17:つい最近の出来事
「神…様……?それ……にここ…は?一体…どういうこと……」
突然のことだったためか、未だに修矢は呆然としていた。
「順に説明するね。あ、その前に改めて自己紹介をしておいた方がいいよね。」
改めて自己紹介をする、といった蝎奈は明るい雰囲気を一瞬にして巨大なプレッシャーに変化させた。
「私は全ての世界の外の世界を司る星神帝様直属、
世界の昼を司る太陽神帝様との交信を任されし黄道十二神が一柱……
〈繧ケ繧ウ繝シ繝斐え繧ケ〉」
その声は人間が認識できない、聞き取ることもできないような声だった。
「え……?」
「あぁ、そっか!人間はこの言葉を聞き取れないんだった!え~と、人間の言葉に直すと……?
スコーピウス?スコーピウス。うん、私の名前はスコーピウス!」
プレッシャーは一瞬で解かれ、彼女は先ほどの言葉を人間の言葉に訳す。
「まぁでも、蝎奈でもいいよ。しばらくの間は私は蝎奈なわけだし。」
「う、うん。え、これって夢……だよね?」
少しずつ状況を理解し始めた修矢は、夢であることに気付いた。しかし、夢というにはいささかリアルが過ぎる。
「う~ん、ここは夢の中にできた世界なの。記憶も身体能力もそのままだし、ここで繋がった他の人にも記憶は残る。私たち神は神夢場なんて呼んでる。」
「……それじゃあまさか……」
「そう、私が神っていうのは本当。そしてあなたにお願いしていることも本当。あなたには神様になってほしい。」
真剣な眼差しを向けられる修矢。その眼には尋常じゃない力が込められていた。
「!、そうだったわ、ごめんなさい。まったく事情を知らないものね。」
そう言うと、彼女は申し訳なさそうに口を開いて事情を説明し始めた。
「まずね、私の上司?みたいな神様がいるの。その神が星神帝様。
そしてそのさらに上の上に全神様、っていうこの次元の仕組み全てを作った神様の神様みたいな神がいるんだけど……
その神様が最近、現界……あなたのような人たちが住む世界にお忍びで遊びに行くことが増えてたんだ。
そしたらね、そこで一目惚れした、なんて言ったらしいの。
その後はもう、周りの神様の反対を全部力でねじ伏せて、その人と大恋愛。
挙句の果てにその人に自分の正体を全部さらけ出して、彼女の死後、全神様が出会った時の姿で、神にして結婚したのよ。
彼女は完全な善人でね、地獄の神様に調べてもらっても、虫一匹殺したこともない程の聖人だったらしくて、それを知ってからは反対する神もいなくなったわ。
そもそもそれほどの聖人なら、いずれ神になっていただろうし、ってね。
で、その神様……〈邯イ驕皮・槭譛ア髮�〉様はね、全神様から時間を司る力を与えられて女神になったんだけど。
って、そんな話はどうでもいいか。
まぁとにかく、その一番上の神様が結婚したの。
でね、二人の間に子供ができたんだ。まだ産まれてはないんだけどね。
そしたらもう一大イベントになって、神様たちが代替わりし始めたの。」
一旦そこで話が切れる。
「疲れちゃった。ちょっと休憩……」
「質問いい?」
「いいけど……何か気になることでも?」
「その全神様?は最近僕たちの住む世界の人が好きになったんだよね?で、その人は死んで神様になった。……そんなに早く死んだの?」
それを聞いて、蝎奈は盲点だった、と言わんばかりの顔をした。
「ああ、ごめんごめん、最近といっても100年前のことだよ。少し神に流れる体感の速度って結構まちまちでね。懐妊の報告なんて6ヵ月前なんだけどそれは普通に6か月、って感覚なのに100年前は最近、ってかんじるんだよ。私でも不思議だと思う。」
神様はどうやらとても不思議な感覚をお持ちらしい。
誤字脱字報告、批評(批判じゃないよ)コメント、よろしくお願いします。
神様の構造、説明するのめんどい。一応下に図を記載しておこうかな?
次回は6月19日 18:00を予定しています。
全神
↑
神帝(神王)
↑
一般神
↑
現人神
神帝は特に位が中で最上位、上位、中位、下位と別れます。
星神帝は上位神帝です。
神王はまた解説する機会があれば。