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魔法は研究するものです。  作者: しけたけ
一章 人間族は奴隷らしい。
10/15

待機中

やっとこさです。

ほんとすいません。

在庫が心許ないので、早ければ週一遅くて二週間に一回くらいの投稿になります

 


「はあ〜〜疲れたぁ〜。」

 窓の外には薄く広がる雲が日の出の赤い光を反射しているようで、部屋がオレンジ色に染まっている。

 今日、二千を超える魔獣が来るとは思えない静けさだ。

「お。お疲れ様ですー終わったー?」

 梨花が朝食を運んで来た。最近では念話を使わなくなった。梨花曰く『飽きた』らしい。

 あれは慣れたと言ってもやはり少し居心地が悪かったから正直ホッとしている。

「なんとかね・・・二百個用意出来たよ。」

「をおー予定の倍は出来たるじゃん。こいつらがそれ?」

 そう言って彼女は部屋の隅、ベッドよりも高く積まれた金属の山を指す。一見するとガラクタにみえるそれらは全てに幾何学模様が刻まれている。

「ああ、そうだ。」

 ホントノーミスで作れるなんてスキルって凄い。

 作っているうちにレベルが上がってかなりのペースになってきた。今なら目を瞑っても逆手で魔方陣が描けるぜ。

「確かこの国は魔法使いが少ないって聞いているけどどうなのー?」

「あー、その点は大丈夫みたい。なんか有志の人達から魔力を搾り取るみたいだよ。」

 元々この国には軍と言えるほどの常駐兵は居らず、近衛騎士が二百、近衛魔導師が五十、そして騎士見習いが五十魔導師見習いが十・・・と言った具合だ。

 こんな兵力では話にならないと思ったけれど、実態は全然違う。なんと、国民皆兵制度がこの国には採り入れられているらしい。生まれつき身体能力が高い獣人と魔力が高いエルフが共存するこの国ならではの荒技ではあるが、戦争になると国民全員が剣となり盾となり、必至で戦う。

 兵の総数イコールほぼ全人口なのだから、かなり恐ろしい。

 それを聞いて梨花の笑顔が少し引き攣った。うん。俺も驚いたもん。

「今回『民をあまり犠牲にしたくない。』という事で魔力の篭った魔石を提供だけしてもらう事になったらしいよ。」

「へ〜そう言うこと〜。案外余裕あるじゃん。」

「・・・そうだね。」

 思わず顔を背けてしまった。絶対赤くなってる。

 ほんと昨日の夜まで『俺がこの都市を守るんだ!』とか『皆から英雄だと賞賛を浴びるんだ!』とか『アイムベストリサーチャー!』とか考えていた浅慮が過ぎる数刻前の自分の狂っていた脳内を解剖したい。

 本当に意地悪だよこの国も。

 ちなみになんで魔方陣があるのに魔力を提供するだけなのか?

 実は魔方陣は誰にも扱える訳ではないらしい。何故なら普通の人は魔力が有っても魔力は扱えないらしい。らしい、らしいというのはのは俺達スキル持ちは例外なく魔力を扱えるのだ。

 魔力操作スキル持ちには劣るけど。

 よってクラスメイトは全員使えたりする。

 一度で二度美味しい転移特典である。

 因みに魔石はこの首輪にも使われていて勝手に魔力を吸う物なので魔力は必要ありません。

「そ、そういえば悟は?」

 照れを隠すように質問してみる。まぁ、これも心配な事であるけど。

「うーん、やっぱりあの日以来見てないねー。」

 あの日というのはプルーリル第一平原農業化計画ダサいの日だ。

 あれから教官がそろりそろりと罷ろうとした悟を『お前はこっちだ。なに、前みたいに半殺しにはしないから心配するな。』と笑顔で引きずっていったっきり又会えていない。

 教官の笑顔を初めて見た・・・寒気がした・・・。

 ってか、半殺しって・・・心の中で追悼。


 辺りを悲鳴や怒声が埋め尽くす。時に何かの手であっただろう物が飛び、生首が飛び、臓物さえ跳ね踊るこの戦場はまさに地獄。この惨状から生まれた刺激臭と腐乱臭は風に乗って此処外壁まで届き、その余りにもな光景と相まって俺はつい吐き気を・・・催したと思ったそこのあなた!残念、不正解でーす!

 いやね、人間捨てた訳じゃ無いのですよ。ただ、母の影響でグロいのにはかなりの耐性があるんだよねぇ。あと未だ人側の死者が居ないのも有る。重傷はいるけれども。

 まあ、周りの人は口を押さえて居たり、涙を零して居たり、大変そうではある。

 あ、魔獣にも腸はあるんだー。

 魔獣は魔力を吸収して生きてるって教官言ってたのに。

 今の状況は魔獣四千匹がプルーリルに集まってエニーに来ようとしているのを英雄候補数十名がなんとか食い止めていて本来なら俺たちがのんびりと上で観覧してる暇などないほど苦しかったりする。

 ってか、英雄候補多過ぎない?俺の中では英雄はただ一人だから英雄だと思うんだけど。どっかの英雄アカデミアンなのかな?ここは?

 閑話休題

 何故未だ外壁でのんびりとしているかっていうと、例の鬼畜悪魔な死神教官が

『俺が合図するまでは絶対撃つな!お前達には効果的なタイミングなんぞ分からんだろう。だから指示する。もし破ったら・・・晴れてお前達も英雄候補生(最前線行き)だ!』

 と言っていたからだ。

 更に横で明らかに肉体が変わった悟が焦点がやや合ってない目で見渡しながら

『お前達もこっちに来るか〜。』

 と壊れたスピーカーのように繰り返していたので、そりゃ皆ドラムの人みたいに首を縦に振っていたよ。俺も同じく。

 唯、俺は聞いてしまったんだ・・・

「最近訓練では物足りなさそうだったからな。まあここいらで戦場を教えるのもありか・・・死んだらそれまでだな。」

 と言う教官の声を・・・ブルッ!

 悟は今、目の前の絶望的な光景を前に

「届く!俺の攻撃が!肉を斬ってる!ヒャヒャヒャヒャッハーーーー!」

 と何故か狂喜乱舞していて皆んな引くのを通り越して見ないようにしてるぜ。

 ごめん。君の犠牲は忘れないよ・・・。

「アイムベストヒーロー!!」


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