マップ機能
「ありますね」
「そりゃ、あるわよ」
「後ろにあるとか、引っ掛けですよね!」
「あなた限定のね」
グサリ。
今、確実に鋭利なものが、私の心にぶっ刺さりました。
お姉さんは中々に辛口です。
そう、やって来ました。始まりの場所。
ゲームを始めて最初に降り立つ場所です。
私が目を奪われた異国情緒あふれる街並みの背後には、当然のようにギルドが鎮座していた。
因みに2度目のログインからは、前回のセーブ位置から始まります。
「騙しです」
「まだ言うのね」
だってー、気付かないよー
って言うか、悪いのは団長さんかも?最初に私を道案内の過程で、ギルドから引き離したのは団長さんだよ。そう言えば。
「犯人分かりました!団長さんです!」
「誰?まあ、誰だか知らないけど、断定するわ。それは濡れ衣よ」
お姉さんが、こちらを真っ直ぐ見て断言する。
「ひどい!事情も聞かないで決め付けるなんて、ひどいです!」
いや、ひどいのは私かな?
親切に道案内してくれた人に濡れ衣を着せるなんて、とんでもないな。
しかも、さっきお昼を奢ってもらった恩ばかりある人に…
「どうしたの?急に項垂れて」
「いえ、自分自身の悪虐非道さに嫌気が指して」
「そう、分かったわ。じゃあ、あのギルドで地図をくれるから」
お姉さんは面倒になったのか、私の独白を総スルーして、淡々とマップの話に移った。
「さっき言ったけど、そこに主要な場所は表示されてるわ。教会も載ってるわよ。そこに載ってない場所も実際に行ってみれば、表示されるようになるわ。段々と自分だけの地図になっていく感じね」
「ナビも使えるんでしたよね!よい機能です」
方向音痴で行きたい場所に中々辿り着けない人にも安心の機能です。この広過ぎる世界でナビなしで移動するのはハードル高過ぎると思うよ。
「街の外でもナビ使えるんですよね」
「そうね、街の外は実際に行った場所しか無理かな。何もない場所でも任意のマークを付ければ可能よ」
おおー、多分運営のゲームクリエーターさんの中に方向音痴さんがいるね。
かく言う私も方向音痴。マジ助かります。