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人間の俺、だが双子の弟は竜!?  作者: 明夜明琉
第二話 夢か現か、どれが本当だ !?
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(6)ごめんな


 きいきいと馬車の車輪が軋む音がする。


 その中で目を閉じながら、俺はうつらうつらと舟を漕いでいた。


 さっきまで乗合馬車の窓の外に見ていた空の青さが、俺の閉じた瞼の後ろに映っている。


 その中を大きな青い翼を広げて、俺はアーシャルと一緒に飛んでいた。


「兄さん、待ってよ」


 目は見えないが、その分アーシャルは鼻もよいし魔力の感覚も高い。


「こっちだ」


 今も迷うことなく俺の後をついてきている。その姿に念のために声をかけてやると、嬉しそうな顔で近づいてくる。


 その鼻先を尻尾で少しだけくすぐって、降りていく方向を教えてやる。今までは見えないアーシャルでもぶつからずに飛べるように、かなり高い上空を飛んでいたが、そろそろ目的地だ。重なる山の梢に当たらずに降りられるように、俺の後をついてこいといつもの仕草で告げると、にこにことその尻尾の先に鼻をこすりつけてくる。


 俺は少し傾き始めた光の中を、見つけていた栗林へと降りると、できるだけいがの少なそうなところを選んで着地した。


 栗のいがぐらいで竜の鱗が貫かれることはないが、何もこいつの大好物を踏み潰すこともない。それに、爪の間にでも入ったらさすがに痛い。まあ、可能性は低いけれど。


「兄さん、栗の匂いがいっぱいだね」


 着地した山の空き地でアーシャルは、鼻を動かすと、自分を包む匂いにもう顔が綻んでいる。


 いつもながら、見ているだけでこっちまで楽しくなる笑顔だ。


 ――ああ、連れてきてやってよかったな。


「ああ、たくさんあるから食べ放題だぞ」


「わーい!」


 言うと、もう地面に落ちている栗をみつけていがごと咥えている。


 ――あ。まずい。


「兄さん、痛い……!」


「当たり前だ! 口の中までは鱗がないことぐらい自覚しろ!」


 ああ、もう。舌に栗のいかが刺さって、針山になっているじゃないか。


「ほら。変に触ったらますます痛いぞ」


 仕方がないから溜息をつきながら抜いてやると、アーシャルの瞳からぽろぽろと涙がこぼれてきた。


 ――そんなに痛かったのか。


 つい見えている自分の感覚でいたのがまずかった。


「ほら――俺がいがをとってやるから、中身だけ食えよ」


 どう言っていいのかわからなくて、俺はその舌の棘を全部抜くと辺りに落ちている栗を集めてやった。


「うん。兄さんありがとう」


「おい、あんまりくっつくと栗を集めにくいぞ」


「そうだけど――痛いのがおさまるまでだけ、兄さんにもたれさせて。兄さんの心臓の音が大好きなんだ」


 生まれる前から聞いていたから。そう微笑むアーシャルに俺もつい笑ってしまう。


「ああ、そうだな」


 ――俺もそうだ。


 黄色く色づいていく山の葉を見上げながら、やっと小さい声で呟けた俺の本心にアーシャルが嬉しそうに笑っている。


 がたんと、車輪の止まる音がした。


「はいよ、着いたよ」


「兄さん、着いたらしいよ」


 その声に俺がまだ重い瞼をこすると、アーシャルが軽く俺の肩を揺すっている。


 うんと、狭い馬車の中で腕を伸ばした。


 ――ひどく懐かしい夢を見た。


 竜の記憶が戻ってから、よく昔の夢を見るようになったが、ここまではっきりしたのは初めてだ。


 ――そういえば、そんなこともあったなあ。


 なんかだんだんと夢が鮮明になってきた気がする。そう思いながら、俺はこみあげてくるあくびを手でおさえた。


 そして立ち上がると、馬車を降りて大きく伸びをする。


 うん! やっぱり外の空気の方がうまい!


