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城下町2

38


「魔物だ!」


という誰かの声が響いた。


物陰から覗いてみる。


頭の無い、中身ががらんどうの鎧が闊歩している。


『彷徨騎士ですね』


自動操縦殺戮機械といった感じか。


城下町の者は皆建物の中に避難している。

じっとして動いていなければ問題ないんだろうな。


「うぃー、ひっく、大分のんだぜぇ」


と言って空気の読めない馬鹿、じゃなくて酒場のおっさんが出てきた。


「げぇー魔物」


丁度正面に彷徨騎士がいた。


【彷徨騎士のこうげき

おっさんに1028ダメージ】


そしておっさんの姿が消えた。

あぁおっさん、かわいそうに、名前も知らないけれども。

あぁ酒飲みのギャンブラーのおっさん。それも多分基本的には負け組に部類するタイプの。



39


まぁいずれにせよ黙ってやり過ごすに限る。

おっさんの防御力がゼロだったとしても1028ダメージ与えるということは俺の防御力でも一撃死ということだ。

無駄な争いは避けるべし。

バードも後ろでびくびく震えているし。

問題ないな。


ん?

スライムがいない。


あぁ、このガキ、じゃなかったバードを追いかけている時にはぐれたのか。


どっかから現れるなよ。おっさんの二の舞になんぞ。


と、

後ろからバードが駆け出した。


えっ何やってんの?



40


「やいコラ、魔物!オイラが相手だ」


えっ、

棒キレ持って、あいつ相手に、何を?

無理だろ。常識的に考えて。


膝震えたまんまじゃん、あぁもう。


「オイラは負けない…立ち向かうんだ」


蛮勇と勇気は違うって。これまで誰か教えなかったの?


彷徨騎士がこちらにやって来る。


「バカ野郎が!逃げろ」


「兄ちゃん。オイラ…」


彷徨騎士が振りかぶる。


俺は駆け寄ってバードの前に立ち塞がった。



41


白い光に包まれる。

何か、神殿が見える。


【せかいじゅのはが発動しました】


そうして、戻ってきた。


彷徨騎士が去っていく。


目の前には血塗れのバードが倒れている。


「おい!」


バードを抱き抱えた。


「兄ちゃん、オイラ、オイラ、勇者に…」


またか。

また、失うのか。

俺が、無力なせいで。


バードの体が消える。

バードの流した血も消える。


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