少女騎士紀伝　誓いと赦しと兵士たちと

　大陸が、未だ帝国として一つであった。剣と魔法の時代。未だ邪神の眷属たちが主の復活を企み、強大な力を持つ魔物が跋扈し、当時は平民と呼ばれていた只の人々は。その脅威にさらされ続けていた。
　彼らが頼ったのは、高い魔力を誇り魔法を独占していた貴族たち。その圧倒的な力で慈悲深い守護者として、或いは苛烈な圧制者として振る舞った貴族たちは、長い間、時代の主役、英雄として歴史を作っていた。
　一方の力無き平民たちは、そんな英雄たちをただ崇め、恐れ、そして端役にもなれる路傍の石として己の無力を受け入れるしかなかった、そんな時代。
　これはそんな中に現れた、微かな導。絶望の未来を知った少女と、ただ諦めるしかなかった傭兵、その二人に導かれた只の兵士たちの物語。