 外には夢に出てきたのと同じくらい青く澄んだ空が広がっている。


 王都だから、人が多いが、それでも狭い馬車の空気に比べれば格段の違いだ。肺にしみ込む爽やかなそれを満喫する。


 ――だけど。


 と俺は後ろで馬車から降りてくるアーシャルの姿に肩を落とした。


 ――本当に、ここまでついて来るし――


 いや、そりゃあアーシャルのことだから、冗談じゃないと思ったよ。だけど、どうするんだよ、これ。


 旅の間中考えていたが、とうとう解決策が見つからなかった。


 それに――と、セニシェのところで聞いたことを思い出して軽く溜息をつく。だけど、それを心の底に隠して振り返った。


「アーシャルは馬車の旅は初めてだろう? 座りっぱなしだったが、大丈夫だったか?」


 さすがに人の多い王都の近辺で竜の姿で飛ぶわけにはいかないから、仕方なく一緒に馬車で来たのだが、振り返って見つめたアーシャルからは返事がない。


「アーシャル?」


 ――もしかして、腰が痛くなって動きにくいのか?


 それとも慣れていないから乗り物酔いをしたのだろうか。顔色は悪くなさそうだがと、じっと見つめていると、俺の声にはっとアーシャルが顔をあげた。


「あ、うん。ちょっと狭かったけれど、翼を出すわけにはいかないもんね」


 そう笑っている笑顔はいつも通りほがらかなものだ。


「それで、ここが兄さんの住んでいる寮なの?」


「あ、ああ」


 なんか一瞬変な感じがしたが、そのアーシャルの笑顔に俺は気のせいかと振り払うと、目の前の建物に向かって歩き出す。


 低い生垣に囲まれたそこは三階建ての煉瓦作りで、太陽の光に黄色い壁が温かな色を湛えている。そこに、赤い蔦が絡まっているのが鮮やかだ。


 その玄関の扉を開けて、俺は二階の自分の部屋へと古い木の階段をあがっていく。


「ふうん。人間の建物って色んな形をしているんだね」


 多分、この左右にたくさん並んだ扉のことを言っているのだろう。


「ああ、まあ用途によって色々だな。俺の人間の実家は店と生活用だし」


「ここは、見た感じだと、蟻塚? 一つの家にたくさんの人間が住んでいるみたいだね?」


 ――よりによって蟻塚かい!


 まあ、アーシャルらしいけれど。


「剣術学校の正式な寮は高いからな。だから、ここは俺みたいな町人出身の生徒に対して、学校が斡旋している下宿先なんだ」


「ふうん」


「だけどアーシャル」


 俺は、むしろ今の言葉で出てきた疑問を心配と共にのせて振り返った。


「お前、本当に人間の生活について何も知らないんだな」


 むしろそっちがびっくりだ。よくこんなに世間知らずで今まで大丈夫だったもんだ。だけど、そう呆れている俺にアーシャルの方がきょとんとした顔をしている。


「え? だって兄さんが人間に近づくなって言ったんじゃない?」


「そうだったっけ? というか、まさかお前俺の一言一句覚えているのか?」


「もちろん! 僕は兄さんからもらった言葉を忘れはしないよ!」


「いや――それはそれで怖いんだが……」


 何でそんなに誇らしい顔をしているんだ! この弟は!


 でも――とちょっと息をつく。


 よかった。なんかさっき元気がないように見えて気になったんだが。


「なあ、ところでアーシャル」


 俺は自分の部屋の扉を開けて、担いでいた埃まみれになった皮袋をおろした。


 中は、学生らしく箪笥が一つと机が一つ。それにベッドと物入れ用の小さな棚が一つあるだけの簡素な部屋だ。


 ――うん。どう考えても、二人用じゃない。


 だけど、故郷での宣言どおり、アーシャルはついてくると、そのままこの部屋にまで来てしまった。


 ――さて、どうしよう。


 ちらりと振り返ると、アーシャルはその部屋を眺めていた視線を止めて何もない空中を見つめている。


 けれど、返事がない。


 ――あれ?


「アーシャル?」


 もう一度名前を呼んでみる。


 おかしい――いつも俺が声をかけたら、全ての神経を集中させるのに。


 ――いや、それもどうかとは思うが。


「アーシャル?」


 眉を寄せてもう一度呼ぶと、やっと俺の声に気づいたように急いでこちらを向く。


「何? 兄さん?」


「いや――」


 それに俺は眉をきつく寄せてしまう。


 ――やっぱりあのことを気にしているのか? 


 どうもこの間セニシェの話を聞いてから、どこかアーシャルの様子がおかしい気がするのだ。


 ――やっぱりショックだったのだろうか……


 俺がいつも一緒だったアーシャルを捨ててまで、人間になることを選んだのが。


 思わずぎゅっと自分の腕を握り締めてしまう。


 ――わかっている。考えなければいけないことは山のようにある。


 更に腕に力をこめると、故郷の家を出る時に不安そうだったユリカの顔を思い出す。必死に俺の服を白い手で握って、離れるのをひどく怖がっていた。


 ――ユリカを安心させるためにも、一刻も早くサリフォンが口外していないか確かめないといけないのに!


 それなのに、今は友人の親戚の家に身を隠した家族に負けないほど、目の前にいるアーシャルの元気のない姿が気にかかる。


 ――何で俺! アーシャルにさえ話さずに人間になったんだよ!


 こんなに傷つけるつもりはなかったはずだろう!?


 どんな理由で人間になりたかったのかは知らない。だけど、なんでこんな最悪の方法を選んだんだと、あの頃の自分を罵倒してやりたい!


「あー、アーシャル」


 どう声をかけていいかわからなくて、俺は取り敢えず、切り出さないといけないことからアーシャルに話してみることにした。


「お前、そろそろ竜の父さんと母さんが心配しているんじゃないか?」


 なにしろダンジョンに行った日を含めても、もう四日目だ。いくら竜とはいえ、子供が親に断りなく出歩くには長すぎるだろう。


 さすがにそろそろ一度は連絡を入れないとと言おうと思った瞬間、アーシャルが口を開いた。


「嫌だよ」


「え?」


 俺の目がぱちぱちとしてしまう。


「離れないからね、僕」


「だってなあ……。そうは言っても、さすがにお前まで行方不明になったら、父さんの鱗がはげるぞ?」


 ――そうでなくても、頭頂部が薄い気がするって気にしていたのに。


「父さんなんて禿げたらいいんだ! そしたら僕が巨大なフジツボの冠で飾ってやるから、息子の愛情を受けないのかと怒鳴ってやる!」


「いや、そんな愛情はさすがに欲しくないと思うんだけど」


 ああ、弱った。どういったものか――言葉を変えてみて、通じるだろうか?


「それに、この部屋は二人には狭すぎるだろう? ベッドだって一つしかないから、ずっとというわけにはいかないだろうし。やっぱり一度父さんのところに帰って……」


 狭いだけじゃない。竜のアーシャルにとって人間の街は危なすぎる。だから、なんとか父さんたちのところに帰ってほしい。


「嫌だ! 僕もここに兄さんと住む!」


「ダメだ!」


 それに俺は声を荒げた。なんてことを言うんだ! 竜に対する人間の危険性を全くわかっていない。


 そりゃあ俺だってまたアーシャルと離れたいわけじゃない。傷つけたいわけじゃないんだ。だけど、せめて休日に街の外で会うぐらいじゃないと――


「――だって……」


 だけど、そう呟くと、急にアーシャルの瞳がくりゃりと歪んだ。


「兄さん、僕に黙って人間になって……」


 うっ! やっぱり恨んでいたか。


「なんで人間になったのかなんて知らない! でも、魂だけになっていたって、なにか緊急事態が起こったってことだろう!? そうじゃなかったら、僕に内緒で人間になって、行方不明になんてなったりしなかったかもしれないのに……!」


「アーシャル……」


 ――そうだ。


 その言葉に、俺の頭の中で今まで渦巻いていた靄が急にすとんと晴れた。


 ――何か緊急事態が起きた。だから俺は急遽人間にならなければならなくなった。


 そう考えれば、腑に落ちる。


 たった一人の片割れのアーシャルにさえ話す時間がないほど。


 ――そうだ。そうでなかったら、絶対に俺がアーシャルにさえ話さずに人間になることはなかった!!


 そう思う俺の前でアーシャルは瞳を伏せると、泣くように囁いている。


「だから……! もう兄さんが生きているのか死んでしまったのか、あんな思いはたくさんなんだ! ずっと側にいたら、少なくとも僕に内緒でいなくなったりはしないだろう!?」


「アーシャル……」


「僕が助けるよ! 今度兄さんに何かあっても絶対に助ける……! たから――――もう、僕の前から黙っていなくならないで……」


 大きな赤黒い瞳から大粒の涙が流れ落ちていく。それにたまらず、俺はその頭を引き寄せた。


「アーシャル……」


 どういえばいいのかわからない。


 俺が突然いなくなったことで、こんなにもアーシャルを苦しませてしまっていた。


 決してそんなことは望んでいなかったはずなのに。


 ――どうしよう……


 どうすればいいのかわからない。


 声を出すことすらできず、アーシャルの震えている肩を抱きしめてやっていたその時、軽い音がした。


 誰かが部屋の扉を叩いたのだ。 


「はい?」


「おーい、リトム。帰ってきたんだろう?」


 その声に、俺はアーシャルから体を離すと、扉を開けた。年季の入った木の扉は少し軋む音をたてるが、それを開けると、その先には同じ学年のコルギーが立っている。


 少しくせっ毛のその顔が、俺の顔を見てくしゃっと笑顔に輝く。


「よっ、課題は無事できたか?」


「ああ。なんとかSクラスダンジョンを攻略したよ」


「Sクラス!? じゃあ、これで留年回避じゃないか! やったな!」


「なんとかな」


 そう俺は、前歯が印象的ないつも明るい親友に笑いかけた。


「まあまあ、滅多にない留年を経験しそこねたのは残念かもしれんが、チャンスはいくらでもある! 今は素直に喜んでおけ!」


「なんで俺が悲しんでいると思うんだ。というか、したいのならお前が経験しろ!?」


「やだよー絶対にごめんこうむる」


 笑うと、コルギーはふふんと鼻歌を歌っている。


 それに俺は一瞬拳を握り締めたが、その笑顔にすぐに解いた。


「あ、そうだ。お前のこと学長が呼んでいたぜ? 何か帰ってきたら、すぐに学校に来るようにだと」


「学長が?」


「ああ。今度は学校の何の備品を壊したんだ?」


「だから! なんで身に覚えのないことをさも当たり前のようにして俺に前科をつけようと企むんだ!?」


「ちぇっ。罰で食事抜きになったら、俺が片付けてやろうと思ったのに」


「おおっ、追加の課題を言い渡されたら、お前に押し付けてやるから楽しみに待っていろ!」


「嫌だねー。それはお前のために泣きながら返してやるからー」


「嬉し泣きだろ!」


「涙は涙さ。ま、それはともかく」


 そう言うと、急にコーギーは今まで浮かべてた笑顔を潜めたものに変えた。そして、俺の耳にそっと顔を寄せてくる。


「ちょっと気をつけろ。お前の名前が王直属の白銀騎士団への推薦候補にあがっているらしい」


「白銀騎士団?」


 その名前は、聞いたことがある。このアルスト二アス王国でも指折りの精鋭騎士団だ。確か入るのにも厳しい条件があり、かなりの腕の持ち主しか入れないから、剣を持つ者にとっては憧れの対象として話されることが多い。


