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英雄に憧れて 2

「あれはゴブリンだな……かなり小さめだが油断をするなよ?」


「うん」


 初めての相手はゴブリン。生で見てみると少し気持ち悪い。だが小さめのサイズだったため意外と恐怖は感じなかった。


 八雲とゴブリンの目が合う。八雲の現時点での身長は百二十センチ。それと同じくらいの大きさのゴブリンは、八雲を見て笑っている。


 バカにしているのだろう。だが、それと同時に相手は油断をしている。八雲はそう思い、恐れずに間合いを詰める。


 突然の行動にゴブリンは反応が遅れる。八雲はその隙を見逃さずゴブリンの額に短剣を突き刺す。生き物に剣を突き刺す初めての感触はとても気持ち悪い。


 もう一匹のゴブリンは、怒り手で持っていた木の棒を八雲に振りかざす。八雲は、ゴブリンに突き刺した剣を引き抜き、攻撃を剣で受け止める。


 その衝撃でゴブリンの持つ木が折れ、ゴブリンは手ブラ状態になる。八雲は、先程の感触に少し動揺を感じながらもゴブリンの首を横一閃に斬り捨てる。


 ゴブリンの頭が宙に舞い、少し返り血を浴びる。初めてのモンスター退治は大成功に終わった。ゴブリンを二匹倒すと、レベルアップと書かれた画面が出現する。


「レベルアップした……」


 ユニークスキルのレベルアップは、レベルが上がる事にポイントが与えられ、そのポイントを好きなようにステータスに振り分けることができる。各ステータスは、一定のポイントまで上げるとスキル又はアビリティを習得できる。レベルに上限は無く、鍛えれば鍛えるほど強くなれる。ステータスは、ポイント振り分け以外にも、普通の戦闘やトレーニングなどで上げることができる。


 もう一つのユニークスキル、愛される者は特に何も書かれてはいなかった。確認しようとしてみるも、なんの反応も無かったのだ。


 そして、八雲は今の戦闘でレベルが一つ上がり、Lv.4なる。ポイントは3ポイント与えられ、今はまだ振り分けずステータスを閉じた。


「ヤック、お前中々センスあるなぁ! そんなに戦える七歳児は中々見ないぞ!」


「ホント?」


「ああ! これならお前を冒険者教育学校に入学させられるな!」


「冒険者教育学校?」


「ああ、全国から集められた、冒険者になりたいっていう子供を集めて鍛えるっていう教育機関だ。転生者の人も数多くいるって噂だ。そこに行かせようも思っててな」


「それはどこにあるの?」


「ここから三日くらいの距離の所に、世界の中でもかなり大きいと言われてる都市、セントラルがある。そこは何百万って人が集まっててな、とても栄えた都市なんだ」


「へぇー、そこにその学校があるんだ」


「そう。本当は俺らで育ててあげたかったんだがな、そうもいかん歳になっちまったもんでな」


「ううん、とても感謝してるよ。父さんにも母さんにも」


「ヤック……お前ってやつは、できた子供だ!!」


 涙目のオッサンを見て少し引きつった笑顔になる。だが実際の所、グリーとアーシャにはとても感謝をしている。グリーは戦闘スキルを教えてくれ、アーシャは戦闘での戦術や立ち回り、魔法の応用を教えてもらった。


 幸い、八雲は剣も魔法も普通くらいには出来るようで、それなりに教えてもらう事も多かった。だから子の七年間はとても有意義な時間だった。


「父さん達はここにそのまま残るの?」


「いや、流石にここももう危なくなってきた。最近モンスターの動きも活発になってきたし、何か起こってからでは遅いからな、俺らも一緒に都市へ引っ越す」


「引っ越すって……お家あるの? そのセントラルって場所に」


「ああ、そこは問題ない。俺とアーシャはちょっと顔なじみが多くてな。もう手配もすんでいる」


「手回し早!! っていうか、二人ってそんなに有名人だったの!?」


「まぁな。恥ずかしい話、俺らは昔はヤンチャやってたからな」


 二人の過去がとても気になるが、今はそんな時間ではない。ゴブリンの死体は金になる部分があるため剥げる場所は剥ぎ取り、帰還する。


「おかえり、グリー、ヤック」


「ただいま母さん」


「どーだった、モンスターは?」


「何とか倒せたよ! 母さんが背中を押してくれたから倒せた!」


「まぁ、ヤックったら……できた子ねぇ!」


 やはり二人は似ている。そう思った八雲だった。


「アーシャ、今回のでヤックが戦えるのが分かった。だからセントラルへ行く」


「そうかい。わかった、今すぐ準備をしよう」


「いつ行くの?」


「んー、五分後かな?」


「五分後!?」


 あまりな急な話に八雲は驚かざるをえなかった。そんな直ぐにここを開け放すなんてと、少し寂しい気持ちになる。


「ああ、そうだ言ってなかった。この家なら大丈夫だぞ?」


「え、何で?」


「まぁ見てればわかる」


 グリーのトンチンカンな話に八雲の頭の中はハテナマークで埋め尽くされる。そして五分が達、アーシャは何故か杖を持って魔法陣の上に立っていた。


「この魔法陣は?」


「引っ越す準備の魔法陣さね」


「ん????」


「さ、引っ越すよ!!」


 アーシャが杖でポンと床を叩くと、魔王陣が光り輝き始めた。その光は家中を丸く包み込み、少し地震が発生する。


「な、なんだ!?」


「ヤック、俺に掴まれ」


 八雲は急いでグリーに掴まる。暫くすると地震は収まり、アーシャも魔法陣から離れて杖を壁に立て掛ける。


「着いたよ」


「へ???」


「外に行ってみな」


 八雲は何が起きたのかわからず、アーシャに言われた通りに玄関のドアを開ける。そこは、前の一面森の景色が一転し、人が右往左往し建物が列居する場所へと変わっていた。

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