王座の間1
56
「魔王は、人間のつくった概念なのだろうな」
『そうですね』
「実際魔物は、一個体ごとに無軌道に動いている。強盗に殺人もする。その救いのなさをどうにか考えるための」
概念か。
「魔王さえ倒せば平和になると。安直な。後ろ向きな発想の宗教だな」
『本に人間とは愚かですねぇ』
「そうさな。魔王もいなかったことだし、そろそろ種明かしをしようか」
57
『おっ、この世界の仕様に気がつきましたか』
「あぁ、回答する」
『受け付けましょう』
「人間のみが死ぬと消える理由。この世界の人間が死ぬと、魔物になるんだろう」
『…ほぅ』
58
「魔物は強盗もすれば殺人もする。恐らくは生前の人間の負の部分が拡張されてそうなる」
『正解。ですが少し違いますね』
「何が」
『拡張されてはいないのですよ。人間そのままです、魔物は。ただ社会生活を送る人間とは違って、知性及び制御機能がほぼほぼ無いだけで』
「…そうか」
げんなりする。人間とは…。
「…正解ついでに聞きたいことがある。魔物がポップすると言ったな?死んだ人間が何処に現れる?」
『いいでしょう、答えます。まず、その人間の性質に最も近い魔物になります。幼い人間は幼い魔物に。そしてその魔物の生息地域のうちで、最も人死した所に近い処にポップします』
…そうか…やはり…。
いや、今となっては確証はとれないが…。
それでも、きっと。
スライムとドラキーとちゅらさを見回す。
リリィにバードにエレナ。




