14:突発的な告白
(は、はぁ~~!?なぁに言ってるのよ天道さん!?)
浅木は心の中で叫ぶ。
そりゃそうだ。なんせずっと一緒にいた大好きな幼馴染に対して突然出てきた転校生が【運命の人】なんて言うのだ。
(へぇ~~やっぱり天遊は女たらしなのだろうか……これ以上ライバルを増やしてほしくないのだが……)
一方、雪もまた冷ややかな目と共に修矢と蝎奈を見ていた。
そんなことも知らずに修矢は突然に運命を語った蝎奈に疑問を抱く。それは、当然、Why?である。
「えっと……天道さん?なんでそんな話になったの……?」
「だって、誕生日も、好きな教科も同じ、好きな食べ物も同じなんだよ、これって運命じゃない?」
「だったとしても……」
「だからさ、修矢くん……私と付き合ってくれないかしら?」
(てゅえvぶいえpるwdヴbwすdvbrb!??!?!?!!?)
浅木は心の中で声にならない声を出していた。彼女にとっては青天の霹靂である。当たり前だ。
雪もまた、外は冷静を装っているが、内心はほぼ浅木と変わらないほどに荒ぶっていた。実際、雪の水筒を持つ手は小刻みに震えていた。
「えっと……天道さん、一応聞くけど……」
「蝎奈でいいわよ。」
「それじゃあ、蝎奈さん。その付き合っては買い物に付き合うみたいな付き合うではなく……」
「違うわ、男女の関係としての付き合い、よ。」
この強引さには、目を見張るものがある。と、いうか大分勢いだけに見える。しかし、修矢はそうとは思わなかった。本気に見えていた。
しかし。
修矢は少しだけ違和感を感じていた。まるで、この告白には別の思いが入っているような……
そんな気がしたのだ。
それは兎も角として、彼は口を開く。
「ごめん。今日あったばっかりなのに、君のことを僕は何も知らないのに、この告白を受けることはできない。それに……」
彼は少し逡巡すると口を開いた。
「今は僕の両親と妹が行方不明で、自分のことでいっぱいいっぱいなんだ。だからじゃないけど、とても今は、家族の行方が分かるまでは恋愛なんて無理なんだ。ごめん。」
修矢は蝎奈にしっかりと目を向けてそう断った。それに対して蝎奈は、
「それは……こちらこそごめんなさい。辛いことを言わせてしまって。それにそうよね、ほぼ初対面だものね……」
蝎奈は熱が冷めたのかしょんぼりとしてしまう。
「それに、共通点があること、っていうのは運命かどうか分からないじゃないか。実際、浅木と優の両親は好きなものもほとんど真逆だけど、仲良くしているよ。まさに運命の人と結ばれた、みたいに。」
「それもそうだね……ごめん、この告白は忘れてくれないかしら。これから、よろしくね。修矢くん。」
とても忘れることはできない告白劇だったと思っているが、修矢はそんな水を差すようなことは言わない。代わりに。
「これからよろしくね、蝎奈さん。」
忘れたふりをしてそう返したのだ。すると、
「天道さん、いえ、蝎奈。ちょっとこっちに来てくれないかしら?」
浅木は蝎奈を少し離れたところに呼び出したのだ。
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最近は五月病か低気圧化で体がだるいです。
次回は5月29日 18:00を予定しています。
◆お知らせ
同時並行で新作をやろうかと思っています。多分この作品みたいに定期投稿にはなりませんが出来次第投稿します。できたら報告しますので見てくれると嬉しいです。