白い世界 草原
目の前にトラックがと思った次の瞬間には、白い世界に居た。
『初めまして。天使です』
羽を生やした全裸の小児が浮いている。
「死後の世界か」
『当たらずとも遠からず、ですね』
「服を着ろ。猥褻物陳列罪」
『天使に対して酷い言いようですね。これは人間のイメージなんですよ。正確には貴方が持つ私のイメージが像を成して』
「興味ないな。要件は?」
『私の遊びに付き合ってほしいんです。サイコロを振ったら貴方に当たりました』
ひどい決め方だ。宝くじ並みだな。
「結論から申せ」
『貴方をRPGっぽい世界に転移させます』
「左様か」
1
草原。
10cm位の草が揺れている。
遠くに青空がある。
風がそよいでいる。
『転移成功です』
どこからか声が聞こえる。いや、頭の中で響く。
「全裸の羽か」
『天使です』
「ここは?」
『これが貴方の住む異世界ですねぇ』
「ほぅ。世界の名は?」
『あるわけないじゃないですか。そんなもの。あなたの元いた世界だって、世界としての名はないでしょう』
「それもそうだな」
『新たな環境に混乱しているみたいですね』
「そうなのかな。しかし、暑くも寒くもないな」
『いいところに気づきましたね。この世界はロールプレイングゲームをモチーフにして私の先輩が作られた世界ですからね。触覚はありますが』
「くどい」
『そうですか。まぁ私がこれから行うことは、チュートリアルです』
2
「何で草原なんだ?」
『それがテンプレートで決まっているんです』
何故。
『まぁ、どうでもいいんですよそんなことは。あー今でいいか。仕様を説明しますね』
「手短に」
『この世界を救えば元の世界に元の年齢で返してあげます』
「救うの定義とは」
『魔物を全滅させることです』
「魔物とは」
『ドラクエとかFFってやったことないですか?』
「話にきいたことならある」
『あーそんなものですか。まぁチュートリアル用に一匹用意したので、いきますね』
「何を」