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魔法は研究するものです。  作者: しけたけ
一章 人間族は奴隷らしい。
2/15

初料理 初ステータス 初魔法 初異世界人 どれもひどいよ

 



 ここはどこだ?なんか薄暗いし地面は硬いし、一体何してたんだっけ?確かいつもどおりに登校して、そしたら神に会って・・・って!そうだ!僕達は異世界に来たんだ。そんで、なんかやばかったんだっけ。早くここから逃げないと使い潰されて終わる状況だったんだ。

 前を目を凝らして見ると鉄格子が嵌っている。ん?あれ、鉄じゃないな。なんか赤い。光は背後から差してるな。後ろの採光窓もきっちり組まれてやがる。脱出出来れば良かったのに。

  横を見ると悟が寝転がっていびきをかいていた。他に人が居ないことから大体二、三人程度で一部屋かな。てか、よくこんなところで寝れるな、こいつ。そしてこれか、あの時言ってた首輪って。なんか白く光ってるな。まじまじと見ると凄く趣味悪いなぁ。髑髏とか要らないよ。ん?これこの髑髏に光が集まっている?なんだこれ?まさか突然喋ったりしないよな?

「フッフッフこれで全て俺らのものだ!」

「うわぁ!」

「うおっ!なんだなんだ?どうしたドーリ?」

「しゃ、喋った!な、な、なんか今、全てオレオのものだとか言ってた!」

「はあ?お前大丈夫か?なんだよオレオのものって。」

「その首輪が言ってたんだ!」

「そんな事無いだろう。首輪が喋るなんて有り得ない。そうじゃない?」

 友に呆れた目を向けられ冷静になる。確かにそうだ。ここがどれ位技術が進んでるのか分からないが、少なくともこんな小さい髑髏に発生装置を付けるのは無理だ。

 そういえばこの友人は昔から寝言がやばかった。神を殺しただの、世界を壊すだの一体どんな夢を見ているのか全くわからん。閑話休題。とにかくどう脱出するか考えないと、この先が危うい。まずは情報の交換だな。そう思っていたら悟が口を開いた。どうやら同じ事を思ったようだ。流石親友、優秀だな。

「あれ?ここ地球じゃない。どこだよドーリ。」

 ズルっ

 訂正、僕の親友は未だ気づいてなかったようです。



 あれから十五分程してやっと僕等が異世界に来て、この上なく危険である事を納得してもらいました。いやー物分かり悪すぎだろう。

「要するに俺は特別な力を持ったんだな。」

 いや!其処じゃ無いだろう。今は、ったく。第一ここで確認する暇も無いし、危険過ぎる。もし暴発なんかさせてしまったら危険と彼等に判断され、殺される可能性が高い。無謀d

「ステータスオープン。お、開いた。」

 マジか!そんなんで確認出来るのかよ!じゃあ僕も・・・念じるだけで行けるか?ラノベとかにはあったような気がするし。ステータスオープン。ん?今なんか光った?気のせいかな。おお、いけた。頭に入って来る感じ。

 ーーー


 森田導理

 男、人間族

 LV1/100(1周目)

 HP5/10 MP98/200

 力8/10

 敏捷8/10

 耐久15/10

 器用40/80

 状態(隷属)

 スキル 研究者: 魔法LV1


 ーーー


 驚いた。本当に数値で出ている。これは何をどうやって測っているんだ?やっぱこれは自分の能力がこれぐらいって判断して・・いや、これも魔法なのか?でも、そうすると

「で、ドーリはスキルどんなのだった?俺はなんか色々切れるスキルだって。」

 おおっと、いけないいけない。今はスキル優先だ。何か活路があるかもしれないからね。悟はなんかやばそうな奴だが僕のはどうだろう。ええと研究者のところに意識を集中すると、

『研究者: 魔法LV1

  魔法の道を極めようとする者に神が与えるスキル。魔力の流れを白い光として肉眼で視認出来る。また、魔法に関するものは威力などを数値として観測でき、効果がある程度分かる。LVによって見える範囲が変わる。』

 おお!これは使える!まさにやりたい事ピッタリじゃん!それと白い光は魔力だったんだな。じゃあこの髑髏君は魔法を発動してるのかな。お、出た。

『隷属魔法の魔道具

  これを付けた者を魔道具を起動した者を主とした隷属魔法を発動させる 。

隷属魔法

  主に逆らえなくなり、耐久を除く全てのステータスが8割に減り、耐久は一.五倍になる魔法。また、この魔法を下手に解くと頭が爆ぜるので要注意。必要魔力、2 持続時間、∞(首輪の吸収効果による)』

