第1話「単独捜査線」〜第2章 闘い〜
〈警視庁 城南警察署 留置所〉
1人の制服警官が留置管理課の警官に歩み寄った
警官「お疲れ様です。留置12番の取り調べをするので、連れて行くという知らせです」
課員「ん?今日は12番の取り調べの予定はありませんが…」
警官「どうやら捜査四課の刑事が来たらしくて、緊急だということです」
課員「なるほど…分かりました」
そう言い課員は警官を留置所内に入れた
課員「おい、12番。取り調べだ」
寝ていた佐山は突然起こされ、眠そうな声で返事
佐山「はぁいよ」
管理課員が牢屋の扉を開け、佐山を出し扉を閉めた瞬間。警官がホルスターからリボルバーを出し、佐山の頭に向けて発砲した。佐山は頭を撃たれて即死した
課員「おいっ!何やってんだ!うぁぁ!」
警官を押さえつけようとした管理課員だが、腹を撃たれ、その場に崩れ落ちた。警官は警察署を出ようとした。管理課員は近くにあった警報器を押した
警官2「なんだぁ!今の銃声は!」
警官3「暴発か!」
警官二人が留置所内に入ってきた
課員「あいつがっ!囚人を撃ったんだ!」
警官「うっ!」
それを聞いた警官2と3は男にリボルバーを向けた
警官2「そこのお前!。拳銃を捨てろっ!…捨てなければ、撃つぞっ!おいっ!」
警官3「拳銃を捨てろっ!」
追い詰められた警官は自分の頭に銃口を突きつけた
警官2「おいっ!止めろ!おいっ!」
警官2が警官のリボルバーに向けて発砲したが、時すでに遅く警官が頭撃ち、少し遅れて警官2が撃ったリボルバーの弾が警官のリボルバーに命中し、リボルバーが空高く飛んでいった…
〈城南警察署 正面口〉
本城は機動隊員や警官が沢山歩き回っている光景に圧倒されながら、愛車の910ブルーバードを止め降りた
本城「おい!灰原!」
灰原「あっ、本城さん!」
本城の呼んだ灰原という男は、灰原 誠。城南署捜査課の巡査で本城の部下である
本城「一体何があったんだ?」
灰原「もう…非常事態ですよ…」
本城「非常事態?」
灰原「本城さんのパクった佐山が警官に扮した男に銃撃されたんです」
本城「何だって?。佐山はっ!佐山はどうなってる!」
衝撃受けた本城が灰原の腕を掴んで聞いた
灰原「それが…頭に弾が入ったもんで…即死です」
本城「…くそっ!…」
本城は自分のブルーバードの屋根に腕を叩きつけた
本城「…現場は?」
灰原「地下の留置所です」
本城「案内してくれ」
灰原「はい」
そうして本城は灰原と共に留置所へと向かった…
〈城南警察署 留置所〉
留置所内では鑑識官の片山善吉と同じ捜査課の同期の高木義行がいた
本城「義行、どうなってる?」
高木「佐山は脳天撃ち抜かれて即死、襲撃犯は拳銃自殺、留置管理課の一名が腹部を撃たれ負傷だ」
本城「そうか…善さん。使用された拳銃は?」
片山「使用されたのは、ミニタリー&ポリス。あとこの警察手帳を見てくれ」
本城は片山に手渡された警察手帳を見た
片山「襲撃犯が持っていたやつだ」
本城「手帳番号の数字がアラビア数字…」
高木「っていうことは偽警官ってことだな」
片山「そういうことだ。まぁよくこんな装備集めたもんだよ」
灰原「本城さんっ!」
他の刑事から話を聞いていた灰原がこちらに走ってきた
灰原「襲撃犯の身元が割れました。前田健、29歳、原山組の構成員ですね」
高木「やっぱりな」
片山「佐山と同じ組の構成員か?」
灰原「はい」
本城「義行、原山組行くぞ」
高木「おぅよ」
灰原「あぁ!ちょっと僕は!」
本城「そこで待機。用があったら、刑事部屋に電話する」
灰原「えぇ…」
片山「残念だね」
本城と高木は城南署の駐車場に行き、430セドリックの後期型に乗り込み、原山組の事務所へと向かっていった…
〈原山組 組事務所〉
本城は事務所のドアを蹴り開け、入っていった
組員「誰だてめぇ?」
原山組の組員たちは警戒しながら、本城たちを睨みつけた
本城「城南署だ」
本城は警察手帳を見せて言った
組員「サツか…何の用だ?」
本城「原山に会いたいんだ。案内させてもらおうか?」
組員「知らねぇな」
本城「しらばくれんのも、いい加減にしろ。ここに居るのはわかってんだ」
組員「知らねぇもんは知らねぇんだよ」
本城「とぼけんな!」
本城は組員の胸倉を掴んだ
組員2「何やってんだ、てめぇ!」
止めようとした組員2を高木が押さえつけた
高木「原山は何処か教えてくれたら、返してやるよ」
事務所の奥にあったドアが開き、組長の原山秀明が出てきた
原山「私ならここです。さぁどうぞお入り下さい」
原山に案内され、本城たちは組長室へと入っていった…
〈原山組 組長室〉
原山に案内された本城たちは近くのソファに座った
