driving in the rain
テールランプは
あめ玉を転がすように
暗闇を切り裂く
ワイパーの
せつない唸り声
暖房の生ぬるい風は重く
濡れた街は冷え冷えと光り
水滴は止めどなく流れていく
しずくの連なり膨れる様を
眺める助手席
二つ三つと
くっついては
たっぷりと溢れてく
何百回と聞いたアルバム
ボリュウムを絞って
さながら秘密基地めいた車内で
守られている 予感
タイヤの踏んだ
水溜まり
どこにも帰りたくないと
願っても
ここは
知ってる道ばかり
上手に迷子にもなれやしない
ハンドルを切る横顔
青看板の
丁寧な道案内
頼らなくても
ここから先の
行き止まりの
海岸はお馴染み
横たわる そこだけは
踏みしめられない
水平線には
届かない
ヘッドライトが照らす
みて
雨は
一斉に
黒い海原に
吸い込まれていく