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第4話 周囲が勝手に盛り上がる

 まずは状況を整理しないといけません。

 気を失っている間に起こったことを聞くと顔から、血の気が失せる内容でしたが……。


 まず、私が最後に聞いたブランカの金切り声ですが、私が卒倒したことで上げた悲鳴ではなかったようです。

 むしろ、雄叫びに近いものでセバスが慌てて、止めに入らなければ、殿下の手足や体で積み木が出来る大変な事態になっていたとか。

 そのセバスも怒りを抑えながら、職務に徹したのですから、彼の執事としての矜持の高さがうかがえます。


 セバスの話ではユリアナが不在だったことが不幸中の幸いとのことでした。

 もしも、彼女がいたら、セバス一人では抑えられなかったことでしょう。

 それほどにユリアナの憤りは凄まじいものです。


 彼女を見ていると当事者である私の方が逆に冷静になってしまうほどに怒り狂っています。

 代わりに怒ってくれているのだと思うと何だか、嬉しいですが……。

 あまり、怒ると折角の可愛い顔が台無しだと思うのです。


「ミーナ。あなたが甘い顔をするから、ああいう馬鹿が調子に乗るのよ。アレの褒められる点なんて、《《顔くらい》》でしょ?」

「そんなことを言っては殿下に失礼だわ。あんな殿下にもいいところが……もう一つくらいは……あったかしら?」

「ほら、顔しかないじゃないの。アレは顔だけの役立たずなのよ。悪さをするのを引っこ抜いてから、マストの先に吊るし上げるべきだわ」

「それでは殿下が可哀想だわ。苦しいでしょう? 鮫の餌にした方が……」

「あたしよりもミーナの方が酷くない?」


 そうでしょうか。

 苦しみを長引かせるよりもスパッと終わらせる方が、殿下にとってもいいと思っただけなのですが。


「そうだったわ。ミーナはこういう子だった!」

「ええ。お嬢様はこういう方です」

「それでこそ、デ・ブライネの御屋形様でございますよ」


 褒められているのでしょうか?

 それとも、けなされているのでしょうか?

 表情からは褒められているはずなのにそうは思えないのはなぜでしょう。


「ミーナの体調が戻り次第、アレを送り返すよ!」

「はい」

「準備は全て、整っております」

「え? あの……私は?」

「「「休んでいて」」」

「ええ?」


 どういうことでしょう。

 当事者の私を放っておいて、話がどんどん進んでいませんか!?

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