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閑話 五人の王子2

三人称視点


 優れた容貌とは言えないまでも均整の取れた肉体で健康に恵まれた持ち主であるステファヌス王。

 王国の真珠と称えれらる美貌で知られるリーセロット王妃。


 二人の形質を受け継いだ王子達はいずれも愛らしい容姿で生まれ、それでいて健康にも問題はないように見えた。

 ただ、一人を除いては……。


 第一王子フェリクスは王の資質をもっともよく受け継いでいた。

 何をやってもそれなりにこなす万能の秀才。

 ただし、それは器用貧乏の一面の否めなかった。

 武芸においては第二王子エルヴィン、魔法においては第四王子ヨーゼフに後れを取ったのだ。

 しかし、フェリクスの強みはそこになかった。

 彼は良く言えば、個性豊かな……悪く言えば、まとまりのない弟王子達をまとめあげる長兄としてのバランス能力に優れていたのである。

 これは善良王と呼ばれた父親の資質そのものだったのだ。

 王太子に任じられたフェリクスの隣には王太子妃となることを運命づけられたクライフ公爵家の令嬢アンネリーセが立ち、その地位は盤石なものとなっていた。


 第二王子エルヴィンは父親よりも祖父である英雄王ヒエロニムスに良く似た資質を備えた武の人だった。

 座学よりも体を動かすことを好み、黙して語らずを地で行く口下手な男である。

 兄弟と同じく、優美な美男子然とした容姿でありながらもわざと短く刈った髪やぶっきらぼうで乱暴な物言いから、脳まで鍛えてしまった脳筋王子と揶揄されることもある。


 第三王子カスパルは長兄フェリクスに良く似た均整の取れた資質を持った王子である。

 何にでも()()()()の才能を発揮したカスパルだが、中でも興味を示したのが歴史であったと言われている。

 常に笑顔を絶やさず、困った者がいれば、手を差し伸べるカスパルの人柄に王太子に推そうとする一派がいたものの、本人にその意思が全く、無かった為に立ち消えとなった。


 第四王子ヨーゼフは母親が不妊治療で受けた魔法による影響を色濃く受けたのではないかと噂される異端児である。

 高い魔力を持ち、王家初の魔導師となるが人嫌いな性格ゆえ、あまり人前に姿を見せないようになった。

 常に白い魔術師のローブを着込み、フードを目深に被っていたことから、幻の白王子と呼ばれるようになる。


 第五王子リュークは生まれながらにして、不幸の星に生まれた男である。

 首にへその緒が巻き付き、この世に生まれた。

 危うくそのまま、死神の(かいな)に抱かれるところだったのを助かったのはひとえに妙な強運を持ち合わせていたのだろう。

 しかし、脳に長く、酸素がいかなかったのが原因なのか、彼は兄達のようには成長が出来なかった。

 兄達が簡単にこなしていたことが出来なかった。

 言語能力も低く、記憶能力に関しては著しく、劣っていたのだ。

 そんな彼に転機が訪れた。

 デ・ブライネ辺境伯パウエルが息女ヴィルヘルミナを伴い、登城したのだ。

 歴史家はこれを運命的な出会いと書き記しているが、デ・ブライネでの評価は真逆なものである。

 まさしく呪われた出会いであったと嘆くのだ。

 利発で聡明とされていたヴィルヘルミナの様子に変化が生じ、愚鈍と言われていたリュークに復調の兆しが見えた。

 はっきりとしていることはこのことだけである。

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