18:星夢ノ戦
「それじゃあ、事情説明を再開しようか。
そんな訳で星神帝様も代代わりしよう、ってことになったんだけど。
星神帝様には子供も妻もいなかったものだからどうしよう?って思ったんだって。
それで、星神帝様は自分の配下たちに自分の跡取り候補を選ばせることにしたんだ。
星神帝様の配下の数は他の神帝様と比べても数が多いからね。
そんな風に選ばれた人たちを……星神帝様の友神の夢神帝様が作った神夢場を使ってたくさんの試験を行って、そこに最後に立っていた人を自分の跡取りとする、って風になったんだ。」
淡々と語られる荒唐無稽なファンタジーに驚く修矢。
それを見ずに説明を繰り返す蝎奈はどこか必死なように見えた。
「そんな風に八十八神というパトロンに選ばれた八十八人の人たちで、神の座の争奪戦をする……
その名を『星夢ノ戦』
そういうことで、君は私の選んだ人、ってわけ。」
「なんで……僕、なんだ?別に僕は……少し勉強ができる程度で、体力とかは並みだよ……」
修矢はなぜ自分を選んだのかを蝎奈に問う。
すると彼女は悲しそうに笑いながらにこう言った。
「この神夢場で活動するには、明晰夢を見れる必要があるんだ。一度きりでも、それを私が確認できればいいんだけど。」
「僕意外にも、明晰夢を見れる人はいると思うけど……」
「それはね、君が一番強い思いを持って明晰夢を見ていたからだよ。」
「一番強い思い……?」
「恐怖、寂寥、疑念……負の思いだよ。覚えがあるでしょう?」
「っ!?」
そうだ。修矢はあの悪夢を見ていたことを思い出す。あの悪夢を見てた時、間違いなく自分がこれを夢と覚えていた。
「この神夢場では、思いの強さができることに直結する。それほどの感情……間違いなく逸材だよ。なんせ、別の人の夢を見ていてもその全てを超えて感じたから。」
申し訳なさそうに目を伏せる蝎奈。そんな中、修矢が疑問を感じた。
「それじゃあ、どうして、他の星神帝様?の配下の神様たちは僕のもとに来なかったの?」
「多分だけど、君の感情が強すぎるあまり、近づくことができなかったんだと思う。実際、私も君と会うまで入れなかったから……」
「?君と会ったのは悪夢を見なくなってからだと思うけど……」
「君と初めて会ったのは私が転校する一週間前だよ。きっと分かるんじゃないかな?」
「……あ、あのサソリ!」
「そう、それが私だったの。それからすぐに君を助けた……いや違うな、君を釣ってずっと君とこの場所で会話できることを望んでいたんだ」
パキッ
その真っ白な空間に音がした。何かが壊れるような、音が。
「あ、もう終わりか……それじゃあ、また学校で。」
バキバキバキバキっ!
次の瞬間、その空間は砕け散り、修矢は自分のベッドで目を覚ました。