 希望から叩き落とされた。

 うわぁ、初めて見た魔法がこれなのか・・・最悪のスタートだよ。マジでこのままじゃやばいよ三途の川一直線ルートだよ。生きるために先ずは奴隷から抜け出さないと。だとするとやっぱりこの首輪を壊すのが一番早いよな。でも、下手にやると脳味噌をぶちまける羽目になるらしいし、壊せるのがばれて殺されるのもなぁ。じゃあ、交渉して解放してもらう?うーん、それだと材料が無いと・・

 何か良い考えが浮かぶかもと周りを見渡してみたがそんなものある筈もなく、気落ちして視線を戻すと、旧友が自分の首を思いっきり締めてた。やっぱり壊すのが良いのか?どうする?多分この必要魔力ってのが魔法の為にいるものだと思うから・・って、

「いやいや!何やってんの⁉︎」

 二度見したよ思わず。

「なんか・・・ハァ・・ステータス減ってたし・・ゼェ・・・ここから・ゼェ・力?・・ハァ・・を奪われている・・フゥ・気が、したから、壊そうと思った、んだよ。」

「いや、だからって、なんで締めるんだよ!」

「一番力が入ったから。」

「そうなんだけどね、自分の命も考えようね?」

「お前は考えすぎだよ。第一こんな事したのは俺が何度呼びかけても反応無いからだぞ。お前のスキルそんな凄かったか?」

 自身の行為を他人のせいにして、天晴れな話題転換をした友人が期待の目で訊いてきた。呆れながらも答える。

「いや、そこまででは無いな。精々どんな魔法か分かる程度だ。」

 研究職からすれば喉から這い出てでも欲しいだろうけどな。まあ、このバカには分かるまい。

「フーン」

「ちなみにその首輪壊し方間違えると即昇天だぞ。」

「・・・マジで?」

「マジで。」

「・・ちなみに、解除方法は?」

「分からないが、少なくとも首ごと掴んで握り潰すのは違うと思う。」

 お、友人が固まった。さっき自分のやったことの拙さが理解出来たらしい。

「あとはステータスが魔力だけ高かったかな。」

 耳に届いては無さそうだ。


 あれから再起動した友人とステータスの確認をしたのだが、どうやら僕の魔力と彼の力はチートではないか、という結論になった。更に彼のスキル『全斬ぜんぎり』は中々規格外だった。なんと魔法や空間などの非物質も斬れるのだ。ただ、今はまだLVが足りないので隷属魔法は斬れないらしい。裏返せば、この友が隷属魔法を斬ることが出来るまで時間を稼げば、なんとか脱出出来ることになる。目処が思わぬところで立ったぜ。ならば、次は奴隷から解放された後、どうするかだな。逃げるにしても何処に?もし運良く行ってもこのままだと路頭に迷うだろうな。そしたらまた奴隷に逆戻りだ。出来れば情報が欲しいところだな。

 あーでもないこーでもないと思索に耽ってどれ位の時が経っただろう。とっくに日が落ちて横で再び寝だした友人の表情すら見分けれなくなった、そんな時。

「お前達、食事だ。」

 暗闇から声が響いた。例のテキパキしてる人。

 この世界初料理、いや、初食料・・・ですらねぇ。()()()()それはネズミでも嫌がって食べないだろう。なんかやけに黄色だし卵の腐った臭いがするし。硫黄か?えぇ、猛毒なんですけど。好き嫌いとかの問題じゃねぇよ。死(飢え)か死(中毒)の問題だよ。ほら、悟もあまりの臭さに起きたじゃないか。・・・いや、あいつ只食いたかっただけなのか?心なしワクワクしている気がする。あ、食べた。お、吐いた。うん、そうだよね。あれは食えないよね、流石に。本当最悪な始まりだ。そんな風に嘆いていると、また声がかかった。

「今から三十分後にこの国の王と会談させるからな。無礼の無いように身嗜みを整えておけ。」

 え?いきなり過ぎません?しかも奴隷に身嗜みってどうしろと?

「あのー僕達この世界の礼儀作法とか知らないのですが・・ひっ!」

 牢の向こうで目が光った気がした。わーお、殺気を人生で初めて食らったよ。おかしきかな、あまりの迫力にゴゴゴってるよ。奇妙な冒険をしてたあの人もビックリだよ。

「いいだろう。幸いにも私の手は空いている。みっちり仕込んでやろう。」

 そう言って彼は牢の中に入って来た。おお、やっと顔が見れる。

 さぁ、第一異世界人は・・・

 ぬっと出て来たのは厚い胸板、丸太のようで鋼のように輝く太もも、そして、とにかく引き締まった身体。爽やかだった顔にはその目から逆の頬にまでクロスに傷が入っている。無論目は閉じている。サラサラで横を刈り上げている髪の上には、本来なら見る者全てを癒す筈の耳が、片方は幾重にも切り裂かれた跡が、もう片方に至っては半分より上が綺麗に切断されていた。最後に彼が立ち止まったと同時に鞭のような尻尾が威力を誇示するかの様に地面に叩きつけられる。

 有り体にいえば、爽やかな化け物(せいねん)だった。




あれから三十分みっちり扱か・・コホン、礼儀作法の勉強をしてもらいました。

いや、もうね、なんで所作を覚える為に走馬灯を見る必要があるのかな?間違えると自分の顔数ミリ前をナイフが飛んでくるんだよ?しかも一、二回しっかり肩に被弾したし。

・・・悟の野郎、やんわり断りやがって。ああいう時だけは賢いなあのやろう、覚えてろよ。

おかげで礼儀は完璧になったので(なってくれてないと死にます)謁見の間に移動中です。後ろを見ると転生させられた全員がやっぱり首輪を掛けられて付いて来ている。俺らだけ違う扱いだったらまだ望みがあったが、そうではないからどうすれば良いかね。皆不安そうだ、いや俺の後ろの悟、なんかワクワクしてね?横の奴を見習え。自身も怖いだろうに気丈に微笑んで・・・演技だ、此奴。え?意外とそんなものなの?怖いと思ってるの俺だけなの?まあいいや、兎に角、情報の共有がしたい。皆の認識を統一しないととてもじゃないが生き残れない。

謁見までの道をさっきまで俺を虐めてた・・・そういえば名前知らないな。まあ教官でいいか。を先頭に歩いて行く。豪華で目がチカチカする廊下はただただ広かった。俺達の足音が虚しく響く。と、突然

(聞こえる?ドーリ)

頭に直接声がした。見知った声だ。

(やべぇ、ストレスから幻聴が聴こえる。)

(幻聴じゃないよ‼︎)

「うぉ!」

皆の訝しげな視線が集まる。

「すみません、ただ、鳥が飛んでいたので驚いただけです。」

クラスメイトの呆れた視線がうわ!バレやすい嘘!と言っていて痛いが、教官は納得してくれた様だ。

「フン、前だけ見ておけば良い。次、余所見していたらそのまま外に放るからな。」

「は、はい。」

また歩き出す。

(で、それがスキルかなのか?梨華。)

そうさっき俺に声(?)を届けた少女に返す。彼女は今悟の横にいて真っ先に視線をぶつけていた俺の幼馴染二号だ。演技してた奴でもある。いつもその笑顔を絶やすこと無いのと、漆黒が似合う艶のあるくせ毛をそのままにしている事、さらにやや幼く見える顔立ちから天真爛漫な後輩と扱われる事が多いが、彼女のその笑顔は微妙に変化している事を知っている人は少ない。とにかく怒っても悲しくても笑っているのだ。もちろん、悪戯を企ててる時も・・・ブルッ

(いやぁ、どうやら私のスキルはこれみたいでね。ドーリとサルは?)

なるほど、念話か。なんか都合よく事が運ぶね。

(俺は魔法の事がある程度分かる、悟はなんでも切れるって、ところ。)

(おー二人共アタリじゃん。私なんかこれしか出来ないしハズレっぽいなぁ。)

(いや、それは大当たりだろ。誰にも漏れない通信手段は絶対いる。)

(え、そお?)

声に喜びが憑いてる。

(ああ、今からの生死を左右する程度には重要だね。)

あ、思ったよりスケールが大きかったかな?暫しの沈黙の後、決意の篭った声が(脳内で)響く。

(・・・私に出来る事ならなんでも言って!)

それを聞いて思った。いやお前この展開読んでただろうと。こいつならそれぐらい分かってるだろうと。

(・・・バレちゃった?テヘペロ♪)

溜息が出そうになって慌てて引っ込めた。

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