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第14話 黄金の魔女

 ところが私の考えはどうやら杞憂だったようです。

 窓が叩き壊される激しい音がして、同時に金色の光が差し込むかのように部屋の中に小柄な影が勢いよく、躍り込んできました。


 金色の光ではありません。

 ユリアナ(ユリ)の長いブロンドが陽光に煌めいて、まるで黄金の輝きのように見えただけだったのです。


「ミーナ! 遅れて、ごめんね」


 一回転して、きれいに着地したユリは私とクラシーナの間に割って、入りました。

 瞳と同じエメラルドに染め上げられたジュストコールを纏ってますが、彼女は小柄で華奢なせいか、服が歩いて見えるところがまた、可愛いんです。


「ミーナ。変なこと、考えてないで集中して。集中!」

「分かってますわ」


 そうは言ってもユリの凛々しい姿は絵になるんです。

 この瞬間を目に焼き付けておかないといけませんよ。

 とても重要です。

 集中!


「いくら黄金の魔女といえども、丸腰で何をする気だ」


 クラシーナを盾にしておいて、そんな台詞を吐くカスペル殿下の顔はリューク殿下と同じはずなのになぜか、醜悪でとても歪なものに見えて、仕方ありません。

 歪んだ欲望がそうさせてしまうのでしょうか?

 悲しいことですね。


「あれぇ? 知らなかったの? 黄金の魔女の名の由来をこの髪だとでも思ってた? ばっかじゃないの。教えてあげるわ。この拳で!」

「ユリ。手加減。スマイルを忘れないで」

「はいはい。分かってるって」

「はいは一回ね」

「はぁ~い」


 言うが早いか、ユリは猫の構えに入りました。

 え? 猫の構えが何か?

 構え方が猫っぽいからではないかしら?

 ユリがやると可愛いのだけど。


 そして、彼女の両手の拳が金色の炎を上げ始めました。

 あの金の魔力の炎こそ、黄金の魔女が黄金の魔女である所以です。


「さぁ。懺悔の時間の始まりよ」

「なるほど。さすがは魔女だな。だが、クラシーナに手を出すことは出来んだろう? くっくっくっ」


 何でしょう?

 私とヨハンナ殿下を他所に話が進んでいて、口を出せないのですが……。

 助けを求めるようにヨハンナ殿下を見ると『諦めなよ』と言わんばかりに肩を竦ませています。

 ええ? 諦めるんですか。


「そうですとも。お嬢様。諦めてはいけませんぞ」

「お嬢様の憂いは我らにお任せください」


 その声は!

 セバスとブランカです。

 轟音とともに現れたました。

 床を突き破って。

 どこから、現れているのよ……。


 そのお陰でクラシーナが穴から、落下したのでユリを阻む障害は消えたとも言います。


「一気に形勢逆転だね。兄上、どうする?」


 ここぞとばかりに悪い顔をして、畳みかけるヨハンナ殿下は素敵です。

 ずっとタイミングをうかがっていたんでしょうか?

 台詞を決めてから、こちらにアピールしているところを見ると狙っていたんですね。

 ちゃっかりされている御方です。


 私も何か、こうパッとやりたいところですが、下手に集中が切れるとカスペル殿下の力が悪さをしそうですし、困りましたね。

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