村二日目前
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「そんなことも分からないんすか」
「同期の人たちはもっと」
「使えねぇなぁ」
そうじゃないだろ。
目が覚めた。
「朝か。何時間寝ていた?」
『この世界では一回寝ると次の朝になります』
「さいですか」
毛むくじゃらのオヤジが現れた。
「昨晩はお楽しみだったみたいだな」
「いいえ」
朝一に見たくない奴が詰まらんことを言っていた。
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「良かったら村長に挨拶に行ってくれな」
「はぁ」
取り敢えずさっさと此処から出たい。
「さて、装備を整えるか」
『村長に挨拶に行かないんですか』
「後でいいだろ」
『はぁ。そのうち色んなことを後回しにして損しますよ』
「うるせーバカ」
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どうのつるぎ 450G
こんぼう 80G
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『ほら宿に泊まらなきゃどうのつるぎ買えたじゃないですか』
「いいんだよ別に。銅剣とか何それ錆びそう。棍棒の気分だからいいの」
「装備しないと意味ないからきをつけろよ」
武器屋のオヤジが言う。
『お約束のセリフですね』
「何の?」
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やくそう 8G
まもののエサ 20G
キメィラのつばさ 100G
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「ほう、これが噂の」
『キメィラのつばさです。一度行った場所に瞬間移動できるアイテム。薬草はHP回復アイテム。まもののエサが待望の、魔物を味方にする為のアイテムです』
「左様か。薬草を20個」
左乳首をプッシュ。
「んっ」
メニュー→装備→こんぼうを選択。
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「さて。狩りに行くか」
『村長に挨拶は』
「狩りの気分なの」
『もはや何も言うまい』
10時間後
スライムとの戦闘に突入。
【たたかう】をタップ。
最速でスライムに駆け寄り棍棒でスライムの頬をスコーン。ホームラン。
そうして空から降ってきた1Gを握り締める。
『慣れてきましたね』
「流石にな」
『単純作業が苦にならないんですか』
「階段を延々と上るのはともかく、こういうのは別に」
『へぇ』
【せかいじゅのはをてにいれた】
『あっレアドロップですよ』
「効用は」
『一匹或いは一人生き返らせることができます。一人の時でも自動発動するので安心です』
道具が自動発動って、どんな理屈だろう。
まぁもはや突っ込む気も失せてきた。そういうものなのだろうとして認識するだけだ。
『まー全滅ペナルティ払わなくて済む程度の意味合いなんですけどねー』
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「ホノオ以外の魔法覚えないな。もっとも、今のところ必要もないが」
『魔物使いを選ぶからですよー、例えば旅人のままならもう一つ、魔法使いを選んでいれば更に一つ、覚えてる処でさ』
「まぁ魔法とかよく分からんからいい。そろそろどうのつるぎでも買いに行くかな」
村に着くと宿屋の前に人だかりが出来ていた。
「どうしたんだ?バドル」
「ヘンタイの旦那か…俺が、鶏を仕入れに行っている間に、リカオソが襲ってきて…」
『半人半狼の魔物です。余りこの辺りには出ないんですけど』
「エレナとリリィが…」
バドルは宿屋の裏の畑で蹲っていた。