背景、じゃなくなった?
四人で歩いていると、そこかしこでプレイヤー達の視線を感じる。
なんだろ?二度見とかされてるね。注目されまくりです。
は!もしや!?違うよ!連行されてないからね?犯罪者じゃないですよ!
「ここだ」
隊長さんが一軒の食堂の前で立ち止まり、その扉を開いた。
え!?ええー!?
今かなり不思議現象が起こりました!!
なんとなんと!!
「……背景、じゃなくなった?」
驚きとともに、そんな言葉がこぼれます。
隊長さんはなんでもない事のように、紳士的に扉を開けたまま私に先に入るように促してくれていますが、そこは先程まで私の目には街の風景の一つとして映っていました。
食堂風の張りぼての建物。
そんな建物は街中に沢山あります。
服屋風。雑貨屋風。武器屋風。薬屋風。道具屋風。その他いろいろです。
プレイヤーが使用でき、入れる建物の方が少ないくらいです。
勿論入れる食堂、武器屋等々も沢山ありますが…
「へー、入れるんだ」
驚いたー、どういう仕様なのかな?まあ、まだ初心者だから知らないことだらけだよね。
そんな呑気な感想を心の中で呟いた私の背後では、他のプレイヤーが絶句して妙な静けさに包まれていたのですが、私には知るよしもないことなのでした。
まさかこのゲーム始まって以来の出来事だとは、初心者に気づけるはずもありません。
「どうした?早く入れ」
「はーい、ありがとうございます!」
扉を持ってくれている隊長さんにお礼を言いつつ、ワクワクした気持ちのままに私は食堂に足を踏み入れます。
その後起こるプレイヤー達の阿鼻叫喚を後にして…