原山「城南署の刑事さんがいらっしゃるとは、どのような御用件ですかな?」
高木「もうわかってんだろ?」
高木の質問に原山は微笑した
原山「さぁ、さっぱり」
高木「城南署の留置所で起きた襲撃事件は知ってんだろ?」
原山「あぁ、ニュースで見ましたよ」
本城「随分と他人事だな。被害者と加害者がお前の構成員じゃねぇか?」
原山「あぁ、あいつらは3日前に組を辞めてカタギになったもので、うちらには関係はないですよ」
本城「関係ない訳あるか。元組員が殺され、自殺したんだぞ。関係ないとは他人事にも程があるだろ?」
原山「たまたまでしょう?。うちらが関係してる証拠があるとでも?」
本城「今はねぇが、必ず見つけてやるよ。その間にせいぜい今回よりもマシな嘘でも考えとくんだな」
そう言い、本城たちはソファから降り、組事務所を後にした…
〈原山組 組事務所前〉
高木「いいのかよ、あんな挑発的に言って」
本城「いいんだ。原山の野郎も何かしら動き始めるだろう」
そう言い、本城たちは430セドリック後期の覆面パトカーに乗り込み、城南署に向かって行った…
〈城南警察署 会議室〉
ここでは、捜査課長の後藤が記者会見を開いていた。記者団から多くの質問が飛び交う中、本城たちは記者団の後ろから見ていた
記者1「今回の件に関して城南署はどう思ってるんですか?」
後藤「城南署としては、遺憾の意を示しております」
記者2「遺憾の意って何よ?」
記者3「しっかりとした謝罪が必要じゃないの?」
他の記者からヤジのような質問が飛び交う
記者「では、この事件の自殺した加害者と殺された被害者が同じ原山組の構成員だったことに関しては、城南署捜査課はどのような捜査をするつもりで?」
後藤「捜査上の都合為、お答えすることはできない」
記者3「冗談じゃないよ!」
記者2「都合ばかりで隠していいのかよ!」
記者「それでは市民の安心を得られないと思いますが⁉︎」
後藤「我々警察は総力を挙げて、事実解明を進めている。それを市民の皆様には知っていただき、我々を信頼してもらいたいと思う。以上で記者会見を終わります」
記者「ちょっと待って下さいよ!」
記者2「偉そうなこと言うなよ!」
記者3「市民は警察の奴隷か⁉︎」
後藤は記者団の罵倒を無視し、会議室を去って行った…
〈代官山コーポ 本城宅〉
千恵「兄さんお帰り!」
千恵の声がした本城は千恵の所へ向かって行った
千恵「夕飯食べる?」
本城「いや、署で食べてきた」
千恵「どうせカップ麺でしょ?」
本城「そう」
ジャケットを脱ぎながら本城は答えた
千恵「やっぱり!。ちゃんと警察署の食堂で食べてきたらいいのに…」
本城「お前は俺の母親か?」
苦笑いで本城は答えた
千恵「妹です!」
千恵は笑顔で答えた
本城「じゃあ母親みたいなこと言わないの。兄さんのことは気にしないの」
千恵「私が居ないと何もできない癖に…」
本城「俺は千恵より大人だぞ。1人でも大丈夫さ」
千恵「料理できないから作ってあげてんのに…。1人になりたかったら、料理勉強しなさい!」
本城「はいはい…」
そう言い、本城は電話を取りある所へかけた
三田「もしもし?」
本城「三田か?」
三田「おぉ〜本城か!。よぉ〜!」
彼は三田成明。本城の情報屋でビリヤードを経営している
三田「んで、本城。何の用だ?」
本城「実は情報が欲しいんだ」
三田「なんだ?。何の情報だ?」
本城「原山組の組員はそっち来るか?」
三田「あぁ、来るよ」
本城「実は原山組の拳銃入手ルートを知りたいんだ。どうやら取引相手の間に仲介役がいるらしい…。その仲介役の名前とヤサを知りたい」
三田「…そりゃ、無理だよ。やめといた方がいい」
本城「なんでだ?無理そうか?」
三田「いや、名前とヤサぐらいは簡単さ!。でもな…」
本城「でも?」
三田「前にあんたの情報屋になる前に、別の刑事の情報屋になってたんだが、そいつがあんたと同じ入手ルートを探って、数日後に水死体で発見されたんだ…」
本城「なるほどな」
三田「その刑事には色々、世話になったんだ!。次にあんたに世話になってる以上、あんたまで失いたくねぇんだよ!」
本城「心配ご無用だ」
三田「なんでよ⁉︎」
本城「俺はそこら辺のデカとはデキが違うんだ。問題ねぇさ」
三田「本城…」
本城「じゃあ頼むぞ」
本城は電話を切った
千恵「誰と電話?」
本城「気になることを教えてくれる人さ」
千恵「何それ?」
千恵は苦笑いしながら、お風呂の準備をして始めた。本城は椅子に座り、住宅街をずっと眺めていた…
次回予告
情報屋から情報を得た本城は、拳銃入手ルートの仲介役を探すが…第3章 デンジャラスゾーン ご期待下さい