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偽りからの挑戦 ――絆の脅威――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第4章 †真相† ――クリスター政府首都ポートシティ――
15/24

第14話 CP

※クラスタ視点です。

「シリカ……?」

「…………」


 シリカは黙ったまま、私からソフィアのメールが印刷された紙を奪い取り、後ろにいるパトラーと少しの間を開けて向き合う。


「シリカ、どうしたの……?」

「…………。……フィルドはどこにいる?」


 シリカは落ち着いた声で、真っ直ぐとパトラーの方を見ながら言う。何を言っている? フィルドは極秘任務でシリオードにいる。それはシリカも知っているハズだ。


「フィ、フィルドさんならシリオードにいますよ? ご、極秘任務ですよね?」

「ああ、そうだ。だが、不思議なことがある」

「不思議なこと?」

「さっき、フィルドから連絡があった。……パトラーと一緒にシリオードにいる、とな」

「パトラーと……!?」


 私は驚きの声を上げる。パトラーと一緒にいるハズがない。パトラーはここにいる。……じゃぁ、フィルドが偽りを言っているのか? 何のために!?

 一方、パトラーの表情が変わる。下唇を軽く噛み、明らかに焦っているかのような感じを見受ける。……なぜ?


「それと、あの旗艦爆破事件、爆発時はどこにいた?」

「ろ、6号艦に……」

「いや、爆発が起きたとき、お前の姿は誰も見ていない。監視カメラにも映っていない。お前が出て来たのは、爆発が起きたことが全艦に知れ渡った直後からだ。旗艦から6号艦に乗り移った形跡もない」


 6号艦に乗り移った形跡がない? どういうことだ……? もし、シリカの言うことが真実なら、パトラーは空を飛んで乗り移ったことになるぞ?

 ……ソフィアの主張と合わせなるなら、パトラーは爆発の直前まで旗艦にいて、爆発と同時に6号艦にワープしたことになる。だが、ワープなんて魔法を使えるクローンはいない。もちろん、人間が使えるハズもない。


「そして、このメール。どうやって入手した?」

「情報管理室で――」

「昨夜、情報管理室に入ったことは確認されている。だが、なぜ5時間もいた? メール1つ探すのに時間がかかり過ぎていないか? しかも、その5時間、職員を全員部屋から出したそうだが?」

「ヒーラーズ系クローンもいたから……」

「さっき、報告があった。……通信システムのデータが書き換えられた跡があると」

「…………!!」


 パトラーの表情が凍りつく。明らかに動揺している。手が震えている。……まさか、パトラーが通信システムのデータを書き換えたのか!? このメール文は――細工された!?


「そして、最後だ。クラスタの公邸が爆破されたとき、お前はどこにいた? あの時間帯、お前の姿を見た者は誰もいないし、監視カメラにも一切映っていない」

「シリカ、どういうことだ……? まるでそれじゃ、――」


 ――パトラーが一連の事件の犯人みたいじゃないか!


「…………。ふふっ――」


 パトラーはやや俯き加減になり、口端を軽く吊り上らせる。不気味な笑みを浮かべ、ゆっくりと顔を上げていく。


「ま、まさか、お前っ……」

「…………」

「――バレたか」


 私に戦慄が走る。バレただと!? 一連の爆破事件は――フィルドの溺愛する弟子・パトラーの仕業だったのか!?


「フフ、ハハッ! そうさ! クラスタの公邸を爆破したのも、旗艦を沈めたのも全部“私たち”の仕業だ! 連合政府の旗艦で出会ったのも計画の内だ!」

「なッ……!?」

「“私たち”はクラスタを、シリカを、ソフィアを、フィルドを消すためだけに送り込まれた」


 ……私たち? 私たちということは他にも誰か送り込まれた人間がいるのか? 私はパトラーの言葉に違和感を覚える。


「偶然にもクラスタ公邸爆破は失敗した。だが、事態は面白い方向に流れた。疑いはヒーラーズ系クローンに向けられた。そこで“私たち”の創造者は、任務を追加した。――クリスター政府特殊軍分裂という任務を、な」

「…………!」

「あの旗艦では、上手くソフィアの視界に入り、ワザとこそこそ動いて後を追わせ、エネルギー・プラントに入った。後はご存じの通り。バカなソフィアは私が犯人だと言い張り、フィルドと対立してくれた」


 話を続けるパトラー。私はゾッとしていた。イヤな汗が身体中から滲み出る。私たちは、何者かが引いたレールの上を歩かされていたのだ。


「そして、フィルドに極秘任務が下った。“私の仲間”が一緒にシリオードに向かった。極秘任務はフィルドだけに下っていた。弟子を溺愛し、守る為に彼女は密かに“私の仲間”をシリオードに連れて行った」


 仲間だと!? パトラーにソックリな人間がいるのか!?


「だが、そのフィルドがまさか、お前に同行したことを伝えるなんて予想外だった。それを許す“アイツ”は何しているんだ」

「ま、待て! まるでその言い方だと、パトラー、お前は複数いるみたいじゃないか! そんなことあり得るか!」

「あり得る」

「えっ?」


 シリカが少しだけ私の方を振り向いて言う。そして、彼女は思いもよらぬ事を口にした。そしてそれは、全ての謎を一気に溶かした。


「――コイツは、いやコイツらは“クローン”だ」

「…………!? ク、クローン……?」

「最初に再会したクローン・パトラー――CPクローン・パトラー1は公邸爆破で死んだ。自爆さ。そこからのパトラーはCP2。彼女は旗艦を爆破させて死んだ。そして、6号艦に最初から乗り込んでいたのはCP3。彼女は軍事総本部の倉庫爆破事件で。そこからは今、シリオードにいるCP4。今ここにいるのは私――CP5だ。カラクリ、理解したか?」


 目の前にいるパトラー――本人曰くCP5は、ニヤニヤしながら話す。私は呆然とその場で突っ立っていた。あまりのショックで、何も言えないでいた。

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