誓いとす!」
蝎奈……スコーピウスは修矢の掌に刻んだ傷と自分の掌に刻んだ傷をぴったり重ねる。
「修矢君、ここで君が誓うと言えば盟約が完了する。私が払う対価は述べた通り。改めて、お願いね。」
彼女は先ほどまでの荘厳な雰囲気を解いてそう言うと、再び荘厳な雰囲気へと戻る。
「彼の者、これを誓うか!」
修矢は間髪入れずに言い放つ!
「誓う!」
修矢がそう言い放った瞬間、足元に修矢とスコーピウスを中心に魔法陣のようなものが刻まれ、輝きを放つ。
そしてその輝きは彼の手の甲に文様を刻み、掌の傷をなくした。
「……これで誓いの儀は完了だよ。よろしくね、修矢君。」
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SCⅫ は スマホ を手に入れた!
次回は7月24日 18:00を予定しています。




