書くことが好きで…
書くことが好きでした
作家になりたくて
作家の先生のもとで
学びました
「書き直せ、とは言わないけど
これ、どうなんだろう」
書き直せ、が不快だ、と
言っているような
先生の冷ややかな眼差し
批評されることの覚悟なしに
何も知らなかった私は
あっさり筆をおりました
十年以上たって
書きたいことに巡りあい
もう一度、筆をとりました
好きなように
好きなことだけを
自由に
人に見せるようになると
欲に眩んで
自由ではなくなって
武装した文章ばかり
書くようになりました
評価を気にして
人の言葉に流されて
私の作品は
私の心から離れていきました
私自身も
流されて、見失っていました
書くことが怖くなっていました
書いた作品を削除して
逃げて、黙り続けました
ある夜
一人でふっと
感じたことを言葉に載せてみました
定まらなかった思い
浮かんだままの感情が
一篇の詩になって姿を現しました
自己満足、それでもかまわない
心に素直になって、日常を
今を、思い出を書いていきたい
と
その夜から詩作をはじめました
私の言葉が誰かの、何かの役に立てたら
贅沢な願いを抱きながら