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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

断罪された悪役令嬢が、人生数日巻き戻って、真っ先にした事は全面降伏でした

作者: 更夜

短編完結。続編なしです。

一人称なので、分かりにくい部分はすみません。

いや、分かりにくいのは作者の力量不足ですよね。

恋愛要素は皆無ですが、悪役令嬢にタグ付けたら異世界(恋愛)に…。

「ここに、王太子の名において婚約を破棄する!」


ババーンと効果音が響くような、ドヤ顔の王太子の宣言。

傍らには異世界から召喚されたという聖女。こちらもドヤ顔。


そこからあれよあれよという間も無く、進行する断罪劇。

味方の筈だった取り巻きから出される悪事の証拠の数々。


絶望のあまり意識を失った私が、目覚めたのは…。




マヴァールという国があります。

私が暮らしている国です。

大陸の西に位置し、気候は温暖、豊かといって良い国。

しかし、その国の宮廷政治は王党派と貴族派が激しく争っていました。

つまり、中央の王族及び宮廷貴族と地方の領地持ち貴族の対立で混乱していたのです。

豊かで戦乱もない状況が、王族及び貴族たちの一致団結での国政に取り組む姿勢を奪っていた、とも言えます。

皮肉な事に。


現在、国王は病身で国政の主導権は貴族派の宰相が担っています。

私の父でもあります。

政治はまわっていますが、国王が公式行事にも参加が出来ない状態は、周りに敵対国はいないとしても対外的に宜しくない。

その為、成人したばかりの王太子の早期即位が望まれていました。


ただ即位に際して、失礼な事に婚約者の存在が問題とされました。

婚約者が問題という訳ではないですよ、…ない筈でした…。


これまでは、貴族派の侯爵家令嬢、つまり私が婚約者として正式に認められていましたが、ここに新たな婚約者候補として、異世界から召喚された聖女の存在が教会及び王党派貴族から推されるようになりました。


聖女が必要とされるような事態は無かった筈なのですが、国の行く末を憂いた教会が事態の改善を願った事で聖女が召喚されたとのことです。

なにやら怪しい言い訳のような気がしましたが、それに王党派が飛びつきました。


過去十数年前の、とある事件を切っ掛けに王族の権威が低下した事で、これまでは貴族派が優勢だったのですが、聖女を有した教会が出張ってきたことで、情勢が変化しました。


貴族派としては、貴族派の令嬢を婚約者にして、権力の維持を図りたい、王党派としてはそれを防ぎたかった訳で…。

王党派が狙ったのは、王太子の婚約者を貴族派である侯爵家の令嬢から、教会の後ろ盾がある聖女への交代でした。

それによって国政の主導権を王党派に取り戻したい。

教会の影響力も増大しますが、許容範囲と見積もったらしいです。

教会に国政を左右されるのは余り宜しくないと思いますけどね。

国全体よりも信仰の利益優先ですから。


しかし、王党派としても既に為された契約としての婚約を破棄ないしは白紙にする為には理由が必要でした。


婚約者である私も周りの意見にやや流される性格と言われ、注意される事も有りましたが、大きな瑕疵がある訳ではなかった筈です。


王党派としても、これまで国政を担ってきた貴族派をあからさまに蔑ろに出来る筈もなく、反発や報復も怖い。

水面下で妥協点を探りあっていたのでしょう。

貴族派も劣勢であることは分かっていた為、お互い落とし所を探って行く事には反対は無かったと、今なら分かります。


そして、婚約者を聖女に交代する代わりに、重要な役職の幾つかが貴族派に残される事になったらしいです。

得られる権益が0か100かではなく、50ずつ分け合おうという事です。

まあ、割合は前後するでしょうが。


ただ貴族派としても、神輿にしてきた私を切り捨てる為には大義名分が必要でした。

少しでも察せられる人には、事情があからさまでもです。


その為、私に希代の悪女になってもらう必要があった。

悪役令嬢計画が発動される事になったのです。ババーン!(効果音)


王太子の婚約者になる為に召喚された聖女なんて、おかしいし間違っている。

だが、聖女が王族に嫁いだ前例もある。

その為、自ら辞退する様に持っていく必要がある。

そう吹き込まれた私は、聖女追い落とし計画(実は悪役令嬢計画)に参加することになりました。


裏の事情にも気付かず、せっせと悪役令嬢をやっていた訳ですが。

いや何かおかしいという気持ちもありましたが、今更後にも引けず、自分の役割を全うせよという周りの重圧に逆らえなかったこともあり、仕方がないとも思っていました。


(悪役令嬢としての)計画の立案、実行はとある貴族派筆頭の令息が担っていました。

断罪の場で証拠を挙げ、今迄嫌々加担させられてきたと嘆いて懺悔した、とんでもない男です。


ちなみに計画において私の一番大事な役割は、その場にいる事。

後は台本通りの台詞と「ホホホ」の高笑いか。


計画において、何が起こるのかも詳しく知らされていない事が多かった。

まあ、人を陥れる具体的な計画なんてそうそう思いつかなかったので気にしませんでしたが。


最後にして決定的とされた事件でも、事前に何が起きるのかは全く知らされていませんでした。

聖女が階段から突き落とされた時は、正直やり過ぎではと慄いたが、ちゃんと受け止める役目の者も配置されていたようで一安心。

それを顔には出さずに、さも自分の目論見通りだと高笑いをする。


そんな私は、さぞ間抜けな道化師だと笑われていたのでしょう。




そして今、

人生巻き戻しを理解して絶望しました。

巻き戻ったのは僅か数日だったのです。


今から事態をひっくり返す時間も無いし、味方もいない。

逃げるにしても、生け贄である私を逃がす筈がない。


そこで腹を括った私がした事は、教会への出家、それによる貴族としての権利放棄(婚約の契約放棄も含まれる)でした。

要するに全面降伏です。

貴族としての生活も財産も全て失う事になりますが、命を失うよりマシと割り切りました。


これに驚愕及び驚喜したのが王党派と教会。

これにより、聖女への婚約移行がスムーズに行くことになり、貴族派への忖度が必要なくなった、とまでは言わないが、抑えられた。


それに王家がやらかした過去の事件も婚約破棄にまつわるものだった為、避けれるなら避けたいという事情もあったようです。


大慌てだったのは貴族派の面々。

貴族派としても、私をスケープゴートにする事で得られる見返りが無くなりそうになり、慌てて代わりに選んだのが、あの貴族派筆頭令息でした。

なにせ聖女を害する(ふりの)計画の中心人物でしたから。


それで、かなりの計画に変更はあるものの、無事婚約者交代となり万々歳…とはなりませんでした。


周りから裏切られトチ狂った令息はよりによって、聖女と王太子を襲ってしまったのです。

かなり血生臭い惨劇があったらしく、聖女はショックで引き篭もり召喚元に帰ると言い出したそうです。

王太子も重体、生き残っても後遺症が残り、王太子としての責務は果たせそうにないとのことです。

令息はその場で切り捨てられたとの事ですが、満足そうな顔をしていたとかなんとか。実は聖女とも、なにかしらの関係があったという噂も…。


困ったのは後継者問題。

そして、第二王子は未だ幼い。他に王女王子、(とある事件のせいで)王弟もいない。


そこで白羽の矢が立ったのが、今は亡き母が王族の血を引いていた私。

第二王子が成人するまでの中継ぎとしてですが、女王に即位することになりました。ババーン(効果音)

驚天動地とはこのことです。


勿論、出家はなかった事になりました。


所詮お飾りの女王ですが、今更貴族派の力になるつもりもなければ、王党派の為に積極的に働くつもりもないので構いません。

どちらにも恨みも有れば義理もある。

せいぜい、酷い争いが生まれないよう立ち回りましょう。

政策の賛成、反対の意見をお互い聞いて、女王として最終意見を求められる所は偏らないようにバランスを配慮しつつ、マシと思える方を選びましょう。


ただ、そんな中立的な舵取りが案外上手くいって、派閥の関係で潰されていた意見も通るようになったと評判になりました。

というより、今まで権力争いに力を入れ過ぎていただけとも言えますが、案外上手く次代に引き継げたと思います。





本人としては大した事をしたつもりは無かったが、混乱していた宮廷政治を落ち着かせ、派閥に関係無く人材を登用して国力を上げたと、後世において中興の祖と言われる事になるのは別の話。


ババーン!は余計だったかも?

令嬢の口調が統一されてないかも。

とある過去の事件はお察しでw。

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[一言] 俺は好きでしたよ〜ババーン!(笑)
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