11:転校生
カラオケで歌った日から翌々日、修矢たちの新たな一週間が始まった。
三人はいつも通り学校へ向かう。そんなこんなで学校に着き、友人たちと会話を楽しんで十数分。
朝のHRが始まった。
「あ~先週言ったが転校生が来た。新たなこのクラスの仲間だ。歓迎してやれよ。それじゃあ入ってこい。」
入ってきたのは日本人離れした赤髪とエメラルドグリーンの瞳を持った、可愛らしいというより美しいといえる、美少女であった。
「よし、自己紹介してくれ。」
宮川先生が、転校生に促すと彼女は流暢な日本語で自己紹介をした。
「はじめまして、天道 蝎奈です。この髪は地毛です。染めてません。兵庫県の方から転校してきました。誕生日は10月24日です。」
(ん?僕と誕生日が同じ…?)
修矢が心の中で思った通り、この二人は誕生日が同じである。
修矢が心の中でちょっとした偶然に気をとられていると、ふと蝎奈と目が合った。
ニコッ
蝎奈は何故か微笑んだ。
その後、彼女が席に着き、休み時間に突入すると、質問攻めにされていた。
「ねぇ、なんで髪が赤色なの?」「彼氏いる?」「前はどこの中学校だったの?」「なんでこの学校を選んだの?」「高等部はどの学部に行くか決めた?」「集団行動に必要なことは何だと思いますか?」
……最後、面接官がいた気がする。そんなことは置いといて、修矢達は次の授業の確認をしていた。
「げっ。次の授業、音楽だ。あの転校生も災難だな。一番最初の授業が争葉谷先生の授業なんて。」
「……そうだね。」
修矢と優の二人は、次の授業を考えて重い足取りになっていた。そしてそれと同時に蝎奈を哀れんでいた。
その後、浅木が合流し、次の授業が音楽だということを伝えると彼女は口元を引き攣らせた。
そして、三人は教室移動を終えて音楽の授業を受ける準備をした。
「すいません、争葉谷先生。私、今日転校してきた天道 蝎奈という者ですが。まだ教科書が届いていないので今日は配慮してほしいです。」
「分かりました。あの席に座ってくださいね。」
そうして蝎奈は指定された席に座る。
修矢も優も友人との会話していた。浅木はお腹を下してお花を摘みにに行っていた。だから気付かなかった。
その席が浅木の席だったことに。
そして授業が始まり、浅木が戻ってきた。そして席に座ろうとする。するとそこには蝎奈が座っていた。
「ごめん。天道さん、そこ私の席なんだけど……」
「えっ!?私、争葉谷先生に言われてこの席に座ったんですけど……」
クラスの全員が、争葉谷先生を見る。すると先生は、
「あら、蝎奈さん。私、そこに座りなさいと言ったかしら?」
その一言でクラスの全員が気付いた。
(((((これ、絶対責任転嫁だ……)))))
「いえ、絶対に言われました!」
声を荒げる蝎奈。しかし争葉谷先生はまるで何もなかったかのように、
「私はそこではなくあちらの席に座りなさいと言ったはずよ?」
と言って窓側の席を指した。しかし、修矢がとあることに気付いた。
「先生、そこは今日休みの霊泉さんの席です。
「……チッ」
争葉谷先生はまさかの舌打ちをした。そして、蝎奈を一睨みした。
その時間中、争葉谷先生は理不尽を蝎奈にすべて寄せた。
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最近、とあるK-POPアイドルグループのライブに行きました。
次回は5月8日 18:00を予定しています。