13:運命の人
「え、天道さん!?」
「なんでここに……?」
優と浅木は困惑の表情を見せる。修矢は顔にこそ出していないが、内心では目ん玉が飛び出すほどに驚いていた。
じゃあ、雪はというと?
「あぁ、君が天遊たちのクラスに転入してきた天道か。女子弓道部に興味はあるか?」
「ありません。」
「そうか。まぁ、もしも入りたくなったら高等部の下弓に誘われた。といって職員室で女子弓道部に入ってみるといい。」
「そうですか」
と、初対面というのにマシンガントークを繰り広げていた。
「なんか仲いいわね……」
「「同感。」」
取り残された三人は、古くからの友人のように会話する雪と蝎奈にほぼ真顔でツッコミを入れていた。
「……で、一緒に食べてもいいですか?」
「……ああ、そういう話だったね。別に構わない……というか、別にこの屋上が俺たちのものっていうものでもないから、聞かなくていいよ。」
蝎奈が雪との問答を終わらせると、全員にこの屋上で昼食を食べてもいいかを確認する。それに対して優が「なんで許可をとろうとしたんだ?」と思いながらも答えた。
「いえ、向かいのあの屋上はあんなにも人がいたのに、こちらの屋上はあなた達しかいなかったので……てっきり専用なのかな……って。」
そう言って向かいの西棟を指す蝎奈。
「いや、そういうわけじゃないわ。西棟の屋上はここと比べても5倍近くの広さに差があるから友達のたくさんいる人たちはあちらに行くというだけで。私はsh…私たちはこの四人で十分だからこっちの屋上を使ってるのよ。」
「なるほど…それじゃあ私もこれから先、この屋上を使わせてもらいます!」
「それは……まぁいいわ。」
少し苦い顔をする浅木。
五人は黙々と昼食を食べた。そして昼休憩が半分に差し掛かった頃合い、全員が食べ終え、雑談を始めた。
「そういえばさ、蝎奈と修矢の誕生日って同じなんだよな。」
「そういえばそうね……」
「へ~そうなんだ……」
優が今朝の自己紹介で修矢も気づいたことを口にする。そのことに気付いた浅木はさっきよりも苦い顔をする。雪もまた、表情にこそ出さないが内心ではかなり驚くと同時に怪訝な表情をしている。
「へ~そうなのね。ねぇ、天遊くん。修矢くんって呼んでもいい?」
「別にいいけど……」
「それじゃあ修矢くん。もしかして理科好き?」
「そうだけど……」
「特に好きなのは?」
「「天体」」
それから先も蝎奈が修矢にいろいろな質問をする。好きな食べ物、趣味…etc
そしてそのことごとくが蝎奈と全く同じであった。
「ふ~ん……ねぇ、修矢くん。」
「なんだい、天道さん。」
蝎奈はとんでもないことを口にした。
「私たち、運命の出会いなのかもしれないわ。」
もっとも。
「「は?」」
浅木と雪にとって、とんでもないことである。
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最近忙しくて書ききったの24時間前……
次回は5月22日 18:00を予定しています。