日進月歩、しかし一日にして成らず
説明しよう!
の中身は基本的に知らなくてもなんとかなります。
魔法がどう言う法則なのか推測したい人は見てみて下さい。
「はぁ」
はい。こんな幸せが逃げる始まりをした導理です。
ここのところ上手くいかなくて、毎日幸せを逃しているとです。
導理です。
あの悟は順調にハーレムを増やしてるとです。
導理です。
あれから半年も経ちました。
導理です、導理です導理です…。
(うわー、相変わらず壊れてんねぇー。はい、夕食。)
(ありがとう量産型ヒロイン一号。あと、私は正常です。)
(何が量産型だってー?そこの初期不良で前世のネタ思い出してるポンコツさん。)
(良いだろう、完全なる立証をしてやろう。
昨今の作品では、一作につき主人公に恋する幼馴染みが一人居る確率は七十パーセント。これを①とする。
また、文学書は年間およそ一万二千冊、これは所謂同人誌などを抜いた数であるから、実質年間一万五千冊は越えている。これを②とする。
①②より一年で梨花の様なヒロインが一万五百人以上作られる事になる。
このどれもが同じ様式美に沿って作られているので、梨花は量産型ヒロインの要素である。あと、私は正常です。)
(…怒るよ。)
(私は正常です。私は正常です私は正常です。)
(…狂った振りすれば逃れられるとでも?)
(すいませんでした!だからその殺意を消して!)
空気に耐えられずに土下座してしまった。
下にある魔法陣の角が食い込んでるがそんな事言ってる場合じゃない!
この室内が凄い冷え切ってるんだよ!絶対温度で百度切ってるって!アイツ半端ないって!
渾身の土下座が効いたようだ。梨花は殺気を引っ込めると夕食を置いてこう言った。
「で、これは何やってるのー?」
「とりあえず魔法陣の共通点を探してるんだけど…」
「見つからないんだー。」
「うん、水属性にも火属性にも共通点があったりするし、かと言って同じ属性内に共通するものがあるかと言ったら無かったりするし…ああー全く分からん!」
勿論魔法陣は効率化しましたよ、ええ。
その上でこのカオスさですよ!全く分からんのですよ!
火、風、水、土、光、闇、全て丸ごと分からんのですよ!
かれこれこの状態で二か月も経っているんですけどね。
聞き込みにも回ったし、詠唱にも手を出してみたりしたし、文献を漁ってみたりしたけどサッパリだったぜ!
…はぁ。空元気。
今まで分かった事は、魔法陣は中が模様だけの魔法陣(基礎魔法陣と呼んでる)ものと、中に多数の魔法陣を抱えた複合魔法陣があるという事、基礎魔法陣の内部には星型五〜十四角形の十種類のうち何かが入っている事、複合魔法陣内の基礎魔法陣は直線で結ばれている事、ぐらい?
「ちょっと見せてよー。」
「ん、そこの下にある奴なら見てもいいよ。」
「え?下にあるのってどれ?」
「うん?いや、下にあるのだって。」
「…もしやこれ全部?」
「そうだけど?」
なんかすっごい溜息を吐かれた気がする。幸せ逃しちゃいますよー。
「あ、無闇に起動しちゃ駄目だからね。」
「えーなんでー?」
「今持ってる奴とか発動した場合、理論上はアパモンショップが吹っ飛ぶくらいの威力は出るかな?」
梨花はそっと魔法陣を床に置いた。えぇー、触るだけでは無問題なんだけどなぁ。
「つまりは、これ全部危険物?」
「うん、まぁ。」
「…ドーリも手遅れだったかー。」
凍て◯く波動、再び。
「あのー、梨花さん?大変無礼に存じますがあたかも自分が悟と同じ様になってしまったと言われるのは…」
「正座してー。」
「あのー夕食」
「そこに正座」
「はい」
こうして平穏無事に説教されて、風呂も真面に入ってない事がバレて、延長説教されながら風呂に入れられて、今片付けさせられ中です。
梨花さんの手つきが爆発物処理班なので一向に進みません。なんでそんなに汗掻いてるんだろう?暑くもないのに。(すっとぼけ)
「はいーこれはー?」
「ウォーターボールだね。水の棚に入れといて。」
説明しよう!
ウォーターボールとは水球を出現させる魔法陣で、五芒星の入った基礎魔法陣二個と六芒星の入った基礎魔法陣一個からなる複合魔法陣である!何故かファイアーボール(火球出現)でも細部は違えど同じ構造である!他のボール系との共通点は無かったのである!
「はーい、あ、これはー?」
「あー、ドライだね。火の棚に。」
説明しよう!
ドライとはもの乾燥させる魔法で六芒星の入った基礎魔法陣一個と、七芒星の入った基礎魔法陣一個と十二芒星の入った基礎魔法陣一個からなる複合魔法陣から成る複合魔法陣である!複合魔法陣の中に複合魔法陣が入っているパターンも珍しくないのである!フリーズという相手を氷漬けにする魔法はこの構造にさらにウォーターボールの魔法陣が付いているのである!何故そうなのかは分からないのである!
「これはー?」
「ウィンドだね、風の棚に」
説明…疲れた。
ウィンドは『非常に強い風』を起こす魔法で七芒星の入った基礎魔法陣単体の魔法陣だ。
この事から七芒星は風に関係してる魔法だと思ったんだけど…同じ七芒星の基礎魔法陣単体で土属性の魔法があるんだよねー。アポーツって言う任意の物を引き寄せる魔法陣なんだけど…。
そうこうしている内に片付け終わったよー。
魔法陣の謎以外はなっ!
お腹減った。
最近夕食に野菜が出てくる様になった。肉で胃のSAN値が削れて限界だった、自分は日々高原さんこそが高天原だと崇め奉り給わっております。
(キモッ)
なんか聴こえたけどいいや、無視で。野菜のありがたみの前にはどんな罵倒も野菜クズだぜ!(意味不明)
ヒッヒッフーハー…落ち着いた。
そういや、俺らの待遇が大分良くなったね。
風呂も入れる様になって城下町でも自由に動ける様になって、偶に森に散歩も行ってるみたいだし。
宮ーずが凄い活き活きしてるって梨花も言ってたな。
今野と経営が上手い奴らで商売を始めたって言ってたな。順風満帆満員御礼売切御免なんだって。…凄い事だけ伝わった。
あと、悟も国内を飛び回ってるみたいだ、教官と。南無。旅先毎にハーレムが増えてるらしい。ファック。
多分王城に引き篭もっているのは俺ぐらいだろう。
あ、いや、根屋祭は国政に口出しするアドバイザーになったから、あいつもそうだっけ。
お陰で自分は研究に没頭出来る様になったんだよね、高天原並に尊敬しています。
何方にせよ皆元の学校では信じられないぐらい活発化してるなぁ。
俺も人の事言えないけどね。ハメ外して梨花に怒られたばっかだったわ。
あと風の噂で聞いたんだけど俺、王城の人から「穀潰し」って言われてるんだって。誰だ穀潰しなんて言葉を肉食世界に教え込んだのは、捕まえて実験材料にしてやろうか。
あれ?梨花は普段何やってるんだ?
うーん、気になる。
そう考えてたら他の人の動向も気になってきた。
気分直しに、今度全員の様子を見に行ってみるか。
あとさりげなくイメージアップを図りますか。
(ドーリって本当に男なの?この可愛い可愛い私と風呂入ってたのに、襲うどころか、動揺すらしなかったってどう言う事?萎縮はしてたけど、あれは…怒られたくないの、怖がり方だったし…アイツって男?てか本当に人間?)
ちょっと難しいですかね?
五芒星が何を表すかはわかるかも?




