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魔法は研究するものです。  作者: しけたけ
一章 人間族は奴隷らしい。
12/15

勇者悟とハーレムの予感

 



 そう言えば、いたわ。

 全て切れる『全斬』なんてチート持ってて?

 魔物相手に発狂して?

 数ある候補がもう懲り懲りと言った中一人だけ嬉々として魔物の群れに飛び込んで?

 教官に取り押さえられほど暴れて?

 まだ、血が足りないと、めっちゃ飢えてる親友が、いたわ。

「ヒャッハー‼︎血を寄越せぇ!俺に斬らせろぉ!オメェの血はなにいろダァ!」

 …おお、親友よ。

 一体何処で道を違えてしまったのだろうか。すっかり、何処に出しても恥じない世紀末に…おいたわしい。

 状況的には、絶望的な怪獣に颯爽と立ち向かう真の勇者と言った構図なはずなのに、どうしてこうも感動よりもツッコミが先に来てしまうのだろう?不思議でならん。

(私から見れば、あなたも同種だよー。)

(いや、あんなに酷く無いぞ…無いよね?)

(さっきまで万事休す中で平然とギャグ言ってたよねー?)

(まだそのティーカップを話してない人に言われたくないね…)

(…戦況はどうー?)

 こいつ、現実から目を逸らしやがった。

 何はともあれこれ以上友人の勇姿を見てあげないと可哀想だよn

「ヒャッッッッッッッッッハーーーーーーーーーー!!!」

「グルゥワ⁉︎」

 あ、大丈夫みたいですー。

(うわー熊可哀想…)

(あれだけ一方的だと、同情するね、流石に…)

 普通こういう時って、ピンチから覚醒までが不変の法則だって聞いてたんだけど…そう言ってた奴が、今まさしくあそこ…で特異的行動(ぼうそう)してやがる…。

 うーむ、しかし問題だな…。この世に鉄より融点の高い皮膚が在るとは思わなかった。これ以上威力を上げなければいけないのか…多分、あの火球だけではこれが限界なんだけどなぁ。

 まぁ、この戦いが終わったら別の魔法にも手を出すからその成果次第かなぁ?

 あ、あとであの毛皮回収しないと。俺の可愛子ちゃんにイチャモン付けた落とし前をつけて貰わないとねぇ?

 そうだ、教官にも聞いt

「グワアアアアァァァァーーーー……」

「ヒャッッッッッッッッハーーーーー!!…あれ?俺?」

(責めて友人の雄姿を見ていてやれよ…研究馬鹿…)

 おや、決着はついたようだ。見ると街の外には熊一匹の死体と人外一匹と灰以外は見当たらなくなっている。

 ふう、終わったか…。



「いやいや、よくぞやってくれた!!他の魔物はまだしも、あの駆魔クマをよくやってくれた!褒めてつかわすぞ!」

 はい。場所と時間を跳んで一日後の謁見です。現場からの生中継をお伝えします。

 今ですね、例のスタンピードの事について陛下が誉めておられます、悟を。

 どうやらあの例の熊(駆魔クマ)は何かのランク付けで最上位のものらしく、教官でも倒せるかどうかの魔物だったらしい。

 その高硬度な毛皮はどんな剣でも弾き返してたんだって。

 まぁ、悟はスパッとやってたけど。

 バターというより、空を斬るように抵抗無く切り刻んでたな〜いいなぁ〜。

 あんな風に言われたい!認めて欲しい!我が成果を!

(うわー承認欲求高すぎて引くわー)

(煩い!勝手に読んで勝手に引くな!理不尽すぎる。)

(本当の天才は評判を気にしないと思うけどねー。)

(クッ!スルーかよ!…第一、僕が認められたい理由はそんな下賤な物ではないよ。)

(と、言いますと?)

(まず、リスク分散が一つ、僕等の待遇改善が一つ、此の国の状況打破の為でもあるね。) 

 これだけ大規模なスタンピードだ。他国は絶対掴んでいる。もしかしたら、今回で活躍した奴に危害を…誘拐を…と考えられても可笑しくは無い。その時に対象が単独で有るよりも複数居た方がやり難いのは間違い無いだろう。

 しかも俺は普段は(半強制で)悟と別行動だ。

 都合が良い。

 待遇改善は言わずもがな。省略。

 最後に状況打破だが、今回の事で国内外にこの国の国力を見せつける事が出来たろう。ただ、それで活躍したのは一人だけとすると、ワンマンだと嘲られる可能性が在る。

 これを複数とすると、一人だけ奇跡的に強いと言われなくて済むと思う。

 だから、決して、チヤホヤされたい訳では無く、あくまで感情に関係無く合理的に判断してそう結論付けたのであって、

 皆に尊敬されたいとは、断じて、思っておりません。

 えっとですね、つまりですね、認められたいとは言いましたが、承認されたいとは、言っておりません。

(ハイハイ、ナガイイイワケアリガトウー。)

(だから言い訳じゃないって。)

(…最後の方、野党の追及を交わす与党みたいになってたけど。認められたと承認されたは同じだからねー?)

(…)

(困った時はだんまりですかー?)

(…腹黒め。)

 クッ!何故此奴に言い負かされるんだ!?畜生!何故俺はこの高い高い絶壁を越える事は出来ないのか?絶壁はその胸で充分なのに。

(…覚えてろ)

「よかろう!儂に勝ったなら何なりと貰って行けい!」

「ヒッ!」

 殺気のせいで口先まで出た悲鳴をなんとか押し殺す。

 殺気にも多様性が求められる時代とは世知辛いなぁ。

 前門の虎(陛下)後門の狼(梨花)で怖いです。

 そして、また貴様かと睨め付ける教官も、怖いです。

(…ところで何が起こったの?) 

(サル、発情、皇女)

 ふーん、それで陛下が娘を攫いたければ俺を倒せと?随分古典的だなぁ。あ、元々そんな世界だったか、ってそんな事ないですね滅茶此処進んでますよね世界一だと思いますだから投げつけないで受け止められません。

 って、E!?結婚!?

「闘技場で殺るぞ!今日の夕食にしてやるわい!」

「望む処だ!俺はなんとしてでも手に入れるぞ!」

 陛下の殺意が狂気過ぎると思う。

 そして、闘技場なんて有ったんだ。街を観た時は確認できなかったけど。

 何か出来たら其処で試すのも視野に入れとこう。

(実は猿の横にいる狂人が作った兵器が同じような強さの奴を溶かしてだけど…言った方が良いかなぁ…いや、辞めとこう。)



 この日、スタンピードを見事退けた勇者悟はその国の姫と結婚した事もあり凡ゆる国から注目される事となる。

 在る国では彼の国と同盟を結ぼうと画策し、在る国ではその者の弱点を探す為に躍起になり、また在る国では…

 何れにせよ、世界は大きな変革を遂げていく。

 それは確定事項の様である。


一章終わりです。

次は多分大分飛びます。

読んで下さり感謝の念に絶えません。

今後とも宜しくお願いします

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