「そう。毎年最上級生の中で、最も成績が優秀と認められた者が、この学校から推薦されるだろう? 来年のには、サリフォンとお前の名前があがっているのさ」


「何で俺が……成績でいえば、俺は落第寸前なはずなんだが」


 むしろありがた迷惑だ。そんなものに推薦されたら、山のような座学に縛り付けられて、夢のドラゴンスレイヤーを目指すことができなくなるじゃないか。


 そう顔をしかめた俺を、コルギーは小さな息をついて面白そうに見つめている。


「お前、去年までは毎年学年最終試験でサリフォンを負かしていただろう? だから不調さえ戻ればお前の方がいいんじゃないかと考える先生もいるってことだ」


「迷惑だ!」


 断言した俺に、完全にコルギーは笑い出した。


「まあ、俺はお前のそういうところが好きだけれどな。だけど、サリフォンの家は、父親も叔父もみんなこの推薦で白銀騎士団に入っている。やっこさんにしたら、当然おもしろくない」


「だから気をつけろか」


 やっとさっきのコルギーの言葉の意味がわかって俺は頷いた。


「そういうこと。じゃあ伝えたからな」


 言うと、茶目っ気たっぷりの笑顔で出ていこうとする親友の服を俺は慌てて握る。


「あ、ちょっと待ってくれ」


「うん?」


 コルギーの背がひどく高いせいで、裾を握る形になってしまった俺の手を上から振り返る。


 それに俺は慌てて言葉を繋いだ。


「コルギー、古い物でいいから二段ベッドを処分する奴を知らないか?ちょっとほしいんだが」


 それに落ち込んでいたアーシャルの顔が後ろでぴょこんと跳ねる。


「二段ベット?」


 うーんと唸りながら、コルギーは俺の後ろを覗き込んで、部屋の中にいるアーシャルに気がつくと「へえ」と笑った。


 そして、肘でつついてくる。


 ――おい、お前。今なにか絶対に勘違いしているだろう?


「いいぜ? 去年の卒業生が残した中に余っているのがないか、倉庫に確認しといてやるよ」


「ああ、助かる」


 頷くと、笑顔で友人が歩いていくのを見送って俺は扉を閉めた。


 中では、アーシャルが大きな瞳を開いて固まったように俺を見つめている。


 それに俺は、黒い髪をぽりと掻いた。


「あー二段でもいいだろう? 寝相の悪いお前がちょっと心配だが」


「兄さん、大好き!」


 突然アーシャルが俺に抱きついてきた。


「いいんだね? 僕がここにいても!?」


「ああ。でも竜の父さんと母さんには、ちゃんと連絡を入れるんだぞ?」


「うん! 父さんと母さんだって兄さんが見つかったと聞いたら大喜びだよ!」


「そうだな。まあ、ここは学生専用だからそれだけが心配だが――これなら俺が突然いなくなったりする不安はないだろう?」


 ――もう勝手に側からいなくなったりしないから。


 今から謝っても、きっとアーシャルの心についたこの十六年の傷は消えてはなくならない。


 ――だけど、側にいるだけでお前が笑顔になるのなら。


 きっと今からでも兄弟の時は取り戻せるはずだ。


 そして、今度こそきっと兄として最後まで守ってやるから。


「それも大丈夫! 僕剣の鉄を作るの得意だよ! きっと編入試験クリアするから!」


 ――うん?


「おい、お前……剣の学校って……」


「え? 僕超高温作れるもん。鉄の精錬ぐらい軽い軽い」


 ――そっちとの勘違いかー!!


 しまった。アーシャルに根本的な人間の常識はなかったと、俺は改めてそれに頭を抱えた